インドのフードデリバリー市場に再編の波 UberEatsがライバル社「Zomato」に売却か

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インドのフードデリバリー市場の勢力図が大きく変わろうとしている。

テクノロジー関連メディア「TechCrunch」によると、ウーバーはインド市場での支出を削減するため、フードデリバリー「ウーバーイーツ」のインドでの業務をライバルである同国のフードデリバリーサービス「Zomato(ゾマト)」に売却しようとしているという。交渉は大詰めを迎えており、ウーバーイーツの時価総額は約4億ドル(約440億円)が見込まれている。売却条件として、ウーバー側がZomatoに1億5000万~2億ドル(約165億~220億円)の資本参加を行う可能性もあるという。この報道に関するウーバーやZomatoからの発表はない。

このM&Aが実現した場合、インドのフードデリバリー市場の勢力図には大きな変化が起き、Zomatoには様々な面で恩恵がもたらされるだろう。そして、業界の先駆者であるZomatoが、初めて業界トップの座を獲得することになるとみられる。地元メディアによると、現在1日あたりの注文数はZomatoが120~130万件、ウーバーイーツが30~60万件で、2社を合わせればライバルの「Swiggy(スウィギー)」の140~160万件を超えるという。

ベンチャー投資会社「InnoVen Capital India」のCEOであるAshish Sharma氏は「Zomatoとウーバーイーツのサービススタイルには違いがある。メニューが高級志向のZomatoに対し、ウーバーイーツのメニューは3ドル(約330円)以下の低価格帯が中心である。ターゲット顧客が重ならないため、ウーバーイーツの低価格市場を確保すれば、Zomatoは規模拡大が期待できる」と語った。

ただし、インドの消費者が好むサービスは様々で、しかも割引サービスが商品購入の最大の決定要因であるため、Zomatoが市場を独占できると断言することはできない。

また、交渉が成立した場合、Zomatoはウーバーイーツの莫大な運営費用を引き継ぐことになる。英文紙「Economic Times」のレポートによると、1回の注文で生じる赤字は、ZomatoとSwiggyが約0.1~0.4ドル(約11~44円)であるのに対し、ウーバーイーツは0.7~1.1ドル(約77~121円)だという。

Zomatoの2019年の業績は好調とは言えない。損失が前年同期比9.4倍の1億3940万ドル(約153億円)に拡大し、割引サービスやプロモーション予算を大幅に削減せざるを得なかった。

打開策を模索するSwiggy、Zomatoの両社だが、技術分野での新しい試みについて言うと、両社とも、「クラウドキッチン」という複数のレストランでキッチンを共有し、フードデリバリーサービスのみを提供するスタイルに注目している。デリバリー専用レストランにキッチンを提供し、毎月の使用料と注文毎の手数料を徴収する仕組みだ。

現在Swiggyは1,000カ所のクラウドキッチンを設けており、「Homely」と「The Bowl Company」という2ブランドを展開している。一方、Zomatoはクラウドキッチンとデリバリー専用レストランを結ぶプラットフォームを提供している。同社は今のところ独自ブランドは設けていないが、プラットフォームには650店ものレストランが登録されている。

さらに両社はフードデリバリー事業の損失を補填し、市場シェアを維持するための新たな収入源を模索している。Zomatoはライブ動画配信サービスを始め、Swiggyは新たに食料品配達サービス「Swiggy Stores」を始めた。

インドの消費者は価格に敏感に反応するため、多くの外食・フードデリバリー業者は簡単に割引サービスを終了することができず、激しい価格競争にさらされている。今後、Amazonがフードデリバリー市場に参入すれば、競争はさらに激化するだろう。2020年、消費者支出の増加はあまり期待できないため、フードデリバリー業界では割引サービスへの依存度がさらに高くなるだろうと見られている。

作者:KrASIA、Moulishree Srivastava。
原文タイトル:Is UberEats the wild card Zomato needs to rule India’s food delivery market?

(翻訳・桃紅柳緑)

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