1日10億再生!ショートムービーコミュニティ「Tik Tok (抖音)」、動画広告戦略に自信
更新
中国をはじめとしたアジア各地域で若者を中心に爆発的人気を誇るショートムービーコミュニティ「Tik Tok (抖音)」。BGMつきの15秒動画を手軽に作成して投稿、共有できるソーシャルアプリだ。このほど、そのTik Tokは、中国の若者をターゲットにして大きくビジネス化に舵を切る。
中国にはすでに、快手(Kuaishou)、美拍(メイパイ)、秒拍(Maiopai)、小咖秀(xiaokaxiu)といった人気のショートムービーアプリがある。Tik Tokはむしろ後発組だ。こうしたショートムービービジネスの基盤を作り上げのは、腾訊(Tencent)、阿里(Alibaba)、微博(Weibo)、美図(Meitu)などだが、中でも腾訊(Tencent)は最大手の快手に投資することに。これは、Tik Tokにとっては大きな圧力になった。
ただし、Tik Tokはローンチしてこの1年あまりの間に、ダークホース的に台頭してきた。今では快手と肩を並べるまでに成長しつつある。Tik Tokが2017年8月に発表したデータによると、2017年8月のVV(動画再生回数)は、すでに1日平均10億回を超えている。中国のモバイルインターネット専門調査研究機関・QuestMobileのデータによると、Tik TokのDAU(デイリーアクティブユーザー)は1000万人を突破。Tik Tokの1日平均VVは2017年5月初めに1億の大台に乗ったばかり。DAUも100万のレベルに達したばかりだったという。
Tik Tok は特に、大都市圏の若年層の間で人気となり、彼らの生活の一部になるまで浸透している。ユーザーの85%以上が24歳以下だという。
幸先よいスタートを切ったTik Tok だが、2017年の8月、中国のニュースアグリゲーター・今日頭条(Toutiao)がTikTokに数億米ドルを投資し、グローバル化を推進すると発表した。また、TikTok はAirbnb、ハルビンビール、シボレーの3社と提携し動画広告を配信、これを本格的にビジネス化していく。ショートムービーにまつわるビジネスモデルはもともとそれほど大きな広がりはなかった。従来は主に、広告・Eコマース・ライブストリーミング・MCNなどに集中していた上に、これらについても課題が山積していた状況だ。
TikTokはなぜこのタイミングで事業化を推し進めるのか?動画広告において、どのようなイノベーションを見せてくれるのか?将来はどのような事業を起こそうとしているのか?立ちはだかる数多くの大手競合に対し、どのように立ち向かっていくのか? 36KrはTik Tokの製品責任者である王晓蔚(ワン・シャオウェイ)氏に独占取材を敢行。TikTokの事業プランに関して聞き出した。
なぜ今、事業化を進めるか?について、王晓蔚氏は「これは必然の流れで、突発的なことではない」と話した。投資方の今日頭条から収益に関するプレッシャーがあるかどうかについては、「当然ながら更なる収益を得る努力は必要だが、社内で確固たる目標があるということでもない」としている。
王氏は「Tik Tokは一定の市場規模に達した」と認識している。コンテンツの蓄積やコミュニティ形成においても一定の収穫があったこと、また、多くの検証を重ねてきた動画広告についても、良好な効果が認められたこと。最も重要なのは、多くのブランドがTik Tokの成長を目の当たりにしたことで、徐々に彼らのニーズ掘り起こすようになってきたということだ。ただ、現在の課題は、彼らが広告掲載にどれだけの予算を割けるかどうかだ。これは依然として難題かもしれない。
また、今回Airbnb、ハルビンビール、シボレーと提携した広告で革新的なのは、初のフィード広告だった点であり、また、初めて縦長フルスクリーンで表示されたネイティブ広告だった点だ。王氏は、「前人未到の領域であるネイティブ広告は、Tik Tokビジネス化のモチベーションになっている」としている。
王氏は、「Tik Tokの可能性に限界は設けないが、まずは個々の商品に寄り添うビジネスモデルを優先的に考慮する」「多くの人気ユーザーが稼ぐチャンスを得られるシステムをローンチすることになるだろう」と話した。
*******
(こちらはインタビューの書き起こしで、↑の部分はこれを編集して簡潔にまとめたもの。内容は重複しています)
以下は王暁蔚氏と36Kr記者とのインタビューの記録:
36Kr:先日、Tik TokとAirbnb、ハルビンビール、シボレーとの提携による3本の動画広告を見ました。
広告の具体的な提携内容について教えていただけませんか?どうしてTik Tokのビジネスは現在のこのような方式になったのか?どのような点にイノベーションがあるのか?という点も。
王晓蔚:Airbnb、ハルビンビール、シボレーとの3つの広告は、初のフィード広告であり、また、初めて縦長フルスクリーンで表示されたネイティブ広告だった。Tik Tokにとって、これらは広告でありながら同時に、優れた15秒間の動画作品でもある。このモデルは将来のTik Tokの事業化のパワーになるだろう。
Tik Tokの選択は、業界では確かに少しユニークだと言える。ショートムービーの業界では、ライブストリーミングによるチップ収入やプラットフォームのコミッションが一般的なビジネス。しかし、企業のネイティブ広告は、まだ誰もチャレンジしたことがない。
Tik Tokは企業のネイティブ広告を事業化の切り口にしているが、これは商品の持ち味にぴったり合わせられるやり方だからだ。スタイリッシュでトレンドにはまった製品は、このタイプの広告にとても適しているし、我々としても自信を持って受注できる。我々のユーザーが低年齢層に集中しているからだ。
![]()
前期発表されたオリジナルブランド広告:シボレー、ハルビンビール、airbnb
当然、広告主も我々のスタイルに合わせてくれることが重要。我々のユーザーが視聴するコンテンツに入り込んでも違和感のない広告でないと、ユーザーは広告に対して好感を持たないだろう。
半年間、多くの企業が我々を評価し、Tik Tokで広告を配信したいと希望している。それらのオファーから社内で検討した結果、今回はAirbnb、シボレー、ハルビンビールに白羽の矢が立ったわけだ。
これはただ、Tik Tokにとっての第一歩に過ぎない。我々はこの業界で先駆者になることを目指している。今後はもっとクリエイティブでおもしろい化学反応が起きればと。
36Kr:多くの競合はTik Tokよりも前から存在しましたが、収益化が進んでいないケースも少なくありません。なのに、設立わずか1年のTik Tokがここまで事業化を推し進めるのはなぜでしょうか? どんな意図ですか?
王晓蔚:Tik Tokが今の時期に事業化を加速するのは、いたって自然なことだ。
まず、はじめにコンテンツが一定規模に達したこと。2017年8月の1日平均VVはすでに10億回を超えた。と同時に、我々のユーザーは非常に若い世代で、85%を超えるユーザーが24歳以下ということがわかっている。
次に、企業広告は、以前より試験的な試みを行ってきているビジネスモデルだ。Tik Tokは、摩拜(Mobike/シェアサイクル)、京東(JD.com/ECモール)、滴滴(Didi/中国版Uber)、必胜客(ピザハット)などのブランドと提携を続けてきた。たとえば女性ラッパーの、VAVAが摩拜(Mobike)に提供したショートムービーはとてもすばらしく、たった1本の動画で25万を超える「いいね!」を獲得している。広告としてどうかというよりも何よりも、第一に優れた動画だったことが勝因だ。クライアントの反応も非常によく、今後は縦型スクリーン広告が業界のトレンドになると思われる。また、我々のユーザーが若く、コミュニティが活性化している点も喜ばれたと考える。
同時に、人気ユーザーに大きな収益を分配することは非常に意義があると確信している。目下、ショートムービーの業界でこのような人気のユーザーが稼ぐやり方は非常に単一化していて、We Chatビジネスか、ライブストリーミングのチップのどちらかぐらいだ。しかしTikTokは、企業広告の製作に彼らを投入していく。すでに人気ユーザーの張欣堯(チャン・シンヤオ)、Boogie93、大喵哥(ダーミャオゴー)がMobikeのショートムービーに参加して、反響は非常によかった。張欣堯バージョンの動画アクセス数は20万を超えた。
我々のビジネス化路線に対して、我々自身よりも多くのクライアントが前のめりになっていると感じる。それは、なんといっても優れたコンテンツと充実したコミュニティ形成があるからだ。頭条のメンバーが外部との提携を持ちかけて来たこともある。我々の広告事業がローンチする以前から、いくつかの企業は早々とTikTokに公式アカウントを創設し、コンテンツ動画を発信している。
36Kr:これら広告主との提携はどのようなものですか? 3本の広告の反響はどうでしょうか?ユーザーの評価はどうでしょうか?
王晓蔚:今のところ、先方の責任者と我々の双方が直接企画に携わって、広告のオリジナリティやクオリティをコントロールしている。広告のフォーマットは縦型のフルスクリーンで放映するショートムービー。ユーザーの興味を引くようフィード広告として配信する。広告とTikTok自身のイメージも融合するようにしている。
今回もそうだったように、まず我々は顧客に対してTikTokの映像のスタイルやカラーを説明する。たとえば、カメラワーク、トランジション、エフェクト、テンポといったものだ。こうした要素は我々の動画では重要な基本。 広告の製作段階でも顧客とのコミュニケーションは密にとり、撮影のアドバイスも行う。
これまでのところ、3本の動画の「いいね!」、コメント、シェアなどの反応は上々。全体的にユーザーの反響は好意的なもので、シボレーのMARIBU XLの広告動画に関しては、あるユーザーが「20回以上も見返した」とコメントしている。
これは、事業化前の試験段階で得た結果と一致していて、内容自体がよく、オリジナリティもあれば、ユーザーにマイナスイメージは与えない。もちろん、広告主のクリエイティブ力に対しても一定のレベルが求められる。
36Kr:ショートムービーを流すやり方は斬新ですが、興味を示す企業はあっても、彼らの予算は限られたものです。TikTokは、これが「投資するだけの価値があるマーケットである」という点をどのようにクライアントに納得させましたか?また、TikTokのユーザーは85%が24歳以下、いわゆる「95後」(1995年以降生まれ)「00後」(2000年以降生まれ)と呼ばれる世代です。これを踏まえ、TikTokが企業広告の提携を持ちかけるとき、どのような企業にターゲットを絞りますか?また、TikTokのユーザーと中国全体インターネットユーザーとの属性のギャップは、広告主に影響を及ぼしますか?
王晓蔚:私たちは顧客のリソースの問題を心配してはいない。逆に、TikTokがこの業界に参入して以来、多くのブランドが提携を望んでいる。
インターネット上に流れる膨大な情報量の中で、ユーザーは見たいもの、見るべきものを見失ってしまう。内容の充実した広告で、短時間に顧客の目をひきつけることが大事だ。また、ブランドマーケティングは将来的に、さらに独創性や斬新さが求められるようになる。TikTokはまさにこのトレンドと合致している。
中国のインターネットは巨大市場だ。広告業界も同じように巨大な市場だ。TikTokはその中で、自分の特性を最も生かせるマーケットでシェアを拡大していくだろう。TikTokは、若く、確固たる自分を持ち、トレンドに敏感な大都市在住の若者に対して、巨大な影響力を有している。Airbnbやハルビンビール、シボレーは、TikTokのユーザーと、彼らがリーチしたいターゲット顧客との合致を重視したからこそ我々と組んだのだ。
36Kr:ショートムービーで稼ぐ方法は、広告や、Eコマース、カスタマークオリティ、ライブストリーミング、MCNといったものに集中しています。将来、TikTokはどの事業化に力を入れていきますか?
王晓蔚:ネイティブ広告とフィード設計以外で、私たちが独自に立ち上げた事業化のモデルは、過去にレノボとの提携ですでに試しているのだが、ユーザー参加型キャンペーンを運営し、一般から特定のサービスや商品についてオリジナル動画を投稿してもらう。さらに人気ユーザーによる拡散を加えて、ブランドの露出度を上げるといったようなモデルだ。
将来の事業化の可能性として、私たちは限界を設けることはしないが、製品にあったビジネスモデルを優先的に考慮する。
![]()
36Kr:TikTokは、今日頭条の張一鳴(チャン・イーミン)CEOが「2020年までに100億ドルの収益をあげる」とする目標にプレッシャーを感じていますか?
王晓蔚:当然ながら大まかな方向性はあるが、確固たる目標はない。TikTokの事業化は確実にできると判断しているからするのであって、売上げのプレッシャーからしているものではない。事実、急速に成長していて、製品の成長が一番の任務だ。
36Kr:今では、大手のショートムービーアプリが収益のために動いています。今後、人気インフルエンサーの争奪戦に入っていくかもしれません。TikTokはどのようにこのような人材を確保しますか?美拍(メイパイ)の「辺看辺买」や「Meipai M 企画」のようなショートムービーを開発することはありますか?
王晓蔚:TikTokは人気インフルエンサーと密接な関係を築いている。それは、独特のスタイル、トラフィック、そして拡散力の3点から成り立っていると思う。
TikTokは今のところ、若者に特化したショートムービーコミュニティの分野でライバルがいない。と同時に、人気ユーザーが作り出すコンテンツは独自の拡散が実現できると踏んでいる。彼らの多くが微博(中国版ツイッター・ウェイボー)もやっているが、そこでの投稿はリツイートされたりやコメントされたりすることは多くない。TikTokのインフルエンサーと一般ユーザーは同じアイデンティティーを共有し、TikTokの若さやスタイリッシュさに共感しているのだ。
我々のビジネス戦略は必ず収益を考慮する。例えば、クライアント企業と人気インフルエンサーとの深い提携関係を構築することだ。彼らは企業の広告動画に起用されることで収益を得ることができるし、企業は大きな拡散力を持つことになる。将来、それが実現できる多くのシステムをローンチするつもりだ。ただ、どのような形に落ち着くかは、検証の結果次第だ。ショートムービーの“遊び方”はたくさんあると信じている。
36Kr:抖音のビジネス化で収益を得る過程はどこが有利ですか? また、困難なことは?
王晓蔚: 最大のアドバンテージは、私たちはこの業界の開拓者であること。縦型フルスクリーンによるネイティブ動画広告は、「95後」世代や「00後」世代に向けて作られたものだが、開拓者のアドバンテージはいかなる古いものにとらわれることがないということだ。
困難な点も同じところにある。我々が業界の先駆者であることだ。お手本にする成功モデルがない中、試行錯誤しながら未開拓の分野に挑戦しなければならない。
36Kr:快手もフィード広告に着手しましたが、TikTokは両者が打ち出した同様のサービスをどのように見ていますか?
王晓蔚:まだ彼らのフィード広告を見ていないので、コメントはできかねる。
36Kr:腾讯(Tencent)、阿里(Alibaba)、微博(Weibo)といった大手はショートムービーコミュニティの基盤を作り上げました。腾讯(Tencent)はまず快手に投資、最近ではショートムービーのシェアアプリ「QIM」をスタートしました。また、ビデオメッセージアプリ「微視」も復活させるようです。さらに、「ショートストーリー(看一看)」のコンテンツも拡大する予定で、これは動画クリエーターが名を売る絶好のチャンスになります。そして実現するポテンシャルも大きい。TikTokはこの競争にどのように向き合い、また、どこからのプレッシャーが大きいと感じていますか?
王晓蔚:大手の参入は、私たちのやっていることが想像力のあることを証明しているだろう。道は険しいものになるだろうし、大手は大手のアドバンテージがある。しかし、我々には自信がある。ただ、自分らしくあるのみだ。
36Kr:この1年間で、TikTokがすばらしい業績を残せた要因はどこにあるでしょうか?
王晓蔚: まず、我々のチームがオープンだということがいえる。周囲から口々に「ショートムービーなんて無理だ」と言われても、我々は簡単にあきらめなかった。より良くしていこうとチャレンジしたのが、後のTikTokとなり、我々のアドバンテージになったと言える。
当然、私たちの技術力は重要です。頭条のAI LabにはTikTokをサポートする専門のチームがある。強力な技術と能力が絶えず新しい画像フィルタやエフェクトを生み出し、ユーザーに新しい体験と楽しみ方を提供している。我々が開発した歪み系エフェクト「憨厚」は、全国で爆発的な人気を獲得した。今では、誰もが使う機能になっている。