WeChatの検索機能がアップグレード バイドゥに脅威

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バイトダンス(字節跳動)傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」が昨年12月、検索エンジン機能をリリースした。これに続きテンセントも同じ機能を発表し、検索エンジン事業で大手に成長したバイドゥにとってさらなる脅威となっている。

テンセントのメッセージアプリWeChat(微信)は12月中旬、アプリ内の検索メニュー「微信捜索」を「微信捜一捜」にアップグレードし、検索機能の強化を続けていくことを正式に発表した。このほか、微信捜一捜にはWeChat公式アカウントを運営する「ブランド主」に提供する二つの新サービスが追加された。

まず、ブランド主はWeChatの公式プラットフォーム上で「微信捜一捜」の検索ボックスをダウンロードできる。デザインツはカラーや形状にバリエーションがあり、各社のカラーに合ったものを選んでブランド宣伝画面に埋め込むことが可能で、オンライン・オフライン双方で同時に自社ブランドのPRができるものだ。

「微信捜一捜」のビジュアルパーツの一部

また、「微信捜一捜」の検索結果で表示されるブランド公式アカウントの表示方法が3タイプから選べるようになった。Aプランでは、トップに固定表示される5つのキーワードとヘッダー画像を指定でき、ブランドイメージを全面に押し出すデザインとなっている。Bプランでは指定できるキーワードは3つとなり、検索結果にはミニプログラム、公式アカウント、サービスおよび商品が表示される。Cプランではトップに固定表示されるキーワードとして公式アカウントの名称全体を指定できる。

ブランドの公式ページのAプラン採用例

WeChatの検索機能は2014年6月に追加されたが、当初はチャット履歴が検索できるのみにとどまっていた。同年9月には公式アカウント内のテキストなどを検索できるようになったほか、2017年9月にはミニプログラムの検索にも対応、2018年4月には検索エンジン「捜狗(Sogou)」、Q&Aサイト「知乎(Zhihu)」、電子書籍アプリ「微信読書(WeRead)」などのアプリ内コンテンツとの連携を果たした。

現在、ユーザーは検索キーワードを通じて公式アカウント、ミニプログラム、ゲーム、百科事典、医療相談など20種類の情報やサービスにアクセスできる。検索の入り口は、WeChatのチャットページの最上部にある「捜一捜」が最も分かりやすく、この他にも公式アカウントのテキスト上で目的のワードを長押しすると「捜一捜」の項目が現れる仕組みだ。

公式アカウントのリリース以降、WeChatはトラフィックリソースをコンテンツ制作者に開放し、独自のコンテンツエコシステムを確立してきた。検索を情報への接続手段と捉えるなら、今回の検索機能の追加により、これまで提供してきたWeChatペイ(微信支付)とミニプログラムに加え、ユーザーと膨大なサービスとをつなぐさらなる手段が実現したことになる。情報からサービスへ、さらにはアプリ内検索からアプリ外検索へと、「微信搜一搜」の各種の小機能が検索エンジンの境界を広げているといえる。

今回公開された「ブランド主」向けのアップグレードは、テンセントがそうしたブランドの獲得を強化していることを意味する。今後、彼らの広告予算がWeChat、バイドゥ、頭条などの間で分配されることになるのは想像に固くない。

コンテンツ配信を通じた商業価値の創出は、検索エンジンを手がけるバイドゥのビジネスポリシーだ。バイドゥの先発者としての強みは、「検索=バイドゥ」というユーザーの認知であり、テンセントとバイトダンスもこれと似た手法を選択した。つまり、まず自社のコンテンツを検索する機能を開発した上で、インターネット全体での検索機能に拡張するというものだ。利益率の高い検索事業は各大手プラットフォームにとっての重要な成長エンジンであり、競争の激しい分野であるという点では一つの例外もない。

Wechatの父と呼ばれているカリスマエンジニア張小龍氏

PCからモバイルインターネットの時代に移行し、検索スタイルにも変化が生じている。各大手アプリが間接的に情報の流れをせき止め、WeChat公式アカウント、今日頭条のメディアプラットフォーム「頭条号」、バイドゥのコンテンツプラットフォーム「百家号」が独自のコンテンツエコシステムを構築することで、検索ソースの差別化を図っている。検索方法も、単なる文字検索以外に音声検索、表情検索など複数の形式を併存させることで、情報と情報をつなぐ「接続」チャネルとしての役割を強化している。

技術は進歩しており、検索エンジンは今後「対話式」となる可能性が高い。小さな機能の拡充が、ユーザーの体験とプラットフォームのさらなるビジネスの可能性を後押ししている。
(翻訳・神部明果)

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