EC業界のレジェンド 拼多多の仕掛け人 創業4年で迎える正念場

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ソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」の創業者、黄崢CEO。明晰な頭脳をもって熾烈な競争をくぐり抜け、拼多多を中国EC史上最速のスピードで成長させ、数々の論争を呼んだ人物でもある。

拼多多を生みだしたのが何故この人物だったのか。一体どのような経歴の持ち主なのだろうか。

幼少時代

黄崢氏は浙江省杭州市の生まれで、子どもの頃は、市内のシルク工場で働く母親が同僚からもらってきたお下がりばかりを着せられていた。月日は流れ、杭州は経済発展の進んだ大都市に発展し、黄氏の家の暮らし向きもよくなった。黄氏の母親は相変わらず日々の買い物では細かいお金にうるさかったが、それでいてiPhoneやテレビにはお金を惜しまない人だった。

黄氏は、母親をはじめ周囲の人々の行動を注意深く観察して学んだことがある。世の中にはお金のあるなしに関わらず、割安なものを好む人、コストパフォーマンスにこだわる人がいるということだ。

人生の師

幼いころから優秀だった黄氏は高校を卒業後、名門・浙江大学に進学し、毎年200人しか入れないエリート養成クラスに選抜された。在学中の2002年、MSN上でコンピュータの技術問題について教えを請われたのが縁で、ある人物の知遇を得ることとなった。この人物こそ中国IT大手「網易(ネットイース)」の創業者、丁磊氏だった。丁氏は後に黄氏の運命を変えることになった。

2003年、米ウィスコンシン大学の修士課程に留学していた黄氏は、丁氏からアメリカに移住したばかりの友人を紹介された。電子機器大手メーカー「歩歩高(BBK)」の創業者、段永平氏だった。

これより少し前に、段氏は売却寸前の網易の一部株式を200万ドル(約2億2000万円)で取得。その数年後に網易の株価が急騰し、段氏は10億ドル(約1100億円)を儲けた。ウォール街では「Mr.Duan」の名で呼ばれた人物だった。

段氏は黄氏の明晰さに惚れ込み4人目の弟子として迎え入れ、自分の傍に置いて投資を学ばせた。黄氏の前に迎え入れた3人の弟子は、後にスマホ大手「OPPO」の創業者兼CEOとなる陳明永氏と、同じくスマホ大手「vivo」の創業者兼CEOとなる沈煒氏、電子機器メーカー「歩歩高(BBK)」のCEOとなる金志江氏だった。

2004年に黄氏は修士課程を修了。マイクロソフトで働くかGoogleで働くかで迷っていた時、段氏からGoogleを勧められ入社を決めた。入社後、Googleは上場企業となった。

2006年、段氏は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏と昼食を共にする権利を62万ドル(約6800万円)で買い取った。この昼食会には1人まで同伴できたので、黄氏を連れて行った。この昼食会で、黄氏は「シンプルであること」と「常識で判断すること」がどれほど重要であるかを学んだ。問題にぶつかった時、勇気をもって常識で物事を判断することの大切さを知ったのだ。

帰国後に起業

2006年、黄氏は1980年代生まれ世代の第一陣の帰国組としてGoogle中国法人の立ち上げに参加した。この年、彼よりもさらに若い蒋凡氏という人物が新卒入社し、当時、社長だった李開復氏のもとで共に働いた。李氏は後に新興投資ファンド「創新工場(Innovation Works)」を創業する人物だ。

2015年7月、黄崢は果物のソーシャルコマースプラットフォーム「拼好貨(Pinhaohuo)」をローンチした。数カ月後には、累計アクティブユーザー数は1000万人の大台に乗せ、1日当たりの受注件数も100万件を超えるようになった。

2016年9月、黄氏は自身が別プロジェクトで手がけていたECプラットフォーム「拼多多」とこの「拼好貨」を合併して、自らCEO兼董事長に就任した。拼多多はこれより少し前に、シリーズBでテンセントと「高榕資本(Gaorong Capital)」などから1億1000万ドル(約120億円)を調達し、EC業界のダークホースとして注目された。

2018年7月、拼多多は米ナスダックに上場した。上場当日の黄氏の資産総額は130億ドル(約1400億円)を超え、テンセント系の大手EC巨頭「京東集団(JD.com)」の創業者である劉強東氏を上回った。

2019年3月、Google中国時代の同僚だった蒋凡氏がアリババ傘下のECモール「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tmall)」の総裁に就任。売上高が1000億元(数兆円)クラにも上る巨大アリババ帝国の中枢を掌握するに至った。こうして二人は13年の時を経てEC市場の地方カテゴリで全面対決することとなった。

四面楚歌

拼多多は、ユーザーがWeChat(微信)を通じて共同購入者を募ることで、割引価格で商品を購入できる仕組みを構築するなどして急成長してきた。しかし昨年10月、拼多多の株主の一社であるテンセントが株主の座から降りてしまった。拼多多は後にこれについて、「ごく正常なこと。上場すればこうした株主構成の見直しを行う必要がある」とコメントしている。

だがそれからほどなくして、今度はWeChatが新規定を打ち出してきた。外部サイトへの誘導や友人の勧誘、値引き、共同購入などに様々な規制を設けたのだ。この新規定は拼多多の成長に深刻な影響をもたらすこととなった。

一方、拼多多と同様に地方市場に巨大な商機を見出した京東は、2019年9月にソーシャルECプラットフォーム「京喜(JIX.JD.COM)」をローンチ。EC最大手のアリババも新たな共同購入プラットフォーム「聚划算(juhuasuan.com)」をローンチした。

地方市場から勢力を伸ばした拼多多は今や四面楚歌の状態だ。地方EC市場は昨年、転換点を迎えた。拼多多の将来はすべて黄氏の双肩にかかっている。黄氏のいう「人事を尽くして天命を待つ」といったところだろうか。

作者:「新零售商業評論(ID:xinlingshou1001)」、李健華
(翻訳・北村光)

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