ショート動画アプリで商品売り!新型肺炎でオンラインへの移行が急激に進む小売り店舗

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ショート動画アプリで商品売り!新型肺炎でオンラインへの移行が急激に進む小売り店舗

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新型肺炎の流行は依然として続いており、中国全土のオフィス、学校、デパート、工場などはひとけがなく閑散としている。小売り、飲食、サービス業などは大きな打撃を受けている。

このような状況のもとで、ショップ側には販売業務をオンラインへ移したいという強いニーズが生まれている。EC機能を備えているショート動画アプリ大手の「抖音(Douyin、海外では「TikTok」)」と「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」は、新型肺炎の影響を受けているショップ向けに次々と優遇策を打ち出し、より多くのショップを自らのプラットフォームへ取り込もうとしている。

快手は2月12日、ショップオーナーをサポートする「春暖計画」を発表した。ショップオーナーは2月6日から無条件でオンライン店舗「快手小店」に参加することができ、保証金と企業認証費用が全額無料となると同時に、注文成立の際に差し引かれる技術サービス料も免除され、企業はチャネル手数料の1%だけを負担すればよいという。

快手は予約販売機能によって、生産ラインが回復するまでの間にショップが注文を蓄積できるよう、全力でサポートしている。商品の納品や物流の問題が生じた場合、ショップオーナーは必要に応じて出荷を延期することができる。また売上金の入金までの期間を短縮することで、企業のキャッシュフローへの負担を減らす。さらに快手のカスタマーサポートは企業の経営状況に応じて専門的な個別サポートを提供し、きめ細やかな運営指導も行っている。

この大規模なサポートプランのもと、「快手商家号(ショップユーザー向けアカウント)」、「快手教育エコシステム(教育関連ショート動画)」、「快品牌(ブランドマーケティング)」がそれぞれショップ向けの支援策を打ち出している。

例えば快手商家号では企業に対して、アクセス支援、優秀なトレーナーによるオンライン指導、企業認証費用と代行運営費用の免除、48時間の特急認証などを含む8つの機能を無料で提供する。快手の商業化部門と快手教育エコシステムは共同で、ミィーティング、運営データ分析サポート、ブランド共同創立計画、きめ細やかな運営指導などを含む教育関連のサポートを打ち出している。

同じ日に抖音も「オンラインショップに閉店はない」というキャンペーンを開始し、中国全土の実店舗のショップオーナーに向けて、アクセス支援を行い、オンラインでの予約共同購入とライブ配信を通じて、オンラインでの販売促進チャネルを開拓できるようサポートを行っている。

具体的には、抖音とバイトダンス傘下のマーケティングサービス「巨量引擎(Ocean Engine)」が今回のキャンペーンに参加するショップのために、ライブ配信をシェアする権限を優先的に与え、予約共同購入機能を使えるようにし、プラットフォームへの参加をサポートする。企業アカウントを開設したショップは、ショート動画と支払券の仕組みを通じて、新型肺炎が流行する間も、割引商品を予約販売することが可能となる。

また抖音は、無料でライブ配信、動画撮影の指導も行っており、ショップオーナーがショート動画の使い方を短期間で習得できるようサポートしている。抖音の責任者によると、2月8日~21日の間に、9回の無料ライブ配信トレーニングを行い、新型肺炎の流行期間の管理方法を企業と共有したとのこと。また、同時に9回分の企業ユーザー教育コースもリリースし、中小企業ユーザーが抖音上でどのようにしてマーケティングを行うことができるか学べるようにしている。

これらのキャンペーンに参加したいショップオーナーは、抖音で「オンラインショップに閉店はない」と検索し、申し込みをすれば参加することができる。

このような変化は何も新しいことではない。現在の抖音や快手は、あの頃の「タオバオ(淘宝)」だ。2003年、SARSウイルスの流行により企業と消費者はオンラインへの移行を余儀なくされ、これによってアリババは急激な成長を遂げた。

宋金波、韓福東の著作『アリババ鉄軍の進化、分裂と複製(阿里鉄軍:阿里巴巴銷售鉄軍的進化、裂変与複制)』は当時、SARSがタオバオにどのような影響を与えたかを以下のように記している。

「2003年5月7日、杭州にあるアリババ本社の全社員が自宅勤務となった初日、アリババの中国サイトの売買情報は1万2500件を突破し、新記録を更新した。SARSの期間中、中国国内サプライヤーを中心とした毎日の新たな需給情報量は、前年の同じ時期に比べて3-5倍に急増した。アリババが140万人の中国会員に行ったサンプリング調査では、SARS期間の3カ月間に取引が成立した企業は全体の42%を占め、逆境にも関わらず業績は上昇し、アリババの月間アクセス数は1億6000万人に達し、毎日100万元(約1600万円)を超える現金収入があった。一方で2001-02年のまでの期間、アリババの中国サイトの売買情報は3000件ほどしかなかった」

この経験を忘れないために2005年以降、アリババは毎年5月10日を「アリ・デー(阿里日)」と定めた。

歴史の変革は往々にして残酷なかたちで進むことが多い。今、オンラインに活路を求めているのは小売りだけでなく、教育、娯楽、広告などの業種も新型肺炎の影響を大きく受けており、教育コンテンツのライブ配信、ネットでの映画配信(例えば無料配信された春節映画『囧妈(Lost In Russia)』など)、ショート動画によるマーケティングなどあらゆる業種においてオンラインへの移行が急激に進んでいる。

人類が完全に新型コロナウイルスを撲滅した日には、世界はきっと変化しているに違いない。
(翻訳・普洱)

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