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「お見合いしたい人、いませんか。地元の村に帰ってもう一週間です」。近ごろ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」や「快手(Kuaishou、海外版はKwai)」にはこうしたユーモラスな動画が多くアップロードされ、人気を博している。事実、お見合いという注目度の高いテーマをめぐり、婚活・出会い市場においてトラフィックを集める新たなプレーヤーが次々と現れている。
36Kr系のメディア「Tech星球」によれば、テンセントは先日、同社初となるビデオチャット型婚活・出会いアプリ「歓遇(Huanyu)」を各アプリストアで正式リリースした。リリース後、短期間で頻繁にバージョンアップされており、ベータテストも正式にスタートしているとみられる。
同アプリは主に三級都市のユーザーをターゲットとしているという。中国国内でSNSを最も良く理解するテック企業テンセントが、地方都市の若者の婚活・出会い市場といったニッチなニーズに着目し始めたという事実は、間違いなく注目に値する。同社の参入により、お見合い市場には新たなストーリーが生まれるだろうか。
テンセントが地方都市の「仲人」に
歓遇では、リアルなビデオチャットによるお見合いが行われる。ユーザーはアプリルームの中に興味のある相手がいた場合、その相手にアクセスして会話を進め、双方の理解が深まったところで相手に対する満足度を点数で評価できる。仲人は、互いに高評価を付けている二人がビデオチャットを行うよう促すこともできる。
仲人は自身のライブ配信ルームも持っており、そこへユーザーを招待して、ユーザー同士が知り合うきっかけを作ったり、場の雰囲気作りをサポートしたりすることができる。ユーザーが1対1でプライベートチャットを行うためには、ユーザー同士が互いに好感を抱き、相手をフォローしている必要がある。
これまでも「Soul」「探探(Tantan)」「陌陌(MOMO)」など多くのマッチングアプリが存在しており、いずれも一~二級都市ユーザーをターゲットとしてきた。近年ブルーオーシャンと考えられている地方都市市場においても出会いのニーズが徐々に高まりつつある。ビデオチャットという出会いのモデルは、ユーザーが交際相手を見つける上で新しい体験であり、マッチング効率も高い。
中国の独身市場には大きなポテンシャルがある。国家統計局の最新人口データによれば、男性人口は7億1527万人、女性人口は6億8478万人となっている。これはつまり3049万人の男性が「男女比率」において独身を余儀なくされていることを意味する。
より正確なデータを挙げると、民政部のデータによれば、2018年の中国の独身成人人口は2億4000万人超、また独居成人人口は7700万人超となっている。また38%の独身男女が初めてお見合いをする年齢は23歳未満であり、24%の独身男女は23~25歳とのデータもある。
さらにオンライン婚活アプリのユーザーは課金意識も極めて高く、中国のビッグデータサービス「艾瑞網(iResearch)」によれば、78.7%のユーザーが有料サービスを利用したことがあるという。また2018年のネット婚活・出会い市場の売上高は49億9000万元(約800億円)に達し、婚活市場全体におけるネット婚活業界のシェアは54.4%となっている。2021年までに同市場の売上高は70億元(約1100億円)を超えるとみられる。
テンセントは知人同士のソーシャルアプリケーション業界の第一人者であり、WeChat(微信)やQQによって金城鉄壁を築いてきた。5G時代の到来という大きな背景の下、より広い帯域や無遅延などの特長により、ユーザーのコミュニケーション方式には新たな変化が生じる可能性があり、ビデオチャットによるコミュニケーションは今今後の可能性が最も大きなジャンルとなっている。将来的には、VR、AR、3D、ホログラム投影などの技術がビデオチャットとの親和性を高め、活用されていくだろう。
ビデオチャットの将来性、地方都市市場の膨大なユーザーそして独身の人々がもたらす経済効果を考えると、テンセントがビデオチャットによって婚活市場に参入したのも納得できる。
作者:Tech星球 賈寧宇
(翻訳・神部明果)
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