新型コロナで携帯電話の売り上げ急落、我慢を強いられる現場の声を聞いてみた

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新型肺炎の影響で、携帯電話販売の繁忙期になるはずの春節期間の売り上げが激減した。市場調査会社「Canalys」は、2020年第1四半期の中国のスマートフォンの出荷台数は前年同期比で50%下がると予測し、IT専門の調査会社「IDC」は30%減少との予測だ。

中国の携帯電話の売り上げは昨年2桁の減少を記録し、年末の5G対応機種登場でようやく転機を迎えたかと思われたが、新型肺炎で一気に谷底に突き落とされた格好だ。ここでは、携帯電話産業関係者数名に取材し、現情を語ってもらった。

携帯電話メーカーの某都市セールス担当者の話

今年の春節は時期が早かったため、元旦と春節商戦の在庫を同時に確保したが、まさかこのような状況になるとは思わなかった。

大手はどこも大量の在庫を抱え込んでしまっている。新機種はまだいいが、旧機種は毎日のように値下がりしている。しかも、感染症が終息すれば一気に多数の新機種が発表されるはずで、価格競争で混乱が起きるだろう。

この都市にある各店舗に対しては、ノルマをゆるくすることくらいしかできない。店舗賃料の値下げの交渉もしているが、実現できても赤字を減らすくらいで、収益にはつながらない。今はとにかく毎日連絡を取り、販売員に安心してもらうことに集中している。

オンラインで売ることもできるが、携帯電話は衝動買いできるほど安くはないので、実物を確認することが出来なければ、多くの人が手持ちのものを使い続けるだろう。買い替えの需要は今年下半期にならないと回復しないと思う。

某オンライン代理店経営者の話

今は4Gから5Gの転換期で、春節前は4G機種を仕入れずに在庫分だけを売り切ろうと思っていた。なんとか売れたのはいいが、今の状況では仕入れができず、売るものがない状態だ。

弊社は従業員が30名近くおり、240平米のオフィスと倉庫を借りている。賃料だけで月8000元(約13万円)かかる。その上従業員の給料も払わなければいけない。営業停止を正式に通達すればその期間内は給料を払わなくてもいいことになっているが、そうなるとECでの販売を停止しなければならず、プラットフォームから誘導してもらっているトラフィックもなくなり、長期的に見ると大きなダメージとなる。

今はとにかく最悪の場合に備えて、できることをすべてやっていくしかない。2月12日から工場が再開されたと聞いているので、なんとか仕入れを再開させたい。

某都市の携帯電話販売店店長の話

2月2日まで店を開いていたが、2月3日から政府要請で臨時休業とした。大型スーパーも休業しており、必要最低限の生活用品を売る店以外はどこも営業していない。

スタッフ全員でミーティングし、販売方法を議論したが、SNS「WeChat」で販売情報を出す以外に良策はない。売り上げがまったくないわけではないが、店舗とは比べ物にならない。

販売員の給与は歩合給の比重が大きいため、今は最低限の給与しか出せない。店長にもノルマがあるので、ストレスは本当に大きい。繁忙期はいつも夜中12時の帰宅で体がつらいが、今は在宅だが精神的にきつい。家族も養わなければならないので、本当に困っている。

組立工場の営業スタッフの話

一番大きな課題はサプライチェーン全体が回復していないことだ。労働者が外出できずに人手不足が生じ、部品のサプライヤーは生産体制を維持できなくなっている。組立工場としてはお客様と相談し、納品時期を調整してもらうことしかできない。幸い皆さん事情を理解してくださり、なんとか小ロットでの納品や納品延期に同意してもらっている。

また、新規で進める予定だった開発はすべて先延ばしになった。製造業への影響は観光や宿泊業ほどではないが、やはり痛みを感じる。この産業はもともと粗利率が低いので、今年は多くの企業にとって生き残れるかどうかの瀬戸際となるだろう。

今はキャパシティの20~30%しか生産を再開できていない。社長はもちろん焦っているが、我々のような営業も焦っている。歩合給がないので、給料は本当に少ない。今はサプライチェーンが回復するのを待つしかない。

(翻訳:小六)

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