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中国EC(電子商取引)の成長にともない、宅配便の取扱量も急増した。それにより、物流のオートメーション化、スマート化へのニーズが高まっている。現在中国の物流オートメーション化の比率は20%前後で、先進国の80%と比べれば大きな成長の余地がある。
「Zhejiang LiBiao Robot(浙江立鏢機器人)」は、このニーズに目をつけた企業の一つである。同社は無人搬送車(AGV)の開発、製造、配置を手掛け、物流オートメーション化のためのソリューションを提供する。主な製品はスマート仕分けロボットの「小黄人(ミニオンの意味)」で、すでに第4世代を販売している。AGV業務を始めてから4年で、同社は中国、米国、東南アジア、欧州に1万台のロボットを出荷しており、ウォルマートのような大手クライアントも獲得している。現在毎年宅配物を20億点近く仕分けしているという。
小黄人は比較的小さな荷物の仕分けに使われる。配備するにはまず同社が倉庫の特徴に合わせたワークステーションを設計し、次に荷物の量と作業時間から、何台のAGVが必要かを計算し、それをワークステーションに配置する。AGVは荷物のQRコードをスキャンし、自動的に指定された場所に運ぶ。
このように書くと簡単なように見えるが、実際の作業には多くの難題がある。時には数百台のAGVが同時に稼働するため、渋滞や衝突を避けるのが難しいこと。故障した際に、全体の作業に影響を与えないように迅速に修理する必要があること。仕分けをミスなく行うのが難しいことなどがそうだ。
LiBiao Robotの創業者兼総経理の夏慧玲氏によると、同社はハード、ソフト、管理システムなど様々な面から工夫をこらしたという。
ハードでは、ロボットの中核部品であるサーボモーターを独自開発し、動きの安定性と正確性を高めた。ロボット同士の通信も可能となり、故障したロボットがある場合、ほかのロボットがそれを把握できるため、作業に影響が出ないという。
ソフトでは、独自開発のナビゲーションとアルゴリズムを使い、ロボットが密集した環境での指令システム、AIルート決定システムなどを開発した。ロボット同士の通信を行うWi-Fiネットワークも独自開発で、これらのよって小黄人AGVのエラー率を0.01%以内に抑えている。
クロスベルト式の物流システムと比較すると、小黄人は導入コストが低く、場所もあまり取らない。LiBiao Robotのデータによると、同じ効率を実現した場合、小黄人が必要なスペースはクロスベルト式の1/5から1/3であり、導入もより速い。1つのワークステーションのカバー範囲は1300平米で、最大350台のAGVで対応し、1時間あたり荷物を1.5万件仕分け、人員を6割減らすことができる。
LiBiao Robotはロボットの販売以外に、リース、短期リースなどの導入方法を提供している。平時は必要な数だけを購入し、ダブルイレブンなどの繁忙期に追加の短期リースをするといった利用方法が可能だ。中国国内ではこれに加えて「RaaS(Robot as a Service)」と呼ばれる方式で、荷物の件数によって料金を決めることもできる。夏慧玲氏によると、購入した場合でも、1年半から2年間でコストを回収でき、7割の顧客がリピーターになるという。
今後、LiBiao Robotは物流倉庫だけではなく、小売企業の倉庫での商品出荷など、物流の川上、川下産業までサービスを広げていきたいとしている。また、物品を掴み取るロボットアームを開発中で、より多角的なサービスを提供したいという狙いが見て取れる。同社は物流プロバイダーのグローバル・ロジスティック・プロパティーズと長期的戦略パートナーシップを結んでいる。
日本の展開について、2019年9月、三井物産グローバルロジスティクス(MGL)は、自社物流センターにLiBiao Robotの仕分けロボット(ソーティングシステム)を日本で初めて導入したと発表した。また同年11月、日本アパレル大手のジュングループにも製品を提供した。(翻訳:小六)
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