高感度・高精度の検出を実現、デジタルPCRシステム開発の「ThunderBio」

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最近の情報によると、「達普生物科技有限公司(ThunderBio Innovation)(以下「達普生物」と略称)」がエンジェルラウンドで、1千万元(約1億5000万円)近い資金調達を行い、累計の資金調達額が2000万元(約3億円)に達したという。調達した資金は同社初のマイクロ流体力学製品である「星雲デジタルPCRシステム」(Nebula Digital PCR)の発売とプロモーションに使われる。

達普生物は2017年に香港科技大学でインキュベートされた企業で、2018年8月から浙江省の産業パークに移転。同社はマイクロ流体力学に基づく体外診断技術の開発に注力し、現在国内外で16の特許を取得または出願済みである。自社の医療機器、試薬、チップ開発センターを所有し、チップの製造工場も2020年第2四半期から量産体制に入った。

共同創業者兼CEOの周国輝氏によると、現在の体外診断(検査器具などを身体に直接使用しない診断)の大きな課題は、必要な検体量が多く、かつ感度が低いため、診断や投薬量が不正確になるということだ。そのため、達普生物はデジタルPCRを中心に開発するという方針を取った。

達普生物が開発したマイクロ流体力学チップなどの独自技術は、従来の検査で一つの結果として表示されるものを10万の参照データに変えた。これにより、なぜこのような結果になったのかをデータの面から理解することができ、細かいデータによって精度も向上している。

より細かいデータで表示された結果を使用すれば、正確な投薬量や病状の進行を予測することができる。このデジタルPCRシステムは2020年第2四半期に発売する予定で、現在EUの安全基準であるCE認証の審査中である。今後は医療機器、試薬、消耗品の販売で利益を確保していく。

まもなく発売されるデジタルPCRシステム(画像は同社の提供による)

デジタルPCRシステムは近年リキッドバイオプシー(がん診断などに使われる技術)で広く使われるようになり、投資銀行「Piper Jaffray」の予測によると、2026年の全世界でのリキッドバイオプシーの市場規模は326億ドル(約3兆5000億円)になり、そのうち腫瘍検査が286億ドル(約3兆1000億円)、新型出生前診断(NIPT)が20億ドル(約2200億円)、臓器移植が20億ドル(約2200億円)となる。また、2020年のリキッドバイオプシーの市場規模が全世界で220億ドル(約2兆4000億円)、中国国内で200億元(約3000億円)に達するとする予測もある。

前途有望なデジタルPCRには多くの企業が参入してきており、現在もっとも大きなシェアを誇るのが「Bio-Rad」社である。達普生物の周CEOによると、各社とも2019年から製品を発表しており、2020年にはマイクロ流体力学技術の実用化が一気に普及する見込み。各社の技術にそれぞれの強みがあるなか、達普生物の特徴はハイエンドからローエンドまですべてをカバーでき、ニーズに合わせて柔軟に製品を調整できることだ。また、マイクロ流体力学の技術開発と製造を自社で行うことができ、新製品の迅速な開発とコストコントロールできるのも強みだ。

周CEOはまた、今後も高精度な検査設備の開発を続けるとしている。塩基性フェトプロテイン(BFP)検査、化学発光免疫測定法(CLIA)、臨床現場即時検査(POCT)機器などが今後の方向性だ。現在同社はシリーズA+の資金調達に向けて進んでおり、調達した資金は医療機器、試薬、チップの製造と、国内外の市場開拓に使うという。

(翻訳:小六)

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