新型コロナで需要高まる「ライブコマース」、バイドゥも遅れて参入

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ライブ配信でユーザーに直接アプローチして販促を行う商品取引「ライブコマース」が一大トレンドとなる中、バイドゥ(百度)も遅ればせながら同分野に参入してきた。

「Eコマースプラットフォームがメディア化し、反対にメディアプラットフォームがEコマース化するのが一つの大きなトレンドになっている」。バイドゥでEコマース分野の商品マネージャーを務める段勇涛氏は先日、同社が主催したトークショー形式のマーケティング関連フォーラム「百度営銷開放麦」で述べた。バイドゥはEコマースを強化し、中でもライブコマースに重点を置いていくという。

中国の経済系メディア「界面新聞(Jiemian.com)」によると、バイドゥは近日中にライブコマース機能をリリースする。現在はライバーを束ねるオーガナイザーに配信者や販促対象商品の手配を呼び掛けている。ただし、リリース日やプラットフォームの運営ポリシーは確定していないようだ。バイドゥは、ライブ配信が今後の重点的な発展戦略であることは認めている。

バイドゥのライブコマース、その特色は?

バイドゥの中核といえる検索事業にとって、知識や情報はそもそも重要カテゴリであり、「百度百科(オンライン百科事典)」であれ「百度貼吧(Q&Aサイト)」であれ、それらは検索事業における重要なコンテンツ基盤だ。そこへライブ配信が加わればさらにコンテンツを拡充することになる。

ライブコマースを運営するタオバオ(淘宝網)などの大手ECプラットフォームと合いまみえる中で、これらのコンテンツ以外に、いかにして自社の特色を出すか、いかにして頭一つ抜けるかがカギだ。

やはりすべては「検索」に帰結するだろう。前出の段氏はバイドゥがユーザーにとって情報や知識を取得する主要な入り口の一つだと定義している。新型コロナウィルスが蔓延する昨今の特殊な状況において、バイドゥでは住居や生活、生鮮食品などに関する検索需要が大幅に増加した。つまり、バイドゥが商品検索の入り口となっていることを示している。これはライブコマースを手がける他企業にはない重要な強みだ。「検索プラスEコマース」のモデルはバイドゥ固有の戦略と言えるだろう。

しかし、バイドゥはライブコマースに着手する時期が遅すぎたと言わざるを得ない。同分野に参画する多くのプレーヤーがすでに「ヒト・モノ・場」から成る供給体系を確立しているからだ。よって、バイドゥのライブコマース事業がライバーのオーガナイザーを募集した際に、彼らに提示したレベニューシェアも「抖音(douyin、海外ではTikTok)」「快手(Kuaishou、海外ではKwai)」などの競合よりも高額だ。前者のレベニューシェアは80%、後者は60%だ。

ライブコマースに限らず、ライブ配信に係るその他の分野についても、集客力に強みを持っているはずのバイドゥはいつでも先発者としての立ち位置を逃している。

しかし、新型コロナウィルスの影響によりライブコマースは勢いに乗っており、バイドゥもそれに乗じて革新を目論む。ライブコマース以外にもゲーム実況や知識・教養系のライブ配信に注力しているという。ライブコマース事業ではすでにインフラを整えており、開店から取引、決算、受注管理、マーケティングまでを包括するソリューションプラットフォーム「開店牛」「度小店」をローンチしている。

事業の中核はやはり検索

ライブ配信はもちろんのこと、ライブコマースとなるとこれを成長させるのはさらに難しい。バイドゥのライブ配信事業は、やはり検索事業の一環に位置付けられているといえる。

段氏はEコマース事業について、従来型の事業スキームは大きな試練の時を迎えており、事業成長に際しては三つの問題点を抱えていると指摘した。一つ目は、共同購入型のソーシャルコマース「拼多多(Pinduoduo)」の台頭により、各社とも地方市場に煽情を移し、間断なく新規顧客の開拓と奪い合いを続けなければならなくたっため、競争がますます過熱していることだ。二つ目は、近年になって各社ともECプラットフォームにおける受注コストが上がり続けていることで、アリババのテイクレートは3.62%、拼多多は3%に迫っている。三つ目は、Eコマース事業者にとっては広告出稿へのハードルが高く、コンバージョンまでの道のりも長くなることだ。広告をクリックしてから取引成立までの過程が長く消耗も激しいだけでなく、取引成立後のユーザー定着も芳しくない。

こうした状況下でEコマース各社はマーケティングコストを削減し、コンバージョン率を上げ、成長を実現しようと奮闘している。バイドゥは商品需要の入り口として、こうした企業とユーザーをつなぐ新たなモデルを生み出した。

もちろん実際にはそう簡単な話ではなく、バイドゥは近年、Eコマース関連のプロジェクトで試行錯誤を続けてきた。2007年に立ち上げたEコマース事業部も最終的にフェードアウトしている。集客力があっても買い物体験を提供できず、サプライチェーンや人気ライバーも持っていないからだ。

バイドゥは今回、「ヒト、モノ、場」の再構築に言及している。業界が成熟し、ユーザーの消費力や利用習慣が変化するに従い、Eコマース業界も進化を繰り返していく。バイドゥはどのようにキャッチアップしていくだろうか。
(翻訳・愛玉)

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