群雄割拠のロボタクシー業界、勝ち抜くにはまずイニシアチブを取れ

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米テスラCEOのイーロン・マスク氏の大胆な予想の一つに、完全自動運転車の実用化がある。これはまだ実現していないとはいえ、ロボタクシー(Robotaxi)業界は静かに盛り上がりをみせ始めている。

広州では自動運転スタートアップ「文遠知行(WeRide)」のロボタクシーがすでに運営を開始しており、バイドゥ(百度)は長沙で、「AutoX」も上海でロボタクシーの試乗キャンペーンを始めている。さらに、「滴滴出行(DiDi)」「曹操出行(Caocao)」などの配車プラットフォームもロボタクシーの公道試験を開始した。滴滴出行は 2016年に自動運転技術の研究開発チームを編成し、昨年、同部門を分社化させている。 曹操出行は「吉利汽車(Geely Automobile)」のコンパクトEVセダン「幾何(Geometry)A」を改造し、先月からテスト運用を開始した。

しかし、上述のロボタクシーは皆、完全な自動運転ではない。とはいえ、自律搬送ロボットや無人配送ロボットに続いて、続々とロボタクシーが登場していることは、この分野が自動運転技術の重要な実用シーンになる可能性のバロメーターでもある。

「高徳地図(Autonavi)」の配車サービス「Autonavi配車」がロボタクシー「AutoX」へのアクセスを発表

まずはイニシアチブを取り、それから実用化を探るのが本筋

自動運転業界は技術的ハードルが高く、克服すべき技術上の課題も山積みであるため、研究から実用化まで長い期間を要する。ロボタクシーに関しては、現時点で米グーグル系自動運転開発企業「Waymo(ウェイモ)」や米中両国に拠点を持つ「Pony.ai(小馬智行)」などが試験運用を行っている。ある自動運転業界の関係者によると「中国と米国の異なる政策や規制、社会的認知、トータルコストなどの要因により、ロボタクシーの大規模な商業化はまだ実現していない。しかし、自動運転技術をビジネスとして実用化する上での最大の課題は技術にある」という。

グーグル系「Waymo」もロボタクシーのテスト運行を始めている

自動運転というドラスティックな技術は、単なる新技術の実用化という意味にとどまらず、社会全体のあり方およびインフラ全体の開発を必要とする。いまのところ、バイドゥもAutonaviもロボタクシー内に保安要員やナビゲーターを配置している。つまり、現在のロボタクシーと大規模な商用化および完全無人化との間にはまだ大きな隔たりがあるのだ。

しかし、完全無人ロボタクシーの実用化には、必然的に長期的な技術開発と運用の推進が伴うのだから、これは必要なステップだ。早く参入し、かつ生き残れた企業だけが、技術から実用化までの道筋について理解し、見つけ出すことができる。

「これらの企業は、将来、大量のデータでもって技術を補完し、向上させ、最終的にポジティブサイクルを形成する。また、このプロセスで試行錯誤を繰り返すことによってのみ、ロボタクシーの運営方式を確立できる。こうしたコストは将来、自動運転市場が数兆円規模になった時、威力を発揮する」と上述の自動運転関係者は語る。

バイドゥとAutonaviのロボタクシーにはいくつか課題が残っており、滴滴出行と曹操出行も自動運転分野における長期計画の成果が現れているわけではないが、適時声を上げることは必要不可欠である。

参入を考えている企業にとって、イニシアチブを取ることが参入のあり方より重要だ。自動運転市場が数兆円規模に成熟する前に参入すれば、より早く、より多くの分け前にあずかれる可能性はある。

技術の段階的な成熟に伴い、自動運転はモビリティの安全性と効率を大幅に向上させ、一元化された高品質のモビリティサービスをもたらし、モビリティ業界全体の健全な発展を促進するだろう。

作者:鋅刻度(ID:znkedu)、李覲麟

(翻訳・永野倫子)

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