家電小売大手「蘇寧」のコンビニ事業がFC運営へ転換 3年間で1万店舗を目指す

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これまで直営方式を貫いてきたコンビニエンスストア「蘇寧小店(Suning Xiaodian)」が、南京市に同社初となるフランチャイズ店舗を開店してから約1カ月。同社はこのほど正式にフランチャイズ方式を採用すると発表した。今後3年以内にフランチャイズで1万店の加盟を目指すという。

蘇寧小店は加盟店舗に対し、出店地域の市場調査リポート作成から全面的な商品の仕入れやイベントの運営、店舗のオペレーティング研修にいたるまで全プロセスにわたるサービスを提供するという。店舗運営に関して、蘇寧小店は日用消費財サプライチェーンと一連のインターネットマーケティングツールを備えており、さらに宅配荷物の受取りや発送、各種家事代行サービス、購入した家電製品の設置サービスなども合わせて行うことで増収を実現する。

今年5月初めに南京市に同社初となるフランチャイズ店をオープンさせるまで、蘇寧小店は直営方式で店舗を増やしてきた。フランチャイズ店は通常の商品販売以外に、宅配荷物の受取りや発送、宝くじの販売など多様なサービスを行うという。取扱商品の幅を広げ、出店エリアに見合った価格設定で、開店1カ月目には3万元(約45万円)近い利益を出した。

初のフランチャイズ店が好成績を出したのとは裏腹に、蘇寧小店がここ数年間歩んできた道は決して順調とはいえなかった。

オンラインショッピング市場が飽和状態に近づくにつれ、より多くのIT大手がオフラインの小売市場に目を向けるようになってきており、それに伴って「ニューリテール」という概念も急速に発達してきた。家電量販大手「蘇寧易購(Suning.com)」もこの競争に加わり、2017年に蘇寧小店を設立。同年、アリババ系列のオフライン小売店舗「天猫小店」は2018年中に100万店、同じくEC大手「京東(JD.com)」系列の「京東便利店」も5年以内に100万店以上を出店すると宣言している。

オフラインの小売市場でシェアを獲得するため、蘇寧小店は陣営拡大を急がなければならなかった。しかしデータによると、蘇寧小店は2018年1月~7月に3億元(約45億円)近い赤字を出している。これを受けて、2018年10月、蘇寧小店は蘇寧傘下の「Suning Smart Life」に全株式を譲渡、親会社である蘇寧易購の連結対象から離れることになった。そして多数の不採算店舗閉鎖に追われることにもなった。2019年末時点で、6000店以上あった蘇寧小店のうち、北京だけでも100店舗近く閉鎖したという。

蘇寧小店の巨額な赤字は店舗数を急拡大したためだと業界は結論づけるだろう。データを活用した小売業を提唱するコンサルタント論の龔胤全氏は経済紙「北京商報(Beijing Business Today)」の取材に対し「蘇寧小店の主な問題は、店舗拡大を急ぎすぎたため、立地の悪い店舗が売り上げの足を引っ張ったことと、店舗の運営管理システムの構築や人材育成を行う時間が足りなかったことだ」と話している。

大規模な閉店を敢行してから半年余り経った現在、蘇寧小店は再始動のため、フランチャイズ方式を模索している。龔氏によるとコンビニエンスストアの直営管理はフランチャイズ管理より難度が高いという。フランチャイズモデルでは蘇寧は本部のバックエンドシステム構築と商品に注力すればよく、店舗の運営に力を取られすぎることはない。

このほか、蘇寧小店は精密化運営と高品質化に向けて注力していくという。蘇寧易購グループの張近東董事長は5月6日、「2020年は収益を生み出すことに力を入れていく。事業の布陣から運営面へと重点を移し、事業の発展や緻密な運営、品質や収益の向上に照準を合わせる」と話した。

近ごろ、中国商務部の高峰報道官は「小規模店の経済発展を後押しすることを足掛かりに、小規模店の利便化、特色化、デジタル化発展を加速させる」と述べている。政策も追い風となる今、蘇寧小店はこのチャンスを逃すわけにはいかない。

(翻訳・山口幸子)

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