税務管理は領収書の電子化から クラウド経由でサプライチェーン内での連携処理も可能に

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税務管理は領収書の電子化から クラウド経由でサプライチェーン内での連携処理も可能に

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中国において「発票(税務領収書)」の管理は、税務上の観点から企業にとって経理業務の重要なポイントとなる。昨年下半期、中国の李克強首相は国務院常務会議で電子発票の公共サービスプラットフォーム構築案を二度にわたり提起しており、増値税(付加価値税の一種)専用発票の電子化を実現するよう求めた。

今年3月1日、中国国家税務総局は増値税専用発票の電子化を試行に移し、年内には完全電子化を目指すとした。

サービス業や日常的な消費シーンに用いられる増値税普通発票と異なり、増値税専用発票は企業間の調達や販売に用いられるものだ。企業の生産活動と密接に関係したもので、関わる範囲や金額が大きい。これを電子化すれば企業にとってはコスト削減につながり、業務効率を上げ、サプライチェーン各所との連携も進み、財政および税務改革の重要な一歩となる。

電子発票を活用した財政・税務管理サービスを手がける「中科迅聯智慧供應鏈網絡科技(Zhongke Xunlian)」は、企業の調達活動から決済に至る全プロセスを連携・管理する。2018年3月に設立された同社は今年初め、シリーズAで盛宇基金(SHAREWIN FUND)傘下の「恒毓投資中心(Shanghai Hengyu Investment Center)」から数千万元(数億円)の単独出資を受けている。

中科迅聯の中核事業は電子発票をベースに、クラウドを介してサプライチェーン内の連携をデジタル化する「迅聯雲(Xunlian Cloud、以下「迅聯クラウド))」だ。迅聯クラウドは「e票聯(仕入税・売上税管理や税申告)」「e企聯(買掛金・売掛金管理)」「e薦聯(デジタルサービスの企業間連携)」の三つに分かれており、コア製品の「e票聯」は以下のような三つのサービスを提供する。

第一に仕入税発票のデジタル化とコンプライアンスを実現し、顧客企業向けのプライベートあるいはパブリックなプラットフォームを構築する。

次に中科迅聯は国税総局直属の中国国際税収研究会(CITRI)の理事を務めていることから、現在は紙と電子の併用が可能な発票の発行業務に関し、将来的な全面電子化に向けた準備を支援する。

さらに納税申告の窓口として、顧客企業にワンクリックで完了できる申告プラットフォームを提供する。

中科迅聯の創業者・陳玉剛氏によると、従来型の税源管理発票(税源管理専用のキャッシャーで印刷される管理番号の付された発票)関連サービスと異なり、迅聯雲は国家独自の暗号アルゴリズム「SM2」「SM3」「SM4」によってデータを暗号化。取引先とデータの秘密保持契約を結び、アプリケーション層のみにアクセスしデータ層には干渉しないことを徹底する点で差別化を図っている。

国有送電企業「国家電網(STATE GRID)」や電力関連の中央企業「国家能源投資集団(CEIC)」などがこうしたデータセキュリティを決め手として迅聯クラウドの導入を決めている。国家電網の増値税発票管理システムは、中科迅聯が全面的に構築したものだ。

「e企聯」はファイナンシャルサプライチェーン(FSC)での企業間の連携を推進するもので、「e票聯」をベースに買掛金・売掛金管理を自動化する。サプライヤーおよびディーラーとの帳簿の照合や連携に関するソリューションだ。複数の企業が絡む発票の発行と受領が一つのプラットフォーム内で完結する。従来は書面を郵送でやり取りするしかなかったが、発票の電子化によってより迅速に、便利に業務が進められるようになる。

新型コロナウィルスの感染が深刻化すると、中科迅聯は国家能源の運営するB2Bコマースサイト「国家能源e購」で決済連携プラットフォームを構築。全国の出品業者がオンラインで決済できるようになった。

迅聯クラウドはすでに95のサプライチェーンを手がけ、大手サプライヤー3万社超を管理、15万人が利用している。月100万件以上の業務を処理し、利用企業とその取引関連のデータを積み上げ、これを基礎にした付加価値サービス「e薦聯」を開発中だ。これによりサプライヤーやディーラーとの取引リスクの評価や追跡管理を実現する。

現在の顧客は前出の国家電網や国家能源以外にシーメンスなどの大手が並ぶ。エネルギー関連や設備製造、自動車製造などの業種が多い。世界企業番付「フォーチュン・グローバル500」にランクインする中国企業を中心に、主に製造業へ売り込みをかけている。メーカー系が取り扱う発票は件数も多く多岐にわたるため、管理が複雑だからだ。また大手企業が取引するサプライヤーは経営が安定している企業が多く、サプライチェーンも強固で、長期的な提携が見込める。

迅聯クラウドは「e票聯」のプラットフォーム構築費に加え、プラットフォーム稼働後に処理する納税者識別番号の数と評価額によって算出した運営費用を年単位で徴収する。利用企業にとっては、処理した発票の件数に応じて徴収される従来型の方法よりもコスト削減になるという。一方「e企聯」ではサプライチェーンリーダーに対してプラットフォーム構築費および運営費を徴収し、サプライヤーに対しては年間サービス料を徴収する。陳氏は収益面に関して、「e票聯」は顧客数や展開規模では限界があるとしており、「e票聯」を基礎に発展させた「e企聯」に将来的な可能性を期待している。
(翻訳・愛玉)

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