IoTで世界をリードする中国、高精度測位技術に基づくサービスで差別化を図る新興企業も

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ここ数年中国は、世界最大規模のIoT市場として技術開発とその応用で世界をリードしている。移動体通信事業者の業界団体「GSMアソシエーション(GSMA)」は2019年6月、中国のIoTソリューションは世界のトップレベルにあるとの認識を示した。中国におけるIoTの大規模な拡大は、高精度測位技術の産業シーンでの実用化がベースになっている。

1999年に創業された「幾米物聯(JimiIoT)」は、政府、企業、通信事業者向けに高精度測位技術に基づいたIoTソリューションを提供している。同社は深圳に本社を置き、惠州、重慶、広州などに研究開発センターを有している。車載・電動バイク用スマートデバイス、アセット・物流管理端末、電子学生証などを含むデバイス製品を開発し、ここ10年ほどで累計3000万台以上を販売している。さらにPaaSプラットフォーム「幾米雲(Jimiクラウド)」を構築し、ユーザー向けにカスタマイズしたSaaSサービスを提供している。

同社の19年の売上高は10億元(約150億円)に上り、このうちコネクテッドカー関連が33%、スマート電動バイク関連が25%、アセット・物流管理関連が20%を占めた。この三年間の成長率は30%以上を維持している。収益モデルはデバイス販売と「デバイス+SaaS」サービスだ。同社はデジタル化転換戦略に伴い、単純なデバイス販売モデルからサブスクリプションサービスモデルへと業務転換し、一定の成果が現れ始めている。同プラットフォームのDAU(デイリーアクティブユーザー数)は500万人で、うち中国国内が400万人、海外ユーザーが100万人余りとなっている。現時点ではデバイス販売が売上高の大部分を占めているが、今後はクラウドプラットフォームのバージョンアップにより、SaaSサービスの売上高も伸びると見込まれている。

JimiIoTは多業界での展開によってのリスク管理能力を強化してきた。以前はコネクテッドカー関連の売上が多くを占めていたが、14年以降、電動バイク、物流、キャンパス、牧畜などの業界にも本腰を入れ新たな業務開拓を行っている。業務開拓は一貫して高精度測位技術を核とし、業界のトップ企業との提携によって、高精度測位技術に基づくデバイス、データ、プラットフォームを提供し、顧客の業務シーンをサポートするものだ。

JimiIoTの高精度測位技術の強みは主に以下の四点だ。

一つ目は、米クアルコム(Qualcomm」、台湾メディアテック(MediaTek)、紫光展鋭科技(UNISOC)など半導体メーカーと戦略提携パートナーシップを結んだことで、シーンごとの製品開発の融通性とコスト面での優位性を得たこと。

二つ目は、全世界の各地域の異なるネットワーク環境下での信号をシミュレーションができるラボを設置したこと。これにより、同社デバイスは信頼性の試験段階でより多くテストできるようになった。

三つ目は、デバイスとプラットフォームデータの蓄積によりパス解析アルゴリズムを構築したこと。測位指標をベースにアルゴリズムを通じてユーザーの移動のトレースを総合的に分析し、正確な位置情報を得ることができるようになっている。

四つ目は、低コストの高精度測位技術と慣性航法装置(INS)の開発を進めていること。これは交通部門での管理レベルの向上と交通事故発生リスクの低減につながる。

PaaSプラットフォームによるカスタマイズサービス

IoTデバイス市場はすでにレッドオーシャンで、業界の収益率も縮小傾向にある。その一方で、同市場には高度に分散化した特徴もあり、各シーンにおける端末デバイスへの要求も異なる。

JimiIoTは規格化されたデバイス業務が頭打ちになっていることに目をつけ、カスタマイズサービスにチャンスを見いだした。政府や通信事業者を含む大手企業ユーザーに「デバイス+SaaS」の一体サービスを提供する。また1000万台レベルのデバイスがアクセス可能なJimiクラウドも構築した。

カスタマイズサービスモデルはユーザー企業の獲得と管理能力に対して高いレベルが要求される。JimiIoTの長期提携ユーザーには中国通信事業大手の中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、日本ビクター、トヨタ自動車、北京汽車集団(BAIC Group)、物流大手のSFエクスプレス(順豊速運)、バイドゥ(百度)、マイクロソフトなどが顔を並べる。これらユーザー企業に対して販売ルート拡大のサポートを行うことで、カスタマイズサービスを安定的に運営している。また、PDT(製品開発チーム)モデルを採用し、クラウドプラットフォームの標準化能力をベースに、ユーザーニーズに合わせて製品企画と設計をサポートする。

海外市場への進出と収益力の強化

同社は、10年から海外販売ネットワークを構築している。現時点で130余りの国と地域にローカルサービスセンターを設置している。19年には海外市場と中国国内市場の売上高はほぼ同等となっているが、収益率は海外のほうがはるかに高い。同社マーケティングマネジャーの彭琼氏は「我々は海外市場で、製品、価格、サービスのいずれにおいても競争力がある。中国国内のIoT市場は海外よりも進んでいるため、欧米諸国は中国の先進的で低コストなソリューションの導入を望んでいる。また海外企業は24時間体制の技術サポートも行っていない。このような事情から、多くのユーザーを獲得している」と述べている。

現時点では、代理販売、自社の生産拠点およびプロジェクト協力が海外での三大業務となっている。

ユーザーニーズを先取りしたソリューション

業界収益率が低い状況下では大手ユーザーとの長期提携は極めて重要で、ユーザーニーズに沿ったサービスを提供することが存続のカギとなる。したがって同社は、ユーザーの将来的な需要を予測し、前もって業務蓄積を行うことを心がけている。

彭氏は「今後、ヘルスケア、セキュリティー、高齢者事業などの分野でも業務展開を行う計画だ。新型肺炎の流行によってシェアバイクの利用、顔認識による非接触検温や入館チェック、物資の寄贈などが増加し、位置情報管理の重要性に対して人々の認識と理解が深まった。企業ユーザーと提携し、業界ニーズを結びつけて新たなソリューションを提案していく」と語った。

IoT産業チェーンには、ユーザー、クラウド、エッジ、管理、端末の5つのレベルが含まれる。現在多くの企業が産業の川上川下へ開拓を進め、異業種への参入傾向が現れ始めている。とはいえ、各企業が提供するコアバリューには違いがあるため、競争よりも提携が勝っている状態だ。その中でJimiIoTは、ニッチ分野へのソリューション提供で差別化を図っている。

現段階において、企業が自発的に行っているIoTは中国の政策主導によるIoT戦略よりも後手に回っている。今後は産業チェーン全体での取り組みが求められ、工業、交通、エネルギー業界などの最適化を図ることで、より成熟したIoT市場の建設をする必要がある。

(翻訳:lumu)

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