日本でも大人気の兆し コスメの保管専用冷蔵庫「PINKTOP」、美容の新カテゴリーを切り開く

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家電業界、特に従来の大型家電の分野では成長が鈍化傾向にあるが、人々のライフスタイルの変化に伴い、一部のニッチなシーンに注目した小型家電が新たに活発な成長を見せるようになっている。とりわけ美容機器、電動歯ブラシ、スキンケア機器、脱毛器など「美」とリンクした家電の分野では、新興ブランドの成長が著しい。

今回紹介するコスメ専用冷蔵庫は、スキンケア製品の冷蔵保管を目的とした容量12L前後の冷蔵庫で、これまでもTCLなど一部の既存ブランドが同様の製品を発売している。「PINKTOP(繽兔)」は2019年11月に設立されたばかりの新興ブランドで、コスメ専用冷蔵庫のファーストブランドを目指している。設立と同時にアリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」に旗艦店をオープンさせたが、その後半年足らずで天猫のコスメ専用冷蔵庫カテゴリーの首位に登りつめた。

「コスメ用冷蔵庫」という超ニッチ分野

製品設計以前、PINKTOPは市場及びユーザーインサイトについて充分な調査を行い、以下の点に注目し、コスメ専用冷蔵庫には潜在的ニーズが存在すると判断した。

1. コスメ専用冷蔵庫には輸出実績があり、一部の成熟市場で人気を博している。
2. 習慣的に化粧品をストックしているユーザーが多く、高級スキンケア製品の消費能力は低下していない。
3. スキンケア製品は開封され外気に触れると雑菌が増殖しやすくなるが、恒温低湿環境ならば製品は劣化しない。コスメ専用冷蔵庫があれば、スキンケア製品にとってより安全な保管環境を提供できる。

コスメ専用冷蔵庫は新たに開拓されたカテゴリーであり、市場規模のポテンシャルは非常に大きい。2019年、コスメ専用冷蔵庫の天猫における総売上高は1000万元(約1億5400万円)を上回っているが、PINKTOPは販売開始後半年で売上高が700万元(約1億700万円)に迫り、約50%の市場シェアを占め(海外取引を除く)、業界No.1、検索件数No.1のブランドとなった。

出典:PINKTOP

才色兼備な製品

創業者の李琦氏によると、PINKTOPは、25~40歳前後の中間層の女性をターゲットユーザーとしているが、その多くがマイホームを持ち、大量に化粧品を購入するという。

ターゲットとする女性の多くが自分用のドレッサーを寝室に置いているため、まず最初に取り組むべき課題は静音化だった。PINKTOPのコスメ専用冷蔵庫は空冷方式を採用しており、睡眠を妨げないレベルにまで静音化が可能である。

従来の食品用冷蔵庫の温度は0~6℃と化粧品保管の適温よりかなり低く、結露が発生することもあった。PINKTOPのコスメ専用冷蔵庫は10℃前後の定温を保ち、また空冷方式なので結露は起こらず、従来の冷蔵庫よりスキンケア製品の保管に適している。

出典:PINKTOP

また、容量が12Lと小さいように思えるが、庫内を大スペース(化粧水・乳液のボトル用)、中スペース(中型ボトル用)、小スペース(ジャーに入ったクリーム用など)、ドアポケット(シートマスク及び口紅用)に区切り、効率的な収納が可能になっている。内部を区切ることでスキンケア用品とメイクアップ用品を分けて収納できるため、ユーザーが日常的に開封・使用するスキンケア製品の保管ニーズを満たせる。

PINKTOPのコスメ専用冷蔵庫

0を1にするのは熱狂的支持者

新たな製品カテゴリーは、市場の教育という問題に直面する。創業者の李琦氏は、優れたブランドであっても、新興ブランドは継続的にユーザーとコミュニケーションを図り、定着を促していく必要があるので、コールドスタート期間においては「小紅書(RED)」のようなコンテンツコミュニティ型プラットフォームを利用することがユーザーの購買意欲を焚き付けるには最適な手段だと考えている。

製品の立ち上げ段階では、全チャネルにでプロモーション及び運営を行う能力が重要なカギとなる。PINKTOPは小紅書のほかライブ配信なども試み、「PROYA(珀莱雅)」、「Little Ondine(小奥汀)」、「AMIRO」、「YES!IC」など影響力のあるメイクアップやスキンケアのブランドとオンラインで共同プロモーションも行っている。

ブランドコラボデザイン

さらにPINKTOPはユーザーとの関係性も非常に重視しており、インフルエンサーとして他のユーザーを誘導し、彼らに製品コンセプトを伝え、購買意欲を惹き起こしてくれるような、スキンケア分野で強い影響力を持つユーザーを求めている。0から1を生み出す段階では、ブランドのファンを集結させ、基本をしっかりとこなすことがより重要だと考えている。

(翻訳:浅田雅美)

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