「声で稼ぐ」時代がくる、元36Kr米国責任者はポッドキャスト制作会社を設立

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

「声で稼ぐ」時代がくる、元36Kr米国責任者はポッドキャスト制作会社を設立

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

ポッドキャストにビジネスチャンスはあるだろうか。ショート動画やライブ配信の人気ぶりに比べると、音声を主体とするポッドキャストは狭い範囲だけで流行しているというイメージだ。しかしこのニッチに見える分野が急成長していることは否定できない。例えば、米国の音楽ストリーミングサービス「Spotify」はインタビューなどを放送する人気ポッドキャスト番組「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」と1億ドル(約107億円)という破格の価格で独占契約している。

モバイルインターネット調査会社「iiMedia Research」のリポートでは、中国の音声コンテンツ配信市場のユーザーは2019年に4億8900万人に達し、2020年には5億4200万人に達する見込みで、全体的な浸透率は低くないという。また、2019年にはポッドキャスト番組「日談公園(BB PARK)」と「大内密談(Midnigtalks)」が相次いで数百万元(数千万円)を調達していることから、資本市場もこの分野に注目し始めていることがわかる。

アップル中国が以前公式に推薦したポッドキャスト番組「声東撃西」を制作した除涛氏も、ポッドキャスト市場には大きなビジネスチャンスがあると考え、2019年に音声コンテンツ制作会社「声動活溌(Sheng.fm)」を設立した。

徐氏は起業前、36Kr米国コンテンツの責任者であり、「第一財経週刊(CBNweekly)」の編集長アシスタントを務めており、またパートナーの丁教氏は「遠跡資本(Ding Ventures)」の創業者だ。チームのこうした背景から同社は自社のコンテンツを「業界を限定しない幅広いビジネス情報」と位置づけ、ポッドキャストを通して、ビジネスに関心のある世界中の若者にテクノロジー・消費・ファッション・ライフスタイルなど一連の情報を伝えたいとしている。

Sheng.fmのオリジナル番組は3つある。まず「硅谷早知道」ではシリコンバレー(中国語で「硅谷」)における最新のホットな話題や最先端テクノロジー情報をリスナーに届けている。次に「反潮流倶楽部」では「時には最新トレンドに反逆する」をテーマに盲目的にトレンドを追求せず独立した思考を持つことを若者に促している。そして「到海外去」では中国の企業家の海外進出ストーリーやその経験を伝えている。

声動活溌傘下の3番組

徐氏は、Sheng.fmは自身が以前ビジネスメディアを手掛けた時と同じく質の高いコンテンツを維持することで差別化を図っているという。チームはまずテーマを選び、そこから編集、制作などのプロセスでコンテンツに繰り返し手を加えていく。

このようなハイクオリティで商業目的のオーディオコンテンツが現在不足していることは疑いようがない。「喜馬拉雅(Ximalaya)」「蜻蜓FM(qingting.fm)」などのプラットフォームで現在人気があるのは小話やオーディオブックなどのコンテンツで、Sheng.fmのような幅広いビジネステーマを扱うポッドキャストはほとんどなく、複雑な編集や制作プロセスを経たようなコンテンツについては言うまでもない。

そのため、Sheng.fmはユーザー定着率が非常に高い。ユーザーは一つのコンテンツを聞き終わった後、自主的に他のコンテンツを探し、また時には「聞き足りない」「更新を催促する」というような状況も発生するという。ユーザーがコンテンツを最後まで聞いた割合を見ると、一般的な長時間の音声コンテンツ配信プラットフォームでは20~30%の間だが、「声動活溌」では55%を超えるという。

Sheng.fmは月8本というペースで番組を更新しており、番組の再生回数は1本あたり7万回以上だ。毎月新たにダウンロードされる回数は60~70万回で、今年4月には100万回を記録している。

同事業最大の収入源はブランド広告事業だ。そのほか、企業の依頼を受けた音声コンテンツの制作サポートを収入につなげている。将来的にはコンテンツの版権費も収入源となる見込みだ。

前述のように、米国の音声配信コンテンツ市場はすでに白熱化した競争状態に突入しているが、将来的には中国も同様の道をたどるのだろうか。

米国の音声配信コンテンツ市場は2015年以降に成長してきたものだ。これはスマートフォンの普及と切り離して考えることはできない。また2015年には高品質で爆発的にヒットするコンテンツが登場した。その後、アップルやグーグル、アマゾンなど大企業も音声配信エコシステムへの投資を強化し、多くのメディアがこの業界に参入している。

徐氏は現在の中国市場でも同様の流れを見ている。喜馬拉雅や蜻蜓FMなどの音声配信プラットフォームがUGC(ユーザー生成コンテンツ)を独占しているが、テンセント傘下で音楽配信を手がける「テンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME)」やバイトダンス傘下の小説サイト「番茄小説(www.fqxsw.cc)」をオーディオブックの形式にした「番茄暢聴」など、大企業も積極的に音声コンテンツ市場に手を広げようとしている。また、広告主という側面から見ると、ますます多くのブランドが音声コンテンツやポッドキャストユーザーの価値を認識し、広告を投入するという動きも見られる。

この一連の動きは文字や動画以外に音声コンテンツのビジネスチャンスがまさに到来しようとしていることの証明だ。プラットフォーム間の競争が落ち着けば、必要とされるのは優れたコンテンツだろう。

Sheng.fmは昨年エンジェルラウンドで数百万元(数千万円)の資金を調達しており、現在はプレシリーズAでの資金調達を準備中だ。
(翻訳・山口幸子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録