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7月22日、集積回路の設計を行う「芯原微電子(VeriSilicon、以下「芯原」と略称)」の、科創板(スターマーケット)への上場申請が承認された。
※Update※
8月18日、同社は上海取引証券場のハイテク新興企業向けの科創板で上場を果たした。初日は公募価格を289%上回る150元で寄り付き、終値は148元。記事公開時点で、同社の株価は156元で、時価総額は753億元(約1兆1460億円)となっている。
芯原は2001年に設立され、ワンストップ型の集積回路カスタマイズサービスや、半導体IPライセンスを主要業務としている。同社は「SiPaaS(サービスとしてのシリコンプラットフォーム)」というビジネスモデルを採用しており、自社では集積回路を製造しておらず、収益はすべて集積回路のカスタマイズとIPライセンスによるものだ。
同社は今回の上場で7.9億元(約120億円)を調達する予定で、調達した資金はウェアラブルデバイス、スマートカー、スマートインテリア、スマートシティ、クラウドプラットフォーム向けのIPライセンス事業に使う予定。
市場調査会社「IPnest」の集計によると、半導体のIPライセンス収入において、芯原は中国本土トップで、世界第7位である。また、市場調査会社「Compass Intelligence」のレポートによれば、2018年のAIチップ開発企業のランキングにおいて、芯原は世界第21位、中国第3位であった。中国の上位2社はファーウェイ傘下の海思半導体(HiSilicon)と「瑞芯微電子(Rockchip)」である。
2017〜2019年、芯原の売上高はそれぞれ10.80億元(約160億円)、10.57億元(約160億円)、13.40億元(約200億円)だった。しかし、収益力は低く、上記3年間は合計2.37億元(約36億円)の赤字であり、設立以来の累計赤字は15.81億元(約240億円)に上る。2020年上半期は0.83〜0.8億元(約12億円)の赤字と同社では予測している。
赤字について、芯原は開発費の高騰を要因に挙げている。目論見書に記載された3年間、売上高に占める開発費の比率は30.71%、32.85%、31.72%だった。持続的な黒字化を実現できていないものの、開発に注力してきたことで、今後の成長を支える技術的なベースはできているという。
芯原の主な顧客はインテル、サムスンなど世界的な半導体メーカー、Facebook、グーグル、アマゾンなどインターネット大手、ファーウェイ、「瑞芯微(Rockchip Electronics Co., Ltd.)」、ZTE、監視カメラ開発の「大華股份(Dahua Technology)」、集積回路設計の「晶晨股份(Amlogic)」などの国内企業である。
同社の株式所有構造を見ると、実質的支配者はなく、筆頭株主である「VeriSilicon Limited」の持株比率は17.91%で、他の株主は「国家集積回路産業投資基金」、「IDG資本(IDG Capital)」、「Intel Capital」などである。上場前の最後の資金調達では、スマホ・IoT家電大手の「シャオミ(Xiaomi、小米)」傘下のファンドが出資し、持株比率で第4位となっている。
芯原は海外事業の比重が高い。目論見書によれば、2017〜2019年の海外での売上高は総売上高の67.65%、73.75%、54.64%を占めているという。したがって、国際貿易環境の変化の業績への影響が大きく、ほかにも現地のレギュレーション、政治情勢、知的財産権政策の変化に注意が必要となっている。
集積回路設計は高度な技術と長い開発期間を必要とするため、完成品が予期した性能に達しない、開発途中での顧客需要の変化、市場トレンドの変化といったリスクもあると芯原は認めている。
(翻訳:小六)
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