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ニューリテール(新小売)が近年の中国で注目され続けている。オンラインの順番受付けやスマートフォンによるフード注文、非接触受け取りサービスなどが徐々に生まれる中、既存型小売店もデジタル・トランスフォーメーション(DX)を迫られている。新型コロナ禍によってオンライン消費の浸透率も上がった。
リテールクラウドを手がけるベンチャー企業「KABOB」は、チェーン展開する小売企業や飲食企業に向けSaaS形式でワンストップソリューションを提供している。複数店舗に設置するデジタルサイネージや店舗BGMの一括管理、人材研修における評価、顔認識・人体認識など多くのシーンで活用できる機能が揃う。すでにマクドナルドやバーガーキング、アリババ傘下の生鮮食品EC「盒馬鮮生(Hema Fresh)」などに導入されているという。
KABOBの強みは総合的なソリューションにある。提携企業はKABOBの提供するリテールクラウドのプラットフォームから必要なアプリをダウンロードしてサービスを利用する。現在18のアプリが提供されており、マーケティングの自動化やクリエイティブ制作の自動化、店舗運営や従業員管理など、店舗の経営・マネジメントに必要な主要機能が揃っている。
KABOBの蔡宗沛CEOは「デジタルサイネージを提供する企業はすでに多く存在するが、小売り全般をカバーするソリューションは少ない。我々のソリューションはワンストップ型で、なおかつAndroidやWindows、LinuxなどのOSに対応しており、複数のシーンをバックヤードで同時管理できるため、運営・管理が楽になる」と説明する。
また、KABOBのリテールクラウドプラットフォームはPOS(販売時点情報管理システム)、CRM(顧客関係管理システム)、ビジネスコラボレーションツールの「Ding Talk(釘釘)」「WeChat Work(企業微信)」、SNSアプリ「WeChat(微信)」などとデータを共有できる。蔡CEOによると、同社の提供するSaaSを利用すれば導入各所にソフトウェアのインストールをせずに済み、メンテナンス費やサーバー購入費も不要で、コスト節約になるという。
マクドナルドなど大手企業との提携を進めるにあたり、KABOBのプラットフォームは万単位の接続デバイスに同時対応するだけのキャパシティを備えた。一般的には200台前後が正常運営の限界だという。
新型コロナウィルスの感染拡大時期には三密回避アプリ「密密」も発表した。店内カメラとAIアルゴリズムを用いて店舗内の人数を探知・測定。各エリアの人員密度やソーシャルディスタンスの実践状況をモニタリングし、数字や音声で通知およびアラートを発するものだ。
KABOBの主な顧客は大型小売りチェーン、飲食チェーンだ。前出のマクドナルドやバーガーキングのほかに、家具量販のイケアや中国の次世代型スーパー「超級物種(Super Species)」「永輝超市(Yonghui Superstores)」など、中国、台湾、日本など各地にまたがる。
リテールクラウドの未来について、蔡CEOは、今年の新型コロナ禍で多くの小売店がDXを進めるようになり、将来的にはこうした事業者向けのサービスやツールがより多く誕生する可能性に言及しながらも、最終的には大手企業が中小企業の買収・合併を進め、市場を寡占するような大型プラットフォーマーが誕生すると予想する。
KABOBは2018年3月にシリーズAでWI Harper Groupから出資を受けている。資金は主に海外市場の開拓や技術開発チームの拡充に充ててきた。蔡CEOによると、同社は2016年には黒字化しており、来年には北米市場の開拓に注力するという。
(翻訳・愛玉)
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