家電量販大手「国美」がオンラインプラットフォームを新設 グループ全体のデジタル化改革を急ぐ

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中国総合小売大手の「国美控股集団(Gome Holdings Group)」が8月13日に発表した公告によれば、同グループは「国美オンラインプラットフォーム」という会社を新設し、新会社のCEOに向海龍氏を任命したという。向海龍氏は2019年にバイドゥ(百度)から国美に転職し、グループ全体の顧問を勤めていたが、今回顧問の職を離れCEOに就任することになった。

同社の説明によれば、国美オンラインプラットフォームの新設は、グループの事業全体のオンライン化をよりスムーズに進めるためだという。家電、インテリア、火鍋食材、生鮮食品など主要業務のオンライン化をさらに推進し、各事業部を横断するオンライン会員システムをローンチする予定だ。この施策により、マーケティング、会員サービスを向上させ、効率と会員の購買率を上げていきたいとしている。

オンラインプラットフォームの新設に伴い、国美グループ全体の組織改革も行われる。公告によれば、オンラインプラットフォームはグループ内のオンラインに関する運営、技術、商品の3つの面のリソースを統合していく予定だという。

運営面では、国美の公式アフィリエイト広告の運営、業態転換に関する戦略、プラットフォームに入る企業の募集を担当することになる。技術面では、既存の「情報技術プラットフォーム」全体をオンラインプラットフォームに組み込み、さらにビッグデータ、クラウド技術の開発を強化し、「情報技術システム」として再編する。

技術面は向海龍CEOの直轄になる。バイドゥ時代の向海龍氏は、長期に渡り検索事業を担当しておりオンライン広告、検索連動型広告を熟知し、検索技術とその収益化に精通している。国美グループのオンライン化には技術面の支えが不可欠で、「情報技術体系」が同CEOの直轄になったことは想定内のことだと言えよう。

商品面では、アフィリエイト広告、法人向け、個人向け事業と分かれていた商品とその担当者をすべてオンラインプラットフォームに組み込む。そのうえで、一つの大きなプラットフォーム型の商品として再編し、各事業が求めるオンライン化に対し全体的に対応できるようにしていくという。

小売を中心とする国美は、すでに具体的な事業面でのオンライン化をはじめている。現時点では、大手ECと提携したB2B2Cという形の展開が多い。たとえば、今年4月22日から、国美は自社が扱うすべての商品を「拼多多(Pinduoduo)」で購入できるようにしており、拼多多からトラフィックと会員情報などの提供を受けている。国美はさらにグループ傘下の「安迅物流(ANXUN)」を使い、拼多多に物流と倉庫サービスを提供している。

今年7月には、「京東(JD.com)」とも提携することになった。京東が国美のアプリに2万SKU以上の商品を出品し、国美も京東にオンラインフラッグシップストアを開設。今後さらに300億元(約4500億円)分の商品合同仕入れを予定しているという。このように、EC大手とのサプライチェーンの共有において、国美はすでに大胆な革新を行っているのである。

しかし、国美グループは赤字から脱出できていない。8月7日、国美は上半期の親会社株主に帰属する純損失が25億元〜30億元(約380億円〜約450億円)になると発表した。2019年上半期の3.8億元(約60億円)の赤字から大幅な悪化となっている。赤字の要因は新型コロナ禍であり、ECが弱い国美は、外出が減少した現状では打つ手がなく、在庫が積み上がっている。そうした状況を一刻も早く変えようと、今回のオンラインプラットフォームの新設と大幅な組織改革に踏み切ったのである。

(翻訳:小六)

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