2020年上半期の新エネ車販売台数で欧州が中国を上回る その理由は

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2020年上半期の新エネルギー車販売台数で欧州が中国を上回る その理由は

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2020年の世界の新エネルギー車市場を俯瞰すると、中国市場での販売台数が減少したのに対し、欧州市場では販売台数が急増していることがわかる。中国自動車協会の集計によると、今年上半期の中国国内の新エネルギー車の販売台数は前年同期比44%減の33.5万台となり、欧州では前年同期比52%増の40.33万台となった。販売台数と保有台数で長年世界トップだった中国市場が、欧州に逆転されたのである。なぜこうなったのか、その理由を探ってみたい。

補助金政策の効果

中国と欧州市場の新エネルギー車の販売台数の変動について、「中国自動車流通協会」の常務理事賈新光氏は、欧州が2019年から補助金を引き上げ、中国が引き下げたことが最大要因だと指摘する。

中国は2019年7月から新エネルギー車補助金の段階的な減額に踏み切り、その後12カ月連続で新エネルギー車の販売台数が前年同期比減少となり、補助金が少なければ、新エネルギー車は性能面などで内燃機関車と比べ魅力に欠けるということを印象づけた。

一方の欧州は、2019年に大規模な補助金政策を開始し、現在EU27カ国のうち26カ国が補助金を出している。2020年に入ると、補助金の増額を行う国も複数出てきた。

欧州の動きは、電気自動車を推進するという決心の表れであり、新型コロナ禍での自動車業界への支援の一環でもある。こうした中国と欧州の政策の違いが、上半期の販売に影響したのだ。

「アメとムチ」 方針の違い

しかし、補助金政策の変化は、短期的な原因でしかない。より長期的な視点で見れば、新エネルギー車に対する政策方針が、中国と欧州ではじめから異なっていたのである。

中国の方針は、最初から巨額の補助金で、産業を一気に育成するというものである。中国自動車協会の集計によると、2012年〜2019年にかけて、中国の新エネルギー車の販売台数は1万台未満から120.6万台に急増し、飛躍的な成長を遂げた。

画像は「北汽新能源(BAIC BJEV)」より

しかし、補助金で育った市場は、業界関係者から「規模が大きいだけで、実力は低い」と目されてきた。実際、技術水準の低い企業が過剰な価格競争により、市場を混乱させたことがあり、補助金の不正受給も頻発した。

それに対し、欧州の方針は、補助金という「アメ」で新エネルギー車を奨励するのではなく、厳しい制限措置と罰則の「ムチ」で、自動車メーカーに変革を迫るものである。

EUは2009年と2019年にそれぞれ自動車の排気ガスに関する厳しい制限措置を可決している。各メーカーの新車1台あたりのCO2の平均排出量を規制したものだ。それと同時に、2012年から、平均排出量が基準未達となった場合、罰金を徴収すると決めている。投資銀行「Evercore」のアナリストは、仮に欧州の各メーカーの2021年の平均排出量が2018年と同じなら、罰金額は330億ユーロ(約4兆2000億円)に上ると試算している。

画像はフォルクスワーゲンより

こうした規制に対応しようと、欧州の自動車メーカーは新エネルギー車の技術開発に舵を切った。その成果はここ2、3年に表れはじめ、2018年時点では60車種の新エネルギー車しかなかった欧州市場は、2020年には45社、132車種という規模になったのである。

中国市場の成長に期待

欧州市場に逆転されたが、中国市場の今後は決して悲観的なものではない。その根拠は以下の通りだ。

まず、新エネルギー車の市場の変化が、すでに始まっていることである。自動車業界のコンサルティングを専門とする「威爾森(WAYS)」の集計によると、2019年の上半期の時点では、中国の新エネルギー車販売の中心はAセグメントだったが、2020年の上半期はより高額なBセグメント、Cセグメントが中心になったという。

高額な車種が売れ始めたということは、市場が少しずつ成熟し、実力を備え始めたことを意味する。もう一つの重要なことは、新エネルギー車に関連するインフラの普及である。

画像はドイツのエネルギー大手「E.ON」より

電気自動車の普及に充電インフラは不可欠である。そのため、中国は「電気自動車を1台販売するごとに、充電スタンドを1カ所設置する」という行政方針を採用しているが、「中国電気自動車充電インフラ促進連盟」が2020年7月の時点で、112.4万台の電気自動車を対象に調査したところ、31.1%の車両に充電スタンドが付随していないことがわかった。

充電インフラの不足は欧州でも深刻である。現在、欧州全体で使用できる公共の充電スタンドは20万未満。予測では、2030年に欧州の電気自動車の保有台数が4400万台となり、充電スタンドが300万カ所必要となるため、15倍もの増設が必要になる。

中国の2019年の新車販売台数に占める新エネルギー車の割合は5%であり、中国工業情報化部はこのほど、この数字を2025年に25%に引き上げる目標を掲げた。欧州も、2030年までに新車販売台数に占める新エネルギー車の割合20%を必達目標としている。2019年のこの数字は3.1%だった。

中国市場も欧州市場も、まだ大きなポテンシャルを持っている。新エネルギー車は少しずつ、内燃機関車の市場を奪い取るようになっていくだろう。(翻訳:小六)

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