現実になりつつある宇宙鉱業 中国スタートアップが探査ロボット打ち上げ予定

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現実になりつつある宇宙鉱業 中国スタートアップが探査ロボット打ち上げ予定

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2019年、中国初の宇宙の鉱物資源開発を行う企業「起源太空(Origin.Space)」が設立された。同社は小惑星にある鉱物や水資源の開発と利用を目指している。

米国トランプ大統領は、今年4月6日に宇宙資源に関する大統領令に署名し、月や小惑星の資源開発を政府がバックアップする姿勢を鮮明にした。宇宙における資源を巡る競争が起きている現状において、起源太空は資源の争奪戦に参加する唯一の中国の民間宇宙開発企業である。

小惑星の鉱業の現状

これまでSFの世界の出来事であった小惑星の鉱業は、すでに実現可能なものになっている。

宇宙資源開発においては、コストが最大のネックとなっている。業界の常識では、直径30メートル以上、かつプラチナを大量に含む小惑星の採掘でしか収益が見込めないとされている。それに対し、起源太空はコストを抑制できれば、直径10メートルで炭素系の物質を主成分とするC型小惑星でも、十分収益化が可能だと見ている。

最もよく見られる3種類の小惑星。36Krが画像を作成

小惑星鉱業の収益化を実現するために、起源太空は今年11月に「NEO-01」宇宙鉱物探査ロボットを打ち上げる予定である。これは世界初の民間企業が開発した宇宙鉱物探査ロボットであり、成功すれば同業界全体にとって大きな一歩となる。

また、小惑星にどのような資源があり、収益化が見込めるかどうかの正確な判断も、業界全体を悩ませる難題である。起源太空は世界でもっとも整備された小惑星総合データベースとシミュレーターを保有しており、観測データに基づいた、比較的正確な予測が可能だ。2021年上半期には、自社の望遠鏡を打ち上げ、直径100メートル級の地球近傍小惑星の観測と資源探査をより正確に行い、商業的価値の有無を判断するという。

画像はインターネットより

技術面だけでいえば、米国が小惑星ベンヌ、日本が小惑星リュウグウからサンプルを採取したように、小惑星の鉱業を可能にする技術は複数国が保有しており、現在はどの国もコスト抑制、リスク軽減に取り組んでいる。今後の長期的な見通しとしては、小惑星の資源を地球に持ち帰るのではなく、宇宙でそのまま使用することを目指すようになるだろう。

起源太空のX線探査衛星

来年に月を探査

起源太空の従業員は10数名で、創業者の蘇萌氏は高エネルギー天文学の最高賞である「Bruno Rossi Prize」を最年少で受賞しており、これまでで唯一の中国人受賞者でもある。ほかのメンバーも、中国トップクラスの惑星科学研究者や、ベテランの宇宙航空エンジニアからなる。

蘇氏によると、会社の今年の売上高は約2000万元(約3億円)と見込まれ、衛星データの販売のほかにも、複数のビジネスモデルを模索しているという。また、国の研究機関のサポートもあり、同社の衛星のコストは同業他社の1/10である。その強みを生かし、今年と来年の衛星の打ち上げに成功すれば、宇宙探査の民間企業として、世界でもリーディングカンパニーに成長できるという。

起源太空の当面の探査目標は、2021年に予定されている月探査である。同社は2台の赤外線分光望遠鏡で月面の資源を調べ、地球と月の間の環境のモニタリングを開始する予定。実現できれば、月に接近して探査を行う世界初の民間企業となる。

宇宙開発については、2017年初頭にゴールドマン・サックスが数兆ドル(約数百兆円)規模の市場になるとのレポートを発表している。そのため、小惑星の鉱業にかかるコストが数十億ドル(約数千億円)と見られるなかでも、米国や日本のスタートアップが資金調達に成功した。起源太空も、2019年10月に、エンジェルラウンドで「マトリックス・パートナーズ・チャイナ(Matrix Partners China)」から、エンジェルラウンド+で「線性資本(Linear Venture)」から計5000万元(約7億5000万円)を調達している。

起源太空はさらに、今年末頃にプレシリーズAの資金調達を始める予定。調達した資金は来年の月探査や、基礎技術の向上に使われる。資金調達が順調に進めば、起源太空は深宇宙探査や月面着陸を目指すとしており、成功すれば、ともに民間企業として世界初となる。(翻訳:小六)


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