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9月11日夜、上海証券取引所がEC大手「京東(JD.com)」グループ傘下の金融サービス企業「京東数字科技(JD Digits、以下「京東数科」と略称)」の目論見書を公開した。
京東数科は今回最大5.38億株を発行し、発行後総株式の10%以上を占める。今回発行するのはすべて新規株式であり、既存株主の売出しは行われない。また、募集株数の15%を上限にオーバーアロットメントを採用。合同保障推薦機関と引受人は「国泰君安(Guotai Junan Securities)」と「五礦証券(Minmetals Securities)」である。
目論見書によると、2017年〜2019年の京東数科の売上高は90.70億元(約1400億円)、136.16億元(約2000億円)、182.03億元(約2700億円)で、粗利率は54.69%、64.38%、65.77%と、上昇し続けている。
同社の収益構造も公表されている。目論見書では顧客を業界や種類により3種類に分けており、その内訳は金融機関向けデジタル・ソリューション、店舗・企業向けデジタル・ソリューション、政府・その他向けデジタル・ソリューションとなっている。
2020年6月の時点で、この3分野が売上高に占める比率はそれぞれ41.48%、52.37%、5.57%である。
金融機関向けの顧客は、600の銀行、保険会社、基金、信託銀行、証券会社、そして1000以上のアセットマネジメント会社である。京東数科が提供するサービスには、金融機関内部のデジタル・トランスフォーメーション支援と、京東数科と提携した小口融資、法人向けクレジットサービスなど、新商品の開発がある。これらの業務により、銀行の顧客とクレジットカードの発行数などを増やすことができる。
店舗・企業向けでは、100万以上の零細小売店、20万以上の中小企業が、「京東白条」という個人向けクレジットサービスに加入している。加入店舗では「京東白条」を使ってクレジットカードと同様の決済ができるため、手元に現金がなくても気軽に買い物ができる。京東数科の集計によると、「京東白条」を使うことで、京東のECに出店した店舗の顧客リテンション率は約100%上がり、1人あたり注文回数が50%増え、売上高が約80%増えるという。
「京東白条」の関連データが公表されたのは今回がはじめてである。このサービスが始まって以降、年間アクティブユーザー数は2492.73 万人、3584.36 万人、5780.61 万人、5544.61 万人と推移し、売上高は14.73億元(約220億円)、27.3億元(約410億円)、32.10億元(約480億円)、17.94億元(約270億円)となっている。
政府・その他向けでは、スマートマーケティングとスマートシティがメインとなる。スマートマーケティングでは、京東数科が自社所有または提携している1500万以上のサイネージを使い、全国300都市の6億人以上に対して発信することができる。スマートシティでは、雄安新区、南通市と都市管理に関して提携している。
2020年6月30日の時点で、京東数科の従業員数は9989人で、開発スタッフや専門職がそのうち約70%を占める。上場で調達した資金の72%が、技術開発とデジタルソリューションの更新に使われる。
また、目論見書によると、京東数科の筆頭株主と実質的支配者は、京東の創業者兼CEOの劉強東氏である。劉氏は新株発行前の総株式の8.86%を直接保有し、さらに持株会社3社を経由する形で41.49%の株式を保有。持株比率は合計50.35%となる。
(翻訳:小六)
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