上場目前の新興EV「威馬汽車」がシリーズDで1500億円調達、最大の法人株主はバイドゥ

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中国の新興EVメーカー「威馬汽車(WM Motor)」がシリーズDで総額100億元(約1500億円)を調達した。上海市国資委傘下の投資プラットフォームと「上汽集団(SAIC Motor)」が共同でリード・インベスターを務めたほか、既存株主のバイドゥと「海納亜洲創投基金(SIG China)」も引き続き出資に参加した。さらに「湖北長江産業基金(Yangtze River Industry Fund)」「国投創益産業基金(SDIC)」「広州金融控股集団(Guangzhou Finance Holdings)」、蘇州市・昆山市の産業基金、湖南省衡陽市の国有投資プラットフォーム、安徽省合肥市の産業基金など数多くの国有資本が出資者に名を連ねている。

今回の資金調達は威馬汽車にとってプレIPOでもある。36Krが情報筋から入手したところによると、威馬汽車はすでに中国版ナスダックと呼ばれる「科創板(スター・マーケット)」への上場に向けて株式制への変更を進めているという。10月には上場申請に必要な書類を提出すると見られており、「中信建投証券(CSC Financial)」がIPO支援を行うとのこと。

バイドゥが依然として最大の株主

今回の資金調達を終えた時点で、バイドゥが依然として威馬汽車の最大の株主となっている。

2017年11月、威馬汽車がシリーズBで資金調達を行った際にリード・インベスターを務めたのがバイドゥだった。その1カ月後のシリーズB+では、「中国国有企業結構調整基金(China Structural Reform Fund)」「五鉱資本 香港(Minmetals Capital Hong Kong)」「セコイア・キャピタル・チャイナ」、テンセントなどから出資を受けている。

バイドゥとテンセントは、いずれも早い段階で威馬汽車とその競合EVスタートアップ「蔚来汽車(NIO)」の両方に出資してきた。2017年3月にNIOがシリーズCで総額6億ドル(約630億円)を調達した際には、バイドゥ・テンセントもそれぞれ1億ドル(約105億円)を出資している。しかし同年末に威馬とNIOが同時期に資金を募ったときに、状況が変わり始める。テンセントはNIOのリード・インベスターとして23億元(約360億円)近くを出資、威馬汽車に対してはコ・インベスターとして少額を投じるにとどまった。一方でバイドゥはNIOを巡るテンセントとの争いを諦めて、威馬汽車のリード・インベスターを務めることになる。

2019年3月、威馬汽車がシリーズCで総額30億元(約460億円)を調達した際、バイドゥはさらに金額を上乗せする。バイドゥやテンセントに続き、アリババや「美団(Meituan)」も続々とEVに参入、「小鵬汽車(Xpeng)」と「理想汽車(Li Auto)」にそれぞれ出資する。IT企業4社がそれぞれ新興EVメーカー4社を支援するという構図が次第にできあがっていった。

財務報告書によると、小鵬汽車の上場後、アリババは13.3%の株式を保有し、15%の議決権を持っている。美団と王興CEO個人が保有する理想汽車の株式は合計23.3%で、議決権は8%。今年8月に増資したNIOに関しては、テンセントが株式保有率12.6%で、議決権は19.2%となっている。

そして今回も威馬汽車に出資したバイドゥを含めると、中国IT大手4社がそれぞれ新興EVメーカー4社の最大の法人株主となっているのだ。

新興自動車メーカーは急拡大へ

威馬汽車がシリーズDで資金を調達する2カ月前、ライバル企業である理想汽車と小鵬汽車が相次いで米国に上場した。理想汽車はプレIPOとIPOで総額20億元(約2100億円)を、小鵬汽車は24億ドル(約2500億円)を調達した。NIOも株式増発により17億ドル(約1800億円)を調達しており、3社とも150億元(約2300億円)以上の資金をすでに集めたことになる。

それに対して威馬汽車は中国国内の人民元市場にフォーカスし、国有資産をバックに持つ出資者を数多く引き入れた。結果、新興自動車メーカーがシリーズDで一回に調達した金額としては過去最高を記録した。

国有資産を大量に引き入れたことを懸念する声もある。「国有資産による投資は一般的に支払い周期が長い。金融系の投資機関のほうが良かったのではないか」、ある新興自動車メーカーの投資責任者はこのように語る。

とはいえ、逆の見方を持つ業界関係者もいる。上海証券取引所は2019年3月に、上場申請の6カ月以内に追加発行した株式について、発行会社が増資による変更登記を完了した日から3年間は保有を義務づけるとの公示を発表した。米国市場では6カ月のロックアップ期間が過ぎると、中核的出資者以外のヘッジファンドがすぐさま株式を手放すケースが多いが、長期スパンという特性を持つ国有資産なら上場後3年間の株式を保有し続けることは難しくない。それを考えて威馬汽車は大量の国有資産を集めたというのだ。

プレIPOとIPOを合わせると威馬汽車の調達資金は100億元(約1500億円)を超えるとみられる。新興自動車メーカーへの投資熱を支える基盤となっているのは、高水準を保つ納車台数だ。今年の第2四半期以降、NIOが1カ月に安定して3500台以上を納車できるようになったほか、理想汽車、小鵬汽車、威馬汽車もともに1カ月2000台以上の納車台数を実現している。

2015年から2020年にかけて、新興自動車メーカー各社は生き残りをかけた戦いを繰り広げてきた。それを生き残った企業は、これからさらなる成長と勢力拡大を目指す新たな戦いのステージに突入する。(翻訳・畠中裕子)

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