中国電動二輪の電池交換は激戦 中日米VCから数十億円調達の「IMMOTOR」、大都市で黒字達成

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中国電動二輪の電池交換は激戦 中日米VCから数十億円調達の「IMMOTOR」、大都市で黒字達成

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昨年7月、中国では電動二輪車の需要の高まりと電動自転車に関する新基準「電動自転車安全技術基準」の施行に伴い、IT大手をはじめ従来型の電池メーカーやスターアップ企業が次々と電動二輪車のバッテリー交換分野に参入し始めていた。

その後1年余りがたった現在、バッテリー交換業界は激戦状態となっている。新型コロナウイルスの流行が各業界に大きな影響を与える中、デリバリーなど硬直的需要(価格変動の影響を受けにくい需要)のある業界にバッテリー交換サービスを提供した企業は著しく業績を伸ばし、投資機関の注目を集めている。

グリーン(環境配慮型)スマートエネルギーネットワークプラットフォームである「深圳易馬達科技(IMMOTOR)」はこのほど、シリーズC1で数億元(数十億円)を調達したと発表した。

今回の資金調達では「南網資本(Nanwang Ziben)」、欧州ベンチャーキャピタル「Idinvest Partners(ユーラゼオグループ)」、日系の人工知能(AI)ファンド「PKSHA SPARX Algorithm Fund」、米PEファンド「57Stars」のほか、既存株主の「緑動資本(Asia Green Fund)」、「青島擁湾資本(Yongwan Capital)」、「深圳琮碧秋実投資管理」、韓国証券大手の「未来アセット金融グループ」などが追加出資した。調達した資金は、主に次世代製品の開発とグリーンスマートエネルギーネットワークのインフラ建設に充てるという。

IMMOTORは2015年に設立され、深圳に本部を置く。2017年には「e換電」ブランドを発表し、スーパーバッテリー、スマート電池交換スタンド、エネルギー管理システム、アプリ、ビッグデータプラットフォームを含むグリーンスマートネットワークプラットフォームを構築している。現時点で特許77件を取得し、65件を出願中である。

「e換電」の主なユーザーは「美団(Meituan)」や「餓了麼(Ele.me)」、「達達(DADA)」、「SFエクスプレス(順豊速運)」、「叮咚買菜(dingdongmaicai)」などのデリバリースタッフだ。年内に消費者向けのバッテリー交換サービスを打ち出す計画もある。すでに中国全土の都市50カ所余りにバッテリースタンド8000台を設置し、バッテリー交換を毎日延べ50万回以上行っている。累計のバッテリー交換回数は延べ1億8000万回以上、供給したパッテリーによる総走行距離は17億キロを超える。

IMMOTOR提供のデータより作成

IMMOTORは現在シリーズC2で資金調達中である。創業者兼CEOである黄嘉㬢氏は36Krの独占取材に応じ、同社の事業や業界内での競争などについて語った。

事業について

――昨年5月にシリーズB+の資金調達後、主要事業をどのように展開しましたか。

黄嘉㬢氏「従業員数が倍近くになり、とくに開発チームメンバーがかなり増えた。今年8~9月のバッテリー交換数は昨年同期に比べ爆発的に伸び、バッテリー交換スタンドは少なくとも約1.5倍に増えた」

――御社の収入源、収益規模、収益状況どのようになっていますか。

黄嘉㬢氏「利益の85%~90%がバッテリー交換サービスによるものだ。会社全体での黒字化はまだだが、黒字になりつつある都市も多い。今年の売上高は約10億元(約150億円)になる見込みだ。会社の収益目標について、来年にははっきりとした方向性が示せる」

――収益が上がっている都市の特徴や収益アップの方法についてお話しください。

黄嘉㬢氏「投資規模が大きかった大都市はすべて黒字化しつつある。黒字に転じた理由の一つは売上高の増加だが、もう一つはビッグデータなどを生かした資産管理、自動化、スマート管理などを行ったことだ」

――海外ファンドによる投資も得ていますが、海外市場への進出状況はいかがですか。

黄嘉㬢氏「これまで海外市場向けの製品やシステムの開発を行ってきた。中国国内では依然として低速車が主流だが、東南アジアや欧州ではすでに高速車が主流となっているため、高速走行の二輪電動車向けバッテリーについても研究開発を進めている。今年末から来年初にかけて弊社の新システムモデルを東南アジアで実施する計画だ」

業界について

――バッテリー交換業界の競合他社や市場枠組はどのようになっていますか。

黄嘉㬢氏「この業界で規模が大きいのは弊社と『中国鉄塔(China Tower)』の子会社『鉄塔能源(Energy Tower)』だ。鉄塔能源は郵政、宅配、デリバリー業界などの企業向けで、現地の支店や基地局の資源を生かしてユーザーを獲得している。また『興達智聯科技(Xingda Zhilian Technology)』が手がける『哈喽換電(Hello)』も大きいが、弊社や鉄塔能源ほどではない。中国市場はかなり大きいため競合他社も多いが、今後は市場の再編や合併吸収などが進むだろう」

――美団や「Hello Global(哈囉出行)」など二輪車業界の大手企業もバッテリー交換業務に参入していますが、御社の脅威になりませんか。

黄嘉㬢氏「これらの企業の主な事業はモビリティ事業で、三級以下の都市でシェアサイクルサービスを提供しており、バッテリー交換は専用のプラットフォームで行っている。一方、弊社のバッテリーは互換性があり、すべての二輪車メーカーや配送センターと提携しているため、この2社とはあまりぶつからない。弊社は現在、一級都市および新一級都市に重点的にバッテリー交換スタンドを設置している。、来年以降は徐々に二、三級都市へと拡大していく予定だ」

――バッテリー交換業界はどのレベルまで発展しているのでしょうか。

黄嘉㬢氏「まだ初期段階だ。多くの関心を集めてはいるが、まだまだ試験段階であり、全体の規模は小さい。デリバリー業界への浸透率が50~70%に達している都市もあれば、5~10%に満たない都市もあるのが現状だ。企業向けのバッテリー交換は2016年~17年に始まったばかりで、一般ユーザー向けは各地に小規模なテスト地点があるだけだ。規模の拡大にはまだ時間がかかる」

――この業界のボトルネックとなっているのは何ですか。

黄嘉㬢氏「最も重要なのは電池の安全性だ。バッテリー交換スタンドの安全性を確保することも課題だが、真の意味でのボトルネックは消費習慣ではないか。充電式に慣れたユーザーがバッテリー交換に慣れるまでには時間がかかる。また、これまでの電動二輪車のバッテリーはユーザーに販売された後、メーカー側はノータッチだった。弊社はバッテリー交換サービスをエネルギーサービスと捉え、インターネットとビッグデータですべてのバッテリー交換スタンドとバッテリーを管理している。停電やインターネットの不具合などがあった場合でもバッテリー交換は可能で、データが自動で保存される仕組みも用意している」
(翻訳:lumu)

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