中国資本の排除が進むインド、スタートアップはどこから資金を調達するか

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インドのユニコーン企業は現在30社。そのうちの18社が中国の投資家や企業から出資を受けている。

2019年に、中国の投資家がインド企業に投資した金額は前年の倍近い39億ドル(約4100億円)に上る。多くの中国投資家に言わせれば、今のインドのインターネット市場は十数年前の中国のようだという。しかもインドは14億人もの人口を抱える巨大市場だ。インドのスタートアップも、知識や技術や資金力の豊かな中国投資家を理想的な支援者と見なすようになっている。

両国の間では初期の頃から積極的な提携が進められてきた。アリババやテンセントなどIT巨頭のほか中国の大手ファンドも、急成長を遂げるインドのテクノロジーエコシステムを注視し、積極的に資金を投じてきた。

しかし突如、風向きが変わり始める。今年4月にインド政府は、国外資本によるインド企業の投機的な買収を防止するための新たな規制を打ち出した。インドと国境を接する全ての隣国が海外直接投資(FDI)を行う際に政府の認可を必要とするというものだ。

法律事務所「K Law」のパートナーAlok Sonker氏はこう語る。「海外投資家がインド政府に申請書類を提出してから認可されるまで45日ほどかかる。しかも申請を棄却される可能性が高い」

この新規制は中国企業の対インド投資に直接的な影響を及ぼし、実際に投資額は大きく減少した。

インド企業はどこに助けを求めるか

インドと国境を接する国家の中で、最も深刻な打撃を被っているのは中国だ。資金調達において、その影響がすでに現れ始めている。インドのフードデリバリー大手「Zomato」は、今年初めにアリババ傘下のアント・グループから調達した追加出資の一部をいまだに受け取れていないという。中国に依存していたインドのスタートアップにとってこの状況は大きな不安要素であり、代わりの出資者の確保に動き出している企業もあるほどだ。

中国の投資家が困難に見舞われているさなか、米国の投資家に大きなチャンスが巡ってきそうだ。米国の投資家は現在インドのテック分野で積極的に投資を行っており、2010年という早い時期にインド市場へ参入してから各方面で人脈を築いてきた。

現状では、中国投資家からの追加出資を待ちわびている企業も、米国やインドの投資家へとくら替えするほかないだろう。そして大企業に出資していた米国・インドの投資家たちも前途有望なインドのスタートアップへの投資に切り替えるようになっている。

フィンテックのスタートアップ「Khatabook」の創業者Ravish Naresh氏は、インド市場の資金は枯渇していないと述べる。依然として米国、欧州、韓国、日本からの資金がインド市場に流入していることに加え、インドのベンチャーキャピタルも台頭してきたからだ。

しかし海外から潤沢な資金が流入しているものの、大部分がユニコーン企業やミドル・レイターステージの企業に集中していると、投資家たちは指摘する。中国の投資家とは異なり、リスクを負うことを嫌うのだ。

中国投資家の挽回の見込みは?

業界に通じた人物によれば、現時点でも中国投資家による対インド投資は可能だが、投資家の多くは両国の関係が改善してから出資を再検討したいと考えているという。中国の投資家は決断や出資がスピーディーなことで知られており、多くの時間を費やして政府とやり取りするのを嫌うのだ。

多くの中国企業が現状維持を選択する中、一部の大手企業は次の一手へと動き出している。ロイター社は8月26日付けで、アリババがインドのスタートアップへの投資計画を凍結し、別の市場での事業拡大を目指していると報道した。数週間後、アリババが東南アジアの配車サービス大手「Grab」と出資に関して協議を進めていることが明らかになる。

こうした動きに対して「これまでインド市場に多くの時間と資金をつぎ込んできた中国投資家が完全にインドを手放すことはないだろう」と語るのは、インドのベンチャーキャピタル「Gurukool」の投資家Swarup氏だ。「中国投資家はもうしばらく待つ必要がある。状況の改善が見られるようになれば、準備を整えて機会をうかがってきた投資家が一気に市場のリードを奪うだろう」
(翻訳・畠中裕子)

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