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スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)は3月29日から3月30日にかけて新製品発表会を行い、ハイエンドスマホの「Mi 11pro」と「Mi 11ultra」(以下それぞれ「pro」と「ultra」と略称)、折りたたみスマホの「MIX Fold」、自社開発のSoC「澎湃」を発表した。また、自動車製造事業も3月30日に正式に発表された。
今回発表された製品からはシャオミのハイエンド化の野心が見て取れる。スマホだけでなく、ノートパソコンやIoT家電のハイエンド化も進むだろう。同社の2020年の財務レポートによれば、昨年発売された定価4000元(約6万8000円)のスマホ「Mi 11」の初月購入者の50%以上が、シャオミのスマホを初めて購入したのだという。このことから、シャオミのハイエンドモデルは市場に受けいれられていると言うことができる。
ファーウェイと同等のスペック
今回発表されたproとultraのSoCはSnapdragon 888で、フラグシップモデルにふさわしいSoCだ。ディスプレイはE4 AMOLEDで、現時点でもっとも単価の高いディスプレイとなっている。
特筆すべきはカメラ機能だ。proとultraのメインカメラはともにイメージセンサー「GN2」を搭載し、センサーサイズは1/1.12インチに上る。メインカメラ以外では、proが1300万画素の16mm超広角レンズと50倍ハイブリッドズームの望遠レンズを搭載。ultraは超広角レンズ、望遠レンズともにイメージセンサー「IMX586」を採用し、4800万画素のメインカメラ級の性能を誇る。
第三者機関の「DXOMARK」が行ったベンチマークテストでは、ultraが143点となり、ファーウェイのハイブリッドモデル「Mate 40 Pro+」の139点を上回っている。
バッテリーはpro、ultraとも従来の4600mAhからさらに容量が増え、5000mAhとなった。充電効率は50Wから67W対応に向上されている。車載バッテリーの技術を参考にし、より高いエネルギー密度と充電の速さを実現したという。
スペック面のハイエンド化のほか、シャオミは折りたたみスマホのMIX Foldを発表し、製品ラインナップでもファーウェイを追随した格好となった。MIX Foldはリキッドレンズ、1億画素のメインカメラなどスペック面もさることながら、驚くべきは9999元(約17万円)という価格である。ファーウェイの最新の折りたたみスマホ「Mate X2」は1万7999元(約31万円)であり、シャオミのほうが半分近く安い。
MIX FoldのSoCもSnapdragon 888であり、性能はファーウェイのKirin9000と同等である。Mate X2はヒンジ強度や光学薄膜、カーボンファイバーの採用などでMIX Foldに勝り、MIX Foldはカメラ機能、ディスプレイでMate X2を上回る。それぞれの強みがはっきりしており、総じて言えば大きな差はない。
シャオミがハイエンド市場で順調にシェアを伸ばしている要因の一つは、ファーウェイのSoCの供給が滞り、ハイエンドスマホの出荷に響いたためだ。調査会社「Gartner」が発表した2020年第4新半期の世界のスマホ販売台数レポートによると、当期のファーウェイの出荷台数は前年比で41.1%減少し、世界シェアは14.3%から8.9%に減少した。
ファーウェイが制裁を受けたタイミングをうまく利用したシャオミだが、始めからハイエンド路線を進んだファーウェイと比較すると、シャオミブランドのプレミア感は不足していると言わざるを得ない。同じスペックでも、ファーウェイのほうが高い価格で売れるのが現状だ。たとえば昨年ファーウェイとポルシェがデザインでコラボした「Mate 40」の高性能版は、上述のultraより5000元(約8万5000円)以上も高い。
また、ファーウェイにはSoCのKirin9000、OSの「鴻蒙(Harmony)」など自社開発の技術がある。これこそがハイエンド市場でのファーウェイのパフォーマンスを支える基盤だ。それに対し、シャオミのハイエンドスマホは単価の高いサードパーティ部品を詰め込んだだけであり、独自技術を持ち合わせていない。
したがって、シャオミのハイエンド化は現時点では順調に進んでいるが、長期に渡る安定成長を保つためには、独自技術が不可欠となる。今回SoC澎湃の開発の再開を発表したことは、まさにその課題を解決するための動きだ。しかし、ファーウェイに追いつくには、まだ時間がかかりそうだ。
(翻訳・小六)
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