日本生まれ、人類初の共通語「絵文字」の知らざれる世界

「絵文字は人類最初の共通言語だ」―デザイナーのマーカス・スワン氏が、WEBサービスMediumに寄稿したコラムで、我々が日々軽い気持ちで使っている絵文字の成り立ちや機能、未来の展望を綴った。

欧米の顔文字VS日本の顔文字

絵文字と言われる中で最もシンプルな構造を持っているのは、欧米で広く普及した「エモティコン(emoticon、emotionとiconをかけた造語)」だろう。既存の文字や記号だけを組み合わせて表現した顔文字だ。このタイプは顔全体を横倒しにした状態で表現される。

対して、日本で生み出された顔文字は、文字と同じくタテ型で表現される。半角記号だけでなく、半角カナや全角記号まで使って表現するので、デザインはより複雑だ。

21世紀の象形文字

絵文字がこれほど世界中で受け入れられた理由は何か?

1. 言葉では表現できないニュアンスや気持ちが伝えられるから
2. ショートメッセージ(SMS)やTwitterなど、字数制限のあるメディアでより効率的に表現、伝達ができるから

ある意味、絵文字は21世紀の象形文字と言えるだろう。

1999年、日本で生まれた世界初の絵文字

その後、画像で表現される絵文字が登場する。世界最初の絵文字は1999年、日本で栗田穣崇(くりた・しげたか)氏が生み出した。NTTドコモによる世界初のモバイルインターネットサービス、iモードに導入されたものだ。

12ピクセル×12ピクセルの極小空間に、顔、物、場所などを表現した文字は全部で176種類。声色、口調、表情、ジェスチャーなど非言語表現を加えることができず、何かと誤解を生みやすい文字だけのコミュニケーションにおいて、絵文字は大きな補完を果たしている。

現代のコミュニケーションツールに欠かせない絵文字

世界で人気のアプリ上位10個のうち、6個がインスタントメッセンジャーアプリだという。テキストメッセージは現代に欠かせないコミュニケーションツールになった。その中で、絵文字が果たす役割は大きい。

グローバル・ランゲージ・モニター(GLM)が2014年に発表した「世界で最も人気の単語」は、単語ではなく「ハートマーク」だった。また、2015年にオックスフォード英語大辞典が選出した「今年の言葉」は、「泣き笑い」を意味する絵文字だった。その選出理由は、「文字におけるコミュニケーションで、絵文字は単なる単語としてだけでなく、感情を記号で表現するカルチャーに昇華したからだ」としている。

絵文字にも存在する文化の壁

絵文字文化が最も盛んなのは日本だ。2011年、アップルはiPhoneに搭載するiOS5で、文字入力によって絵文字を呼び出す機能を追加した。これは日本語だけに加えられた機能だったが、絵文字を呼び出すキーはすぐに各国向けのiOSにも追加された。

日本で誕生した絵文字には、日本社会にしか通用しない特有の要素もあったが、世界に流通するうちに、同じ文字に対する異なる解釈が生まれてきた。

例えばこの絵文字はどうだろう。日本では「ごめん」「ありがとう」「お願い」といった意味で使われるのではないだろうか?しかし、世界の人々はこのようなニュアンスは読み取らない。国によって「お祈り」「ハイタッチ」といった意味で読み取っている。

このように国や文化によって受け取る意味が異なるので、この絵文字は「合わせた手(Folded Hands)」として登録されている。

絵文字辞書までが登場

絵文字の普及とともに、「絵文字辞書」と呼べるものも登場した。絵文字の用法や意味に自信がない時、ぜひ参照してみてほしい。ひとつは「絵文字ペディア(Emojipedia)」という絵文字の検索サービス。もうひとつは「絵文字トラッカー(emojitoracker)」といって、Twitter上で使用される絵文字の使用頻度がリアルタイム更新で表示される。

2015年、オバマ米大統領(当時)の演説をすべて絵文字で表現するTwitterアカウントより

文字表現を補完するにすぎなかった絵文字は、現在では存在感を増し、なくてはならないものになっている。誕生時に176種類だった絵文字は、無限にその種類を増やしている。なお、栗田穣崇氏による世界初の絵文字は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久所蔵品となった。絵文字は芸術にまで昇華したのだ。

ユーザーの定着率にまで影響する絵文字

利用している通信キャリアやプラットフォームによって、同じ絵文字でも若干異なったデザインで表示されることがある。以下の画像は、同一の絵文字をそれぞれアップル、グーグル、Facebookで表示した際の比較だ。「自分が使っているキャリアAならかわいい絵文字なのに、キャリアBを使っている友人にメールで送信したら微妙なデザインになっていた」などという現象はよくある。絵文字の良し悪しでキャリアを乗り換え、などという事態にならないためにも、各社は絵文字のデザイン性を非常に重視している。

将来的に、絵文字もタイポグラフィの世界と同様、使用目的や状況によって異なったタイプが使い分けられるとおもしろい。フォーマルな場合は飾り文字、カジュアルな場合は丸文字など、TPOによって異なった字体を使い分けると、文書のニュアンスががらりと変わるのと同じように。

紙媒体からデジタル媒体に時代が移行した現在、Unicode8に登録された絵文字は1620種類に達した。中には「メキシカンタコス」などという絵文字まである。絵文字はもはや、本当の意味での世界共通語になった。我々はなかなかおもしろい時代に生きているのだ。
(翻訳・愛玉)

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