キャンプブームの中国、グランピングにも脚光

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中国でキャンプが新たなブームになっている。

ソーシャルEC「小紅書(RED)」が発表したメーデー連休期間(5月1日~5日)の旅行に関するリポートでは、連休前の3日間に同サイトで「キャンプ」の検索数が前年同期比230%増加したことが示されている。

小紅書のキャンプに関する投稿の中で目につくのが「グランピング」というワードだ。これは「グラマラス(魅力的な)」と「キャンプ」を組み合わせた言葉で、従来のキャンプとは一線を画し、快適さを重視しながらアウトドアを楽しむというスタイルのことだ。

グランピングは10年余り前に英国で生まれ、米国、日本へと広がり、現在では中国においても新たなライフスタイルの一つとなっている。

この流れに伴い、一部のアウトドアブランドの人気が急上昇している。デンマークのノルディスク、米チャムス、日本のスノーピークのほか、クピルカの木製カップやカーミットのチェア、コールマンのランタンなどがさまざまな記事やSNSに登場している。価格は決して安くはない。登場率の高いスノーピークの白いテントは高いものだと1万元(約17万円)以上し、数量限定のチタン製マグカップは700元(約1万2000円)ほどだ。

まだ歴史の浅いグランピングだが、本当にビジネスとして期待できるのだろうか。

小紅書のグランピングに関する投稿

海外との埋められない差

グランピング人気に火がついたことで、中国のキャンプ産業も静かに成長しつつある。中国のアウトドアブランド「牧高笛(MobiGarden)」も流行に乗り遅れまいとグランピング用の白いテントをリリースし、株価上昇にまで至ったのはその一例だ。

中国メーカーも品質では劣らないものの、いまだ鮮烈なブランドイメージを形成できていない。例えば、スノーピークはアウトドア用品にとどまらず、2014年にはアパレル事業にまで手を広げた。都市生活にもなじむ快適さとデザイン性を備えたアパレル製品を展開し、新たなファッションスタイルを確立した。対して中国メーカーは売れ行き重視の生産を行っており、ブランド文化を作り上げるには至っていない。

加えて中国国内には成熟したキャンプ場が少ない。英国の「キャンピング&キャラバンクラブ」によると、2005年時点で英国内に3500カ所のキャンプ場が登録されていたという。日本のキャンプ場は2020年に2107カ所だった。一方で調査会社の中商産業研究院のリポートによると、中国ではわずか1273カ所にとどまる。

キャンプ場の成熟度合いを判断する指標の一つは、サービスが十分に細分化されているかだ。日本には「森と星空のキャンプヴィレッジ」や「ワイルドビーチ シーサイドグランピングパーク」など趣向の異なるキャンプ場が数多くある。施設にはレストランやバーベキュー設備などがそろっており、大型娯楽施設に隣接したものもある。しかし中国では、北京在住者が近場でシンプルなキャンプ場を探すことすら難しい。

利用しやすいキャンプ場を整備するにはインフラも含めて大規模な改造が必要だ。日本では国や地方自治体の補助があるため事業者側の負担は軽くなる。しかし中国ではほとんどが個人経営であり、その多くが高い賃料を払ってホテルや観光地の土地を借用しているため、改修工事を行うことができない。グランピング施設「大熱荒野(Dare Glamping)」創業者の朱顕氏は、メディアのインタビューに対し「キャンプ場1つの人件費だけで、年間100万元(約1700万円)以上かかる」と語っている。

これら創業者たちは思い切った投資を行えず、資本市場も動向を見守っている状況だ。ブームが去った後、キャンプやグランピングは新たなライフスタイルとして定着するだろうか。現実はそれほど甘くないかもしれない。グランピングブームの火付け役となった小紅書では、常に新たな流行が生まれては消えている。少し前に話題を集めた「ピクニックブーム」もすでに下火になっている。今回のグランピングブームは、どれほど続くのだろうか。
(翻訳・畠中裕子)

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