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昨年は、luckin coffee(瑞幸珈琲)が総額4億ドル(約446億円)以上を調達するなど、コーヒー業界が急成長を遂げた。
luckin coffeeはハイペースで新規出店を進めており、今年中に4500店舗にまで拡大してスターバックスを追い抜く計画だ。しかし、luckin coffeeの本当のライバルは、スタバではなくコンビニかもしれない。
スタバは本当に競争相手か?
事実、luckin coffeeはスタバと正面対決しているわけではない。
luckin coffeeは「2杯買うと1杯おまけ」、「5杯買うとさらに5杯無料」などのキャンペーンを常に行っており、1杯あたりの価格は14~18元(約230~300円)である。一方のスタバは一杯あたり28~40元(約460~660円)だ。
価格が2倍でもスタバでコーヒーを飲む人たちは、そもそもluckin coffeeがターゲットにしている客層とは異なる。
また、スタバが提供しているのはコーヒーだけでなく、「サード・プレイス」というくつろげる空間やカフェ体験であり、それゆえ割高になる。対するluckin coffeeはテイクアウトに特化して、手ごろな価格でコーヒーを販売している。
運営の方向性にも大きな違いがある。luckin coffeeが裾野を広げてより多くの顧客を取り込もうとしているのに対し、スタバはグレードアップを進めている。上海に2700平方メートルの旗艦店「スターバックス・リザーブ・ロースターリー」をオープンしたほか、一級都市に高級店「リザーブ・ストア」を展開している。
コーヒー市場がますます細分化する中で、スタバは店舗拡大を進めるだけでなく、高級志向でコアな消費者の心をつかみ、スターバックスというブランドイメージや高級感を高めようとしているのだ。
コンビニ利用者こそがluckin coffeeの潜在顧客
価格から見ても、luckin coffeeのターゲットは、コーヒービギナーの学生やホワイトカラーだ。またオフィスに持ち帰って飲むことが多いため、テイクアウトが大部分を占めている。眠気覚ましのためにコーヒーを買うケースが多く、彼らは価格に敏感だ。
コンビニのコーヒーは8~14元(約130~230円)で販売されており、コンビニ会員の割引やクーポンなどのキャンペーンも多いため、若者の利用が多い傾向にある。まさにluckin coffeeがクーポンで囲い込もうとしている消費者層と重複する。
ユーザーの年齢以外にも立地や利用シーンなどluckin coffeeとコンビニには共通点が無数にある。
コンビニコーヒーは手強いライバル
とはいえ、コンビニにとってコーヒーは顧客を引き寄せ、より多くの商品を買ってもらうための手段に過ぎない。小売業ではおなじみのロジックだ。
2010年にローカルコンビニ「喜士多(C-store)」が中国で最初にドリップコーヒーを売り出し、ローソンやファミリーマートなどもそれに続いた。今やドリップコーヒーはコンビニの重要な商品になっている。価格もluckin coffeeの半分ほどで、より気軽に購入できる。
比較してみると、コンビニコーヒーがluckin coffeeなどの「テイクアウトコーヒー」に与えるダメージはスタバが与える影響よりずっと大きい。
コンビニコーヒーは「便利さ」が際立っており、店舗数も多い。外資系チェーンンも中国のコンビニチェーンも、競うように拡大を続けている。ファミリーマートは2024年までに1万店舗を目指しており、ローソンは今後3年で3000店舗にまで増やす計画だ。
また、コンビニコーヒーは大規模に展開しているため、サプライチェーンにおいて強気の価格交渉が行える。さらに原料とマシンさえあれば販売でき、純利益率は5割に上る。
luckin coffeeが黒字化を目指すなら、テイクアウトの品数をさらに増やすことが必要だろう。フードだけでなく、コンビニで売られているような商品を扱うことも可能かもしれない。
ここ数年、オフラインの小売業態が注目され、投資家や起業家がこぞって家族経営店の業態リニューアルに乗り出している。その勢いに乗って、多くの国内コンビニブランドが誕生してきた。コンビニコーヒーのビジネスもそれと共に急成長するに違いない。
今後、luckin coffeeとコンビニが激しく火花を散らすのは間違いないだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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