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IoTスマートデバイスを開発する「盈達聚力(iData)」がこのほど、シリーズAで1億元(約20億円)以上を調達した。三一創投が出資を主導し、保騰資本など複数のベンチャーキャピタルが出資に加わった。調達した資金は研究開発費のほか、海外展開を一層進めるために用いられる。
2010年に設立された盈達は、自動認識・データ取得(AIDC)分野にフォーカスして、PDA(携帯情報端末)、スキャナー、RFID(近距離無線通信による自動認識技術)などスマートデバイスの開発に注力しており、製品はすでに小売り、物流、製造、医療、公共事業などの分野で広く活用されている。
技術変革と市場の急拡大
盈達は2010年の設立以来、モバイル端末の活用が急拡大した2度のチャンスを捉えてきた。一つは13年から18年にかけての宅配便物流IT化に伴うもの。もう一つは16年から急成長したニューリテールでオンラインとオフラインの融合を急ピッチで進め、ピッキング・配送効率と在庫精度を高める必要があったことだ。
技術革新や市場の急拡大、新業態の急成長に伴い、モバイル端末を活用したビジネスデータ収集の効率と精度の向上を望む企業が増えており、AIDC市場の急成長を促進した。市場調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、AIDC市場は2020年の401億ドル(約5兆4100億円)から25年には803億ドル(約10兆8300億円)に増大する見込みで、20-25年の年平均成長率は14.9%と予測されている。
特定分野に特化、独自技術が強み
盈達はスマートデバイス、RFID、スキャナーという3つの製品ラインを構築しており、ソフトウエア企業200社余りと提携しながら、商品発送、出入庫管理、トレーサビリティー、バイタルサインの測定、防疫検査などさまざまなシーンに適用させてきた。2020年8月には業界初の5G版PDAを発売している。
AIDCの中核となるのは、バーコードやRFIDを用いたデータの識別と読み取りだ。画像処理技術が成熟するにつれて、さまざまな企業が読み取り精度の向上を図り、マシンビジョンを取り入れることで欠陥検出や計測などへと活用範囲も広がっている。
世界のAIDC市場は現在Zebra、Honeywell、Datalogicなど欧米の老舗メーカーが占めているものの、これら世界大手は主に欧米市場が中心で、東南アジアや中南米などでは明確な優位性を打ち出せていないため、ここが一つの突破口となる。
中国産PDA製品の技術レベルを高めるため、盈達は早くも2016年から研究開発に重点を置いた投資を行い、データ取得モジュールの独自開発を進めた。18年には自社開発モジュールを組み込んだ製品の開発に成功、国際ブランドに引けを取らない性能を実現しながら、価格面で優れた競争力を持つ。
現在、盈達はニューリテール、物流、スマートマニュファクチャリングという3つの業種に焦点を当てて事業を展開している。顧客には次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」、共同購入「美団優選(Meituan Select)」、地域の物流拠点「菜鳥ステーション」、中国郵政、家電大手「美的集団(Midea)」、自動車メーカー「比亜迪(BYD)」など有名企業が名を連ねる。
海外では、盈達はタイ、インドネシア、シンガポール、米国、イタリアなどに支社を開設している。重点市場としては、まず中国EC事業者の海外進出の機運に乗って、急成長を遂げる東南アジアの宅配業界に狙いを定めている。もう一つは欧州のODM(設計・製造の外部委託)事業者をターゲットに、PDA設計のトータルサービスを提供する考えだ。
盈達の董事長兼CEOの王冬生氏によると、2017年に海外事業を開始して以来、事業全体における海外事業の割合は拡大を続けているといい、今年は50%増加して売上高全体の4分の1以上を占める見込みだという。
(翻訳・畠中裕子)
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