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鉱業用輸送車の自動運転化を手がける「易控智駕科技(EACON MINING TECHNOLOGY)」が、エンジェルラウンドで6000万元(約9億5000万円)を調達した。出資したのは「興韜投資(Xingtao Investment)」傘下のファンドで、調達した資金は技術開発や実用化テストのために用いられる。
2018年5月に創業した易控智駕科技は、鉱業用輸送車の自動運転ソリューションと輸送管理プラットフォームの開発を行っている。主要メンバーはこれまで自動運転のアルゴリズム、鉱業のスマート化、商用車向けVoTプラットフォーム、自動車電子工学などの分野に取り組んできた面々だ。
自動運転分野において、鉱業用輸送車は地味な存在だが、これほど自動運転の実用化に適したシーンもない。鉱山内は公道ではないうえ、各車両が固定のルートを走行し、走行速度がほぼ時速30キロ以下に限られるからだ。その上、鉱山では常に従業員の安全が危険にさらされるため、鉱業用輸送車のドライバーを雇用するのも容易ではなく、輸送管理コストもかかる。これらの問題は自動運転を導入すればすべて解決できる問題だ。
創業者兼CEOの藍水生氏は、鉱業用自動運転車というニッチ領域を選んだ理由について、米キャタピラーや日本のコマツなど世界の大手メーカーが10年前にチリやオーストラリアの鉱山で自動運転技術の導入をすでに始めていたことに触れ、こうした大手メーカーの機器を中国で大々的に取り入れることは資金面で難しいものの、その技術そのものは実用化できることがわかったからだと説明した。
また、中国政府の各部門が近年になって、鉱業のデジタル化・スマート化・IT化・自動化を推進する計画を次々と発表していることも後押しになった。易控智駕科技も、すでに内モンゴル自治区オルドス市の鉱山で運搬車2台の試運転を行っている。実際の商用化まではあと3~5年と見積もっている。
試運転に投入した2台の車両は「陝西同力重工(Shanxi Tonly Heavy Industries)」から購入したもので、同力重工がドライブバイワイヤー(自動車の電子制御システム)の設計を行った。易控智駕科技はこれに、検知・判断・経路計画・車両制御のアルゴリズムと、LiDARやミリ波レーダーなどのセンサーを組み込んだ。高精度測位システムRTKを採用し、LiDARはリダンダントとして位置付けている。その制作費用は100万元(約1600万円)を超えるという。
コストダウンも今後の課題となるが、藍CEOは、まず技術の安定性と安全性を確実なものにすることが重要だと考える。その後、コストダウンの第一段階として燃費の5%削減を目指していく。鉱業用輸送車の運転コストの40%を占めるのが燃料費だが、現段階では電動化は考えていない。コストが高いことや車両の重量が増すこと、鉱山に充電設備が少ないことなどがその理由だ。
今回の出資者である興韜投資は、「辰韜資本(ESTAR CAPITAL)」の持ち株会社だ。両社とも自動運転分野に注目しているが、特に鉱業分野への応用に着目した易控智駕科技を高く評価している。人を乗せ、公道で高速運転を行う車両よりも、限定的なエリアで低速運転の運搬作業を行う車両のほうが実用化が早く、資金の循環も良好であることが理由だ。また、易控智駕科技の実用化重視の事業モデルや、技術的専門性、中心メンバーの起業経験なども評価している。
(翻訳・愛玉)
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