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2018年から今年にかけて、国内の資産管理機関は何度も逆境を経験しており、銀行、信託、証券会社も例外ではなく、先行きが不透明な状態が続いている。その一方で海外の資産運用市場では、少額でも投資可能な資産運用プラットフォームが注目を集めている。
豪フィンテック系ベンチャーが運営する資産運用プラットフォーム「Tanggram(七巧板軽理財)」は、米国の少額投資アプリ「Acorns(エイコーンズ)」と似ている。
Acornsのターゲットユーザーは投資経験が浅い若者だ。同アプリでは預金口座と資産運用口座が紐づけられており、ショッピング時に発生したお釣りが自動的に資産運用口座に振り込まれる。釣り銭を資産運用に回すという手軽なモデルゆえに、ユーザーの定着率が高くなり、ユーザーにはより多くの利益がもたらされる。同サービスはすでに米国で成功を収め、同社は今年1月のシリーズEで1億500万ドル(約113億円)を調達し、同社の評価額は8億6000万ドル(約930億円)に達している。
TanggramとAcornsのモデルには幾らか違いがある。Acornsは釣り銭を投資するのに対し、Tanggramは小売りなどの業者と提携し、顧客の購入金額に応じて割戻金を出し、それを投資に回すというモデルだ。
Tanggramが立ち上げられたオーストラリアでは、国民の投資可能な資産総額は2兆7000億豪ドル(約202兆5000億円、年金は除く)で、そのうちの43%は現金、銀行の普通預金や定期預金だ。
2013年以前、オーストラリアの資産運用市場では中国と同様、資産運用コンサルタントの収入はコミッションだった。その出所は資産運用商品の売り上げであり、顧客からのコンサルティング料ではなかった。そのため、彼らが顧客に提供するコンサルティングは顧客の利益に適っていないばかりか、情報にも不備が存在し、顧客が不利益を被るケースが少なくなかった。しかし、2013年以降に政府が「FoFA(ファイナンシャル・アドバイスの将来)改革」に乗り出し、資産運用コンサルタントの収入は顧客からのコンサルティングサービス料のみと定められた。
Tanggramの創業者であるNick Tang(唐從)氏は2013年に資産運用機関を退職後、在豪華人を対象にした高級資産運用機関「盛唐財富(Evertang Group)」を設立した。事業を続けるうちに、唐氏はミレニアル世代の投資者には2つの特徴があることに気付いた。一つはインターネットによる操作や処理を好むこと、もう一つは煩雑な投資契約フローを好まないということだ。これがきっかけとなって同社はTanggramを立ち上げた。
盛唐財富とTanggramは能動的な資産運用を行わず、資金の出所は豪州市場のETF(上場投資信託)や債券、株式などだ。Tanggramのチームメンバーは同国で10年以上も資産運用経験を有し、商品の選別や投資の組み合わせを担当している。
唐氏によると、現在Tanggramは300~400社と契約している。ユーザーが消費して得られる割戻金をTanggramのアカウントで管理し、その資金は銀行の信託口座によって管理される。Tanggramの収入源は、アカウント開設費、運用規模に応じた年間管理費(0.45~0.8%)、業者による割戻金の3つから成る。
Tanggramは最近、シードラウンドで300万豪ドル(約2億2500万円)の資金調達を完了しているが、現在も新たな資金調達を計画している。
(翻訳・虎野)
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