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血管にカテーテルを挿入して行う「インターベンション治療」に特化した手術支援ロボットメーカー「愛博医療機器人(abrobo)」が、国中資本(Guozhong Capital)の主導するシリーズAで1億元(約20億円)を調達した。
愛博医療機器人は2020年6月に深圳市で設立された。その技術は創業チームの30年近くにわたる研究がベースになっており、脳血管カテーテル治療ロボットや複数の術式に対応したカテーテル治療ロボットを手掛けている。初代製品はすでに臨床試験の段階に進んでおり、第2世代製品も間もなく型式検査を始める。
革新的なデバイスが台頭するなか、カテーテル治療をサポートする手術支援ロボットは大きな可能性とニーズを秘めた技術として注目されている。つい最近、独シーメンスヘルスケアが手術支援ロボット「CorPath GRXシステム」について、心臓カテーテル治療用としての販売を停止すると発表し、カテーテル治療ロボットの今後の方向性について熱い議論が巻き起こった。シーメンスヘルスケアは今後、脳血管カテーテル治療用の支援ロボットの開発を継続していくという。
これは脳血管カテーテルの分野が方向性として正しいことを示すシグナルだと、愛博医療機器人の共同創業者・任文永氏は考える。同社は世界的にも早い時期に脳血管カテーテル治療ロボットの開発に乗り出し、治療支援ロボットの臨床応用を進めるとともに、脳血管、冠動脈、末梢血管などさまざまな手術に対応できるカテーテル治療ロボットの開発に力を入れている。
中心的な創業者で日本工学アカデミー客員会員の郭書祥教授は、早くも2008年に世界初の脳血管内手術支援システムの開発に成功している。同社も設立以来、手術支援ロボットを手がけるうえで脳血管カテーテル治療などの臨床ニーズを中心に据え、独自の知的財産権を持つカテーテル治療ロボットを開発してきた。
任文永氏によると、カテーテル治療ロボットを臨床現場で使用するには、全プロセスにわたる手術サポートや正確なステント留置、投資利益率の向上などの要件を満たす必要があるという。しかし、前述のCorPath GRXシステムは手術プロセスの一部しかサポートできないほか、特定の型番の消耗品しか使用できないためコストがかさむなどの欠点があり、市場がカテーテル治療ロボットを受け入れにくい状況を作り出していた。
また中国では多くの場合、カテーテル用の手術室はスペースが限られているうえ、複数の診療科が使用する。このため任文永氏は、専門分野に特化した手術支援ロボットよりも、全プロセスをカバーし複数の術式に対応できるロボットに明らかな強みがあると考えた。
臨床的観点からカテーテル治療ロボットが満たすべきニーズとして、任文永氏は次の3つを挙げている。まず冠動脈形成術、脳血管カテーテル治療、末梢血管カテーテル治療を含む大多数の治療方式に対応できること。次に、手術の全プロセスをカバーし、医師の放射線被ばくや放射線防護衣着用の負担をなくした状態でサポートできること。最後に、市場で主流の消耗品との互換性があり、難しい手術操作を正確かつ安全に行えることだ。
これらの要件を満たすため、愛博医療機器人では開発の初期段階から臨床ニーズを考慮に入れた製品の定義づけを行っている。またモジュール設計を採用し、複数器具の協働、力覚センサーとフィードバック、マスタースレーブ型操作、低遅延の遠隔操作などのコア技術を組み込んだ。ニーズに応じて機能を調整でき、モジュールを自由に組み合わせることでさまざまな手術に対応できる。さらに市場で主流となっているあらゆる消耗品が使用でき、脱着も容易なため、手術に必要な器具を迅速に整えられる。このほか、執刀医がコンソール(操作台)を通じて患者体内に挿入された器具を操作するマスタースレーブ方式を採用することで、医師の被ばくのリスクを減らし、手術の安全性を高めた。
手術支援ロボットは近年、整形外科や腹腔鏡手術などの分野ですでに有効性が実証されているが、カテーテル治療の分野でも急速に拡大している。すでに国内外のベンチャー企業が参入を始めており、複数の企業が資金調達にも成功している。
(翻訳・畠中裕子)
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