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中国政府が2020年に脱炭素政策を打ち出してから太陽光発電業界の勢いが止まらない。今年1~3月に全国で新増設された太陽光発電設備の容量は、昨年上期の6カ月分に相当する33GW。今年、太陽光発電設備容量の累計は初めて水力発電を超え、非化石エネルギーを燃料とする発電設備として最大になる見込みだ。
権威ある統計によると、2023年の太陽電池生産能力について隆基緑能科技(ロンジ、LONGi Green Energy Technology)、晶科能源(JinkoSolar、ジンコソーラー)、天合光能(トリナ・ソーラー)、晶澳太陽能科技(JASolar)、通威集団(Tongwei Group)など大手メーカー数十社で計画されている生産能力を合計すると1000GWを上回っているという。
中国は脱炭素に向けた取り組みとして、2030年に風力および太陽光発電の設備容量を合計で1200GW以上にすることを目標に定めたが、今年の太陽電池の生産能力はすでにこの目標に肉薄している。
実のところ、この規模は世界中の太陽光発電設備の新増設需要をはるかに上回っている。生産能力が過剰になったため、太陽電池の価格は幾度も引き下げられた。
専門家が口々に太陽電池の生産能力過剰というリスクを指摘する一方、上位メーカーは生産拡大を続けている。
2023年4月以降、太陽光パネル製造の上位5社、晶科能源、晶澳太陽能、通威、隆基、天合光能は期せずして似たようなタイミングで大規模な生産拡大計画を公表している。この5社だけで投資額は900億元(約1兆8000億円)にのぼり、いずれもTOPCon技術を採用している。(※編集部注:TOPCon、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト、n型電池技術の一種で、変換効率はp型半導体を採用したこれまでのPERC電池より優れている)
なかでも、TOPConモジュール出荷量でトップに立つ晶科能源の生産拡大は急進的で、計画によると新たな56GW分のシリコンウエハー、電池セル、太陽光パネルの一体型生産設備に560億元(約1兆1000億円)を投じる見込みだ。今年6月には、今後も積極的に投資を続け、業界内におけるn型電池の生産能力トップの地位を維持すると表明している。
中国家電大手TCL科技集団(TCL Technology)の傘下で半導体ウエハー事業専門のTCL中環新能源科技(TCL Zhonghuan Renewable Energy Technology)も、川下の太陽電池セル、太陽光パネル製造への注力を強めている。近々138億元(約2800億円)の転換社債を発行し、大口径超薄型シリコンウエハーやTOPCon電池への投資を予定している。TCL科技集団の李東生会長は、ウエハーだけでなく太陽電池セルや太陽光パネルを提供したいとの考えを明らかにしている。
上位メーカーは生産過剰のリスクを分かっていながら、なぜ大規模な生産拡大をしようとするのだろうか。
メーカーは、先進的技術を使った製品は過剰になることはないからだと口をそろえる。
あるアナリストは、太陽電池技術は現在まさにp型からn型への転換期にあるため、メーカーはn型、特にn型TOPCon電池の生産能力拡大に注力しているとし、TOPConは変換効率の高さ、技術の成熟度、コストパフォーマンスの高さから今後しばらく主流技術になるだろうと語る。
TOPConモジュールは従来のPERCモジュールより技術的に進んでおり、市場では需要に供給が追い付かない状態のようだ。
リードを保ちたいメーカーにとってn型電池の生産は必須だ。とはいえ生産拡大にばかりこだわると大きな代償を払うことになる。すでに生産過剰で価格が下がり続けるなか生産を拡大すれば、間違いなく状況は悪化し、業界の淘汰が早まることになりかねない。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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