中国、若者の間で高まる「博物館熱」 手工芸品などのグッズが人気

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中国の文化観光市場はこのところ、「博物館熱」が高まっており、直接あるいはオンラインで博物館に行くことが若者の重要な文化的ライフスタイルとなっている。
 
各地の博物館では昨年、来場者数が過去最高を更新した。湖北省文化観光部門のデータによると、若者の人気スポットとなっている湖北省博物館の年間来場者数は延べ436万人に上り、2019年の1.8倍となった。たびたび話題になる河南博物院は、夏休み期間中だけで54万人が来場、年間では260万人を超え過去最高を記録した。
 
動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」が昨年5月に発表した「2023博物館データ報告」によると、「00後」(2000年代生まれ)は、博物館関連の動画を好む人の割合が他の世代よりも高かった。博物館情報に注目する人の半数近くが18~30歳との統計もある。
 
若者の間で「博物館熱」が高まり続ける背景には幾つかの要因があるが、中でも博物館の多様な取り組みが最も若者の関心を引いている。例えば、洛陽博物館が打ち出した「博物館ナイトツアー」は没入型演劇やマーダーミステリー(体験型推理ゲーム)などの要素を取り入れ、来場者を洛陽の歴史・文化の世界へ導いた。西安博物院は動態展示やマルチメディアを活用した展覧会「長安有故里(長安にふるさとあり)-シルクロード少年大唐行」を開催し、唐代の庶民の暮らしを現実感たっぷりに紹介した。河南博物院はデジタル考古学盲盒(ブラインドボックス)を開発した。デジタル技術で発掘現場が模擬的に再現され、ユーザーはミニプログラム上で「デジタル文化財」を「発掘」することができる。また「閃耀吧(輝け)、中華文明」「我在故宮修文物(故宮の修復士たち)」「国家宝蔵」など文化・博物館関連の優れた番組のヒットが、さらに若者を博物館に向かわせた。
 
創意あふれるミュージアムグッズも若者の心を捉えている。遼寧省博物館がこのほど発売した「簪花」シリーズの手作りアクセサリーは、圧倒的な美しさと精巧なデザイン、独特の文化的要素によって人気を博し、デザインの基となった同館収蔵の名画「簪花仕女図」にも注目が集まった。董宝厚副館長は「ロマンがあり独特で、質感もあって斬新さもあることからグッズは新世代の多くの消費者を引き付けた」と指摘。「簪花」シリーズに代表される手工芸品のグッズの登場は、文化的知識を受け身的な学びから能動的な探求へ変化させ、伝統文化の創造的変容をもたらしたと述べた。
 
「博物館熱」の盛り上がりは、中国文化に対する若者の共感と誇りの高まりを反映している。若者が博物館に押し寄せるだけでなく、博物館も積極的に若者に歩み寄るという双方向の動きがあってこそ、博物館ブームは続いていく。(新華社北京)

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