シャシー・バイ・ワイヤ開発の中国ベンチャー、EV普及や運転支援システム導入で需要拡大

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シャシーシステムを電気信号で制御するシャシー・バイ・ワイヤのソリューションを提供する中国の「座標系智能(Orient-Motion)」がこのほど、北極光創投(NLVC)の主導するプレシリーズAで5000万元(約11億円)を調達した。資金は製品開発と生産ライン建設に充てられる。

座標系智能は2023年に設立され、コアチームは独ボッシュや中国の耐世特(Nexteer)など有名企業の出身者を中心に構成されている。創業者の顔士富氏は、ボッシュのシャシー制御システム部門中国副社長などを務めた経歴を持ち、シャシー分野での実務経験が20年を超える。現在、すでに製品のサンプルを開発しており、アクチュエータ、ペダル、ドメインコントローラを含む電気機械式ブレーキ(EMB)システムについて、雪道や凍結路面での走行試験による機能の検証を終えたという。

シャシー・バイ・ワイヤは運転支援システムの基盤となるもので、ステアリングやブレーキペダルなどこれまでの機械的機構をバイ・ワイヤ化することで、反応速度と制御精度を大幅に向上させる。

完成車メーカーもシャシー・バイ・ワイヤの性能やそのサプライヤーに対する要求が高まっており、特にサプライヤーには現地開発、ソリューション提供、共同開発を求めている。座標系智能は「ティア0.5」として、完成車メーカーによるシャシー・バイ・ワイヤの開発と産業化を後押しする。

同社はハードウエアからソフトウエアに至るシャシー・バイ・ワイヤ技術によって完成車メーカーの要求に応えている。また、提携メーカーと共同でシステムアーキテクチャ、ソフトウエア、クロスドメインを定義することも可能だ。

シャシー・バイ・ワイヤには自動車で最も高い安全性能が求められるため、サプライヤーはアーキテクチャの設計に加え、EMBのアクチュエータ、バイ・ワイヤのペダルやステアリングなどの開発に通じていなければならない。

これに対して同社は高性能なEMBシステムの開発を進めている。第1世代のEMBは安全性の高いシステムアーキテクチャを採用し、コンパクトな構造のプラットフォームとして開発した。同製品は現在、複数の中国トップメーカーと共同開発を進めており、2025年末までに量産体制が整う見通しだ。

製品の量産に向けて、先月末に同社初となるEMB生産ラインを蘇州工業園区に建設を進めている。近く、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)の開発にも着手するという。

今回出資した北極光創投パートナーの黄河氏によると、電気自動車(EV)の普及や運転支援システムの導入に伴ってシャシー・バイ・ワイヤの実装がいっそう進むと見られ、シャシー・バイ・ワイヤ市場は1000億元(約2兆1000億円)規模が見込まれる。シャシーシステム市場は長年にわたって世界大手が独占し、中国の部品メーカーが牙城を崩すのは難しいと考えられてきたが、中国ブランドの成長と運転支援システムの導入が進む中、シャシーを手がける中国企業は大きなチャンスを迎えることになるという。

*2024年4月2日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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