米上場を果たしたインフルエンサービジネスの「如涵」、虚偽記載に関する集団訴訟に直面

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インフルエンサー(KOL)を活用したECビジネスを展開する「如涵(RuHnn)」が今年4月に米ナスダック上場を果たしてから、半年あまりが経った。

同社の株価は、公開価格12.50ドル(約1350円)から、現在(10月18日時点)半額以下の4.94ドル(約550円)まで下落している。株価下落の要因の一つは、「目論見書に重大な事項に関する虚偽記載があった」として数十もの米法律事務所から集団訴訟(クラスアクション)を提起されたことにある。

目論見書によると、同社はEC関連事業とインフルエンサー関連サービスが主な収入源となっている。前者はインフルエンサーが経営するネットショップの製品デザイン、OEM/ODM、サプライチェーン管理、アフターサービス等で、後者はインフルエンサーマーケティングだ。この2つのビジネスモデルでは、ネットショップとインフルエンサーの「数」が重要なデータとなるが、如涵が示したデータに虚偽があると投資家は主張している。

米法律事務所Bernstein Liebhard LLP は、目論見書には以下3点の疑いがあるという声明を発表した。

1)IPO時点で、実際のネットショップ数は、目論見書の記載より40%近く減少していた。

2)IPO時点で、実際のインフルエンサー数は、目論見書の記載より44%近く減少していた。

3)上記2点を受けて、実際の純売上高は、前期比46%近く減少していた。

目論見書によると、契約インフルエンサー数は113名で、2018年3月31日時点のショップ数は86店舗。1人あたり年間の売り上げが1億元(約15億円)を超える「トップインフルエンサー」が3名、3000万元(約4億5000万円)を超えるインフルエンサーが7名いると記載されている。しかし、2019年6月13日に如涵の馮敏会長は、2019年3月31日時点のショップ数は56店舗に減少したと明かした。

如涵は米国の投資家に対し、中国のソーシャルコマース及びコンテンツコマースのCAGR(年平均成長率)は2022年まで約35.5%を維持し、KOLを活用したECビジネスの取引額は、2017年に329億元(約4935億円)を突破したと説明している。しかし、米国の投資家は同社のビジネスモデルに懐疑的である。その理由として、特定のトップインフルエンサーへの過度な依存や、莫大な費用をかけて育成したインフルエンサーに逃げられてしまうリスクが挙げられる。実際、上場当日に同社の株価は37%以上下落し、終値は7.85ドル(約848円)となった。

上場前の如涵の筆頭株主は、29.27%を保有する創業者の馮敏氏で、トップインフルエンサーの張大奕氏が関連会社を通じて2番目に多い15%の株式を保有していた。また、アリババ傘下のEコマース淘宝(タオバオ)が8.56%の株式を保有していたことから、如涵は「アリババグループの出資を受ける唯一のMCN(マルチチャンネルネットワーク)企業」を自称していた。

ところが、今年5月に如涵の株主一覧からアリババや「君聯資本(Legend Capital)」といった大手投資ファンドの名前が消えてしまった。

米国の集団訴訟(クラスアクション)は、事前に他の構成員全員の同意を得ることなく、そのクラス(共通の利害関係などを持つ一定の人々)全体を代表して訴訟を提起することが可能となっている。そのため、構成員が自らが構成員であることにすら気づかないこともあるといい、訴訟に賛同できない場合、裁判所の通知を受けた際に構成員からの除外を申し出ることができる。そのため、現時点で、米国でのクラスアクションが如涵にどれほどの影響を与えるかは不明である。

ヘッダー画像:如涵公式HPより
(翻訳・桃紅柳緑)

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