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中国の手術支援ロボットメーカー「瑞龍外科(Ronovo Surgical)」がこのほど、シリーズBで3億元(約70億円)を調達した。政府系投資会社の無錫国聯とベンチャーキャピタルの渶策資本(Ince Capital)が出資を主導し、King Star Med LPと既存株主の江遠投資(LongRiver Investments)も参加。資金は、モジュール型手術支援ロボットの収益化と海外進出に充てられる。
瑞龍外科は、手術支援ロボット「ダビンチ(Da Vinci)」で知られるインテュイティブサージカル社のシニア・バイス・プレジデントや中国のコングロマリット・復星集団(Fosun)のグローバルパートナーを務めた馬長征博士が2019年に設立した。モジュール化と使いやすさを重視した手術支援ロボットを開発し、泌尿器科や一般外科、婦人科などさまざまな診療科の術式に対応できるよう、操作の簡略化とコストパフォーマンスの向上を図っている。
同社はここ1年半にすでに3度の資金調達を実施した。また、モジュール型手術支援ロボット「海山一(Carina)」は型式認証、GLP(優良試験所基準)の動物実験に合格しており、今年初めには複数の施設と診療科で臨床試験を終えている。
現在の臨床現場ではダビンチのような一体型手術支援ロボットが使われているが、腹腔鏡手術支援ロボットの導入には数千万元(数億~十数億円)かかる上、ロボットを使う手術は通常よりも4万~5万元(約90万~110万円)ほど高くなり、患者の費用負担も増える。ロボットの本体や消耗品が高価ということもあり、なかなか技術が普及していない。
創業者兼CEOの馬博士によると、ダビンチは腹腔鏡手術支援ロボット分野のベンチマークとなったが、その技術と製品の特性から、活用できる分野が泌尿器科など一部の診療科に限られ、一般外科や婦人科などに広げるのが難しいという。
軟組織手術支援ロボットが対象とする部位は胸腔、腹腔、骨盤腔で、診療科は胸部外科、一般外科、泌尿器科、婦人科などに及ぶ。中国で泌尿器科の低侵襲手術は年間20万件余り、それに対して一般外科と婦人科の手術は年間1000万件近くに上る。手術支援ロボットを一般外科や婦人科で普及させるには、製品の設計そのものを変える必要があるという。一般外科や産婦人科では操作の正確性と共に、手術の対象部位が大きいため、広範囲に動くことが求められる。
瑞龍外科は独自のモジュール化設計によって、こうした臨床現場での課題を克服し、ダビンチなど手術支援ロボットの普及を阻むボトルネックの解消を試みた。馬博士は「中国で最も魅力的なニッチ市場をカバーし、手術支援ロボットを中国に10万室以上ある手術室の標準設備にしたい」と考えている。
同社は腹腔鏡手術支援ロボットシステム、腹腔鏡画像システム、手術器具などの製品ラインを構築した。また製造センター、臨床研究センター、臨床トレーニングセンターを含む面積1万2000平方メートル超の手術支援ロボット事業化拠点の建設を計画している。米国にも臨床センターと臨床応用チームを設立しており、今後は国際的な臨床の専門家や学会と協力しながら海外事業を拡大する方針だ。
ロボットシステムは、コンソール、ロボットアーム、3D内視鏡、手術器具で構成される。ロボットアームはモジュール化設計によって1本ずつ独立しており、病院側のニーズに応じて使う本数を決められる。モジュール型ロボットアームは、術式に応じて柔軟に配置できる上、別の手術室にも素早く移動させられる。また、設置面積が小さいため、既存の手術室にも導入しやすく、病院と患者双方のコストを抑えられる。
市場調査会社・フロスト&サリバンのデータによると、中国の手術支援ロボット市場の規模は2020年が約4億3000万ドル(約680億円)で、26年には38億4000万ドル(約6100億円)に拡大し、うち腹腔鏡手術用支援ロボットの市場規模は23億2000万ドル(約3700億円)に上る見込みだという。
*1元=約22円、1ドル=159円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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