訪中外国人のモバイル決済急増、ビザ免除措置が追い風

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中国ではここ数年、モバイル決済が急速に発展し、世界をリードしている。中国政府が行う短期滞在ビザ(査証)免除措置により、訪中する外国人は増え、その多くが滞在中、QRコードを含むモバイル決済を利用している。

今年3月には、外国人のニーズに配慮した「決済サービスのさらなる改善による決済の利便性向上に関する意見」が発表され、モバイル決済の利便性向上を目指すとした。

こうした背景の下、関連部門は国内外の決済サービスの連携に尽力している。海外のキャッシュカードを電子商取引(EC)大手アリババグループ傘下の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」や、騰訊控股(テンセント)傘下のオンライン決済サービス「財付通(テンペイ)」に紐づけ、国内での消費を可能とする「外卡内綁」、および海外電子ウォレット(財布)の国内利用を可能とする「外包内用」が進んでいる。

非金融機関のネット決済プラットフォーム「網聯」の統計データによると、今年上半期(1~6月)の「外卡内綁」による決済は、件数が前年同期比7.7倍の3738万1800件、金額が9倍の54億1700万元(1元=約22円)に上った。

関連措置の後押しを受け、訪中外国人がネット上や実店舗でモノ、サービスを購入する際の支払いも便利になった。ネット通販セールの効果で「外卡内綁」を使った決済件数は顕著に増加。「網聯」を運営する網聯清算(NUCC)の関係者によると、6月15日の「外卡内綁」での決済は、件数が32万件、金額が4785万元に上り、過去最大規模となった。

円滑な支払いの実現は、中国人民銀行(中央銀行)が行った関連措置によるところが大きい。具体的には、①支付宝や財付通の業務フローの改善を指導し、海外キャッシュカードとの連携効率を向上させた②個人情報をしっかり保護すると同時に、本人確認手続きを簡素化した③主要決済機関が定める訪中外国人のモバイル決済の1回当たり上限額を千ドル(1ドル=約161円)から5千ドル、年間上限額を1万ドルから5万ドルに引き上げるよう指導した-などの取り組みを実施した。

ますます多くの外国人がスマートフォン1台を頼りに、中国観光を存分に楽しむようになった。北京外国語大学シルクロード研究院の研究チームが訪中経験のある外国人に行った調査では、対象となった103カ国の714人のうち、86%が中国での支払いがより便利になったと答え、そのほとんどがモバイル決済を利用していたことがわかった。

ティードリンクチェーン「覇王茶姫(CHAGEE)」の四川子会社の陳暁明総経理は、今年に入って以降、来店して飲料を購入する外国人が明らかに増え、自国の電子ウォレットが利用できることを喜ぶ声も聞かれたと紹介した。

「網聯」の統計データによると、1~6月の「外包内用」による決済は、件数が6.3倍の2875万1800件、金額が8.7倍の53億1900万元に上った。

「外包内用」の利用可能エリアは広がりつつある。アリババグループ傘下の金融会社、螞蟻集団(アントグループ)によると、支付宝は現時点で、タイやシンガポール、韓国、カザフスタンなど9カ国・地域の12種類の電子ウォレットに対応している。

国内外の機関同士の「点と点」をつなぐ協力体制の構築に努めているほか、金融インフラ同士の連携も強まりつつある。

網聯清算は今年上半期、マレーシア中央銀行傘下の決済ネットワーク「PayNet」と連携した。これにより、グループ機関の8種類の電子ウォレットが一度に支付宝へ紐づけられた。「ネットワークとネットワーク」の協力は、決済サービスを「点から面」へと広げ、連携効率と協力品質を最大限に引き上げた。

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(新華社北京)

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