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中国湖北省の武漢理工大学はこのほど、同大学材料科学・工程学院の麦立強教授率いるチームが水系亜鉛イオン電池の研究で新たな成果を出したと明らかにした。
研究チームは第1溶媒和殻に有機溶剤分子を含まない複合水系電解液を開発して、従来の複合水系電解液では低温下で脱溶媒和の動力学的作用が緩慢だった問題を解決した。関連の研究成果は国際的な学術誌「セル」傘下の化学関連学術誌「Chem」で発表された。
論文の責任著者である麦教授によると、水系亜鉛イオン電池は水を電解質とする電池で、安全かつ急速充電が可能、低コストで環境に優しいといった優位性を持ち、応用が大いに期待される新型のエネルギー貯蔵技術だという。
一方で麦教授は「亜鉛金属負極のデンドライト形成と水系電解液の作用温度範囲の狭さが、亜鉛イオン電池のさらなる発展を阻害してきた」と指摘。この二つの問題について、水系電解液中に有機溶剤を導入して複合水系電解液を構成することによりある程度改善が可能だが、従来の複合水系電解液の第1溶媒和殻では有機溶剤分子が水分子や亜鉛イオンより強い結合力を持つために、低温下における複合水系電解液の脱溶媒和の動力学的作用が極めて緩慢になり、亜鉛金属負極の析出溶解効率(クーロン効率)やサイクル性能の低下を引き起こすと説明した。
この問題に対し、研究チームは第1溶媒和殻に有機溶剤分子を含まない複合水系電解液を設計。研究の結果、氷点下20度の環境下でこの電解液を使用すると、亜鉛金属負極は97.7%の高い初期クーロン効率、5600時間の長いサイクル寿命を持つほか、放電深度が50%に達し、過電圧も小さいことが示された。
麦教授は、研究チームが新たに開発した低温環境下で急速な脱溶媒和の動力学作用を発揮する複合水系電解液は、亜鉛イオン電池の研究開発と利用をさらに推進する良い条件を生み出したとの考えを示した。(新華社武漢)
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