【特集】新鮮野菜を守れ!新型コロナウイルスとの戦い

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いつもは9時過ぎにベッドに入り就寝する趙おばさん。ここ数日は自身のバイオリズムを無理に深夜12時に合わせている。でなければ、新鮮な野菜が手に入らないからだ。毎日、一家三食分の食事を準備する趙おばさんは、今年の春節はスマホで野菜を購入せざるを得なくなった。野菜争奪戦が続いた何日間は、趙おばさんは毎日、ご主人と娘を連れ、野菜を一緒に買いに行っていたが、すでに売り切れてしまい手に入らないこともあった。

「備蓄」というこの言葉が多くの人の脳裏に最初に浮かんだ。データによると、春節期間中、「美団買菜(Meituan Grocery)」は北京エリアでの注文量が春節前に比べ2~3倍に、「叮咚買菜(dingdongmaicai)」は前月比で300%超の増加、「毎日優鮮(MissFresh)」は春節前夜から春節8日目までの取引額が前年比350%増となった。

小売りECにとってこの時期は本来ならオフシーズンとなるが、新型コロナウイルスの影響で皮肉にもオンシーズンとなっている。その一方で、さまざまな問題も発生している。

その一つが食事だ。特に、新型コロナウイルスの発生で、中国全土の数千万規模の住民がネットで野菜を購入し、自分自身を隔離することが、つまりはウイルスに対して最も良い予防手段となっている。この非常事態の時期に、毎日「新鮮野菜の防衛戦」に打ち勝つことは、自身の商売に関わるだけでなく、国家の行く末にも関わってくるのだ。

輸送も大きな問題に

村の入口はどの道も厳重に封鎖され、例年なら春節期間中は荷物を溢れんばかりに積んだトラックが行き来しているのだが、今年はその影さえ見ることがない。輸送も大問題となった。それに加えて、労働者不足も深刻だった。

今年の春節、野菜農家を悩ませたのが「野菜を売りにくい」ことだった。村も道も塞がれてしまったことが、「新鮮野菜の防衛戦」の第一難関となった。さらなる挑戦は、これまで農産物は中間業者によって小売りされていたが、その道も閉ざされて販売ルートが混乱している点だ。

農作物の収穫効率が落ち、田畑が荒れ気味になったが、これ自体は特に大きな問題ではない。都市住民は野菜を手に入れることが難しくなり、野菜農家の小売価格は跳ね上がるどころか、売れ残って逆に値を下げてしまった。幹線道路の輸送が阻まれたことで、野菜の流通が阻まれてしまったからだ。

「華興資本(China Renaissance)」の張慧董事長は、中国の野菜供給サイドは分散化しており、今回の新型コロナウイルスが突然発生したときには、流通段階が反応するまでにはより長い時間が必要であったと述べる。交通部門と感染抑制を最重要課題とする衛生部門はそれぞれが各管轄業務を行うため、連携コストが高く、無意識の間に作業量と待ち時間が増えていったとの認識を示した。これにより各地方自治体の反応力が試されることとなった。

しかし、都市部では次なる関門が待ち構えていた。住民が家に閉じこもり、外で食事したり買物したりすることを控えたことだ。企業も業務再開をしておらず、レストランも営業をしていない。もし、オフラインのスーパーや小売市場だけへの野菜の供給となると、その損失は相当なものとなる。

1月22日、国務院新聞弁公室は記者会見を開き、「武漢市の今回の肺炎は人・人感染をし、医療従事者にも感染している。また一定範囲において市中感染も発生している」と正式発表した。

叮咚買菜の梁昌霖CEOはすぐさまこの情報に注意を払った。同社は最前線で働く従業員の75%が残っており、それなりの備蓄もあった。その一方で、長期にわたって競合状態にある「餓了麼(Ele.me)」にとっては、サプライチェーンのプラットフォームもなく、需要と供給をすりあわせて、効率をより上げるほかなかった。

叮咚買菜にとっては第一段階の農作物収穫が大問題であった。サプライヤー側は通常より多くの報酬を払って従業員に作業再開を呼びかけた。収支バランスをとるために、叮咚買菜は一定範囲内での手数料の引き下げも行った。

加えて輸送は供給先を探すより難題だった。道がふさがれた所は回り道をしたり、輸送車輌がなければ車両を探したりしなければならなかったからだ。さらに都市部の倉庫に着いた後は、パッケージ、仕訳、配送とまたまた人的作業がのしかかかってくる。

だが今回の「品不足」によってこれまでなかった「発想」も生まれた。2月3日には、「盒馬鮮生(Hema Fresh)」は外食産業企業と従業員提携を結び、休んでいる従業員を盒馬鮮生で臨時的に雇い入れ、同社が報酬を支払うと発表したのだ。毎日優鮮もすぐさまこれに続いた。

試練がもたらした成長

今回の新型コロナウイルスによって、企業には想定外の注文と急増した顧客数のほかに、経験、教訓およびビジネス的な発想がもたらされた。今回の新型コロナウイルスで、餓了麼は生鮮食品供給におけるスーパーの位置付けをより重視するようになった。その一方で、客足が急激に減ったスーパーも生き残りをかけ道を模索中であり、数々の困難な業務を推し進め、打開策を講じている。

オンライン上では水面下の競争も存在する。多くのスーパーがオンラインプラットフォームと繋がり、リアルタイムで在庫を共有している。ここ最近では、オンラインでの注文が急増したため、「京東(JD.COM)」や餓了麼はオンライン上で7時から10時まで「新鮮朝市」を行ない、ユーザーからの早めの注文をとることで、スーパーの開店時間には注文を確保できるといった利点もあった。政府はこの非常事態において、スーパー側には「商品が大勢にに平等に行きわたる」よう提唱している。プラットフォームでは、「タイムセール」というこの小さい機能があるかどうかが、至極重要な、ひいてはスーパーの今後を左右しかねないカギとなっている。視点を変えてみれば、これらはすべて「非常事態」での収穫とも言える。

資本市場もまた市場とユーザーを再認識しつつある。今回の件が長期的な変化をもたらしたとの認識を示したのは張慧氏だ。また、企業には生鮮食品供給チェーンにおいて標準化されたサービスを提供する原動力があり、今回の新型コロナウイルス発生前にすでに一定規模のチェーン化された地域社会の生鮮食品とコンビニ業態はあったものの、今後はこれを機にさらに繁栄するだろうとの旨を述べた。

各段階での人的資源が徐々に職場復帰するのに伴い、野菜不足の現象もいくぶんか緩和されつつある。野菜構造のアンバランスさや価格の高騰の問題はまだあるものの、最難関はすでに乗り越えている。このウイルスとの戦いは今しばらく続くと思われるし、ひょっとしたら持久戦になるかも知れない。

SARSから17年経った今日、より多くの個人経営者、零細企業、大小の企業が行動を起こした。一人ひとりの取り組みによって、誰もが野菜を購入できる安心感がもたらされ、パニックには陥らなかった。今回の事件を通して、今後さらに大きな戦いにおいても勝利できるだろう。
(翻訳:lumu)

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