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アリババは6月9日、アプリやシステムのローコード開発をクラウド上で提供するプラットフォーム「宜搭(Yida)」について、政府関連企業向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスにフォーカスしたプライベートクラウド版およびアプリストアを「2020アリババ・クラウドオンラインサミット」上で正式に発表した。
宜搭はアリババ内部でインキュベートされた「LCDP」と呼ばれるローコード開発プラットフォームであり、全てのサービスがインターネット経由で提供されるPaaS(Platform as a Service)だ。LCDPとは、コード不要または最小限のコードでアプリケーションをスピーディーに作成できるツールであり、アプリ開発における企業の人件費を削減できるほか、本来なら数カ月から数年を要した開発期間を何倍にも短縮させることで、企業のコスト削減と効率化を支援する。例えば、従来のやり方では開発に2週間を要していたフォーム・プロセス関連アプリでは、宜搭を使用すれば一般のスタッフでも直感的な操作により2時間で開発が完了するため、業務効率が大幅にアップする。
新型肺炎の感染拡大期間に、アリババ内部のチームおよび外部のパートナー企業は宜搭を使用することで、ゼロの状態から20件以上のシステムを開発し、実際に運用を開始した。例えば新型コロナウイルス情報の更新、ヘルスチェックシステム、感染情報収集システム、物資相互支援プラットフォーム、従業員の春節休暇明けの出勤情報統計、アリババの防疫物資直接調達プラットフォームなどは、それぞれわずか平均1日半でリリースされている。
アリババの他のプロダクトとも連携
新バージョンの宜搭はアリババクラウドのプライベートクラウドにおけるクラウドネイティブ技術によるもので、顧客のプライベートクラウド上に独立してデプロイメントでき、顧客が速やかなDXによりシステムの自社開発・自社運営を実現するサポートを行う。さらに政府関連企業のデータセキュリティ、ネットワーク分離などの切実なニーズにも応える。
LCDPと顧客の業務とは密接に関連していることから、業務を実施する上での多くのディテールに関してはサードパーティーのサービス事業者が補う必要があるため、エコシステムの拡張性がプラットフォームのサービスレベルを決定づけるものとなっている。
このため、宜搭もアプリストアをリリースし、企業の運営管理分野(総務、人事、原価管理、法務、IT)をカバーする20件以上のアプリを打ち出した。全てのアプリは宜搭のPaaSにより速やかにカスタマイズや拡張ができ、顧客自身の業務ニーズに応えている。
アリババクラウドに基づくクラウドネイティブアーキテクチャに加え、宜搭は企業向けコミュニケーションツール「釘釘(DingTalk)」やデータ可視化ツール「DataV」などアリババエコシステム内部の複数のプロダクトと連携している。範之岳氏によれば、アリババクラウドの業務・システムアーキテクトチームは政府関連企業に対する事前の聞き取りを詳細に行った上でソリューションを提供し、アリババエコシステム内のプロダクトと組み合わせることで、全方位型のサービスを共同で提供していく計画だという。
ローコード開発の未来 業務シーンのカスタマイズがボトルネック
中国国内における一般的なLCDPには、宜搭のほかに「氚雲(Chuanyun)」「ClickPaaS」「宜創科技(Yichuang keji)」「数式科技(Shushi.pro)」「軽流(Qingflow)」などの企業が手掛けている。
ローコード開発は今後の発展トレンドであるとはいえ、解決しなければならないボトルネックは少なくない。企業顧客の業務構造やニーズの差は大きく、ローコード開発がディテールに関するカスタマイズのニーズに十分に応えることは難しい。つまり製品能力、拡張能力、二次開発能力、エコシステム化に関する要求は非常に高いのだ。業務のロジックや構成に関して十分に抽象化する必要があるほか、効率、CX(顧客体験)、機能全てに配慮した上での適切な落とし所を見つけなければならない。
宜搭の責任者である範氏はローコード開発の定義に関し以下のように述べている。「狭義では最低限のコーディングでゼロからシステムを開発することだが、広義では今後の企業のDXをテクノロジーの面からけん引するのが、まさにローコード化とプラットフォーム化だ。LCDPは単なるシステム開発プラットフォームではなく、システム構築、コラボレーションやシステムインテグレーション、データ化、スマート化、オープンソース化などを含めたDXにおける技術ソリューションの核心となるものだ。宜搭はこの路線に沿って、アリババクラウドのエコシステム内の他のプロダクトとともに、より多くの政府や企業顧客にデジタル化ソリューションやプラットフォームを提供していきたい」
(翻訳・神部明果)
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