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中国のコーヒー市場が今年に入って再び熱を帯びている。
スペシャルティコーヒーに特化した「三頓半咖啡(SATURNBIRD COFFEE)」、「永璞咖啡(Yongpu COFFEE)」といったブランドが次々と資金調達に成功し、カナダの国民的カフェチェーン「ティムホートンズ」がテンセントから大型の戦略的投資を受けるなどのニュースにも事欠かない。フリーズドライ、水出しなど新たな形態の製品も続々と登場し、漢方薬の老舗「同仁堂」までもが「薬膳コーヒー」を発売している。
コーヒービジネスは優れたシナリオが出せるかどうかが競争の焦点になってきている。中でもデリバリーは重要なカテゴリーだ。自国発の新興コーヒーチェーン「瑞幸咖啡(luckin coffee)」が大々的な値引きキャンペーンを繰り広げたことによって、デリバリーコーヒーはオフィスシーンに深く浸透した。
「挪瓦咖啡(Nowwa Coffee)」もデリバリーを主体としたスペシャルティコーヒーの新興ブランドだ。「美団(Meituan)」「餓了麼(Ele.me)」などすでに数億人のユーザーを抱える既存のデリバリープラットフォームを活用して販路開拓の手間を省き、集客を図っている。
創業者の郭星君氏はそもそも餓了麼の出身だ。2014年の入社以来、フード、リテール、プラットフォームなど複数の事業部門で責任者を務め、5年にわたるキャリアの中でコーヒーが成長株であることに気づいた。デリバリー商品の中でもコーヒーは年50~100%のペースで急成長していたのだ。郭氏は2019年6月、餓了麼時代の同僚2人と、長年ノルウェーで生活してきたコーヒー愛好家の同級生とともにNowwa Coffeeを設立した。
郭氏によると、中国市場におけるコーヒー事業には二つの方向性がある。一つは、スターバックスなどに代表される「場の提供」を重視するタイプ。社交の場としての空間を通じ、顧客の需要を満足させる業態だ。もう一つはコンビニコーヒーに代表される「コーヒーの効能」を重視するタイプで、就業中の眠気覚ましなど顧客が求める効果を提供する業態だ。
Nowwa Coffeeは後者のタイプで、スペシャルティコーヒーでありながらリーズナブルな価格を両立させている。目標は「コーヒー界のユニクロ」になることだ。価格帯は15~25元(約230~390円)で、ホワイトカラーの80%の金銭感覚に合う設定となっている。
コーヒー豆は南米、東南アジア、雲南省など産地5カ所から仕入れ、決まった比率でブレンドしている。創業時にブラインドテストを通じて1万人から意見を募り、90%が同社のコーヒーに高評価をつけた。
しかし、良質の製品を安い価格で提供するというなら、コスト面はどのように成り立つのか。この問題については、店舗の運営方式を直営とフランチャイズの中間に定めることで効率よく解決しているという。具体的には、既存のコーヒー店やファストフード店などに若干の改装を加えて運営する方法だ。店主は家賃のみを負担し、サプライチェーンや商品、店舗運営はNowwa Coffeeが受け持つ。
中国には数十万のコーヒー店が存在し、その大部分は店舗経営は順調だが、オンライン事業がうまくいっていない。こうした店舗のファサードと一部設備の改装を行えばわずか数千元(数万円)でNowwa Coffeeの店舗に生まれ変わる。このようなアセットライト戦略が功を奏し、Nowwa Coffeeはわずか1年で上海、杭州、南京、蘇州などの大都市圏で400以上の店舗を構えるに至った。月間売上高は数百万元(数千万円)で、オンラインデリバリーサービスの売上高が75%を占めるという。
顧客は22~35歳のホワイトカラーが中心で、月間リピート率は49%だ。マーケティング戦略としては、クッキーのオレオ、チョコレートのDOVEなど有名ブランドと提携し、ブランド強化につなげている。将来的には朝食、アフタヌーンティ、代替食品なども手がけていく予定だ。
Nowwa Coffeeの従業員数は約60人で、本社は上海にある。従業員の前職は餓了麼のほか、ネスレ、アリババグループ、京東集団(JD.com)など、IT畑やリテール畑、物流畑の多彩な人材を揃える。資金面ではすでにエンジェルラウンド、プレシリーズAまで完了している。(翻訳・愛玉)
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