1月で売上げ3倍のケースも、町の商店680万店が24時間営業のO2Oコンビニへ
中国・杭州市の文一路にあるスーパーマーケット、淼童超市。この店舗は、中国EC最大手アリババ・グループが展開するO2Oのリアル店舗プロジェクト「天猫小店」の一店舗だ。同店の営業時間はもともと1日十数時間だったのが、現在は24時間。そのきっかけになったのは、フードデリバリーサービス「餓了麼(ウーラマ、Ele.me)」に掲載されたことだ。
ITがバックアップすると、町中の商店が24時間営業のコンビニに変貌する
餓了麼がアリババGの傘下に入って以降、餓了麼とアリババの双方は経営資源の融合を進めており、今回、融合の対象になったのが天猫小店だった。2018年7月5日、アリババが提供するショッピングプラットフォーム「零售通」と餓了麼は共同で天猫小店の運営に関わっていくと発表し、今後仕入れ網、チャネル、物流などを改良していくとのことだ。
具体的には、零售通が店舗側に高コスパ商品の仕入れをサポートし、経営管理の技術提供を行う。一方の餓了麼は、オンライン販売のチャネルやネット集客の窓口を提供するとともに、同社傘下の配送業者ビーバード・ロジスティクス(蜂鳥物流)を使って、24時間体制の即時配送サービスを提供する。
天猫小店の加盟店は、多くがもともとは小規模な店舗。一般的に夫婦や親族による家族経営だ。長期にわたる人手不足を押して、来客数の多寡に関わらず長時間営業をしなければならないといった悩みを抱えている。こうした経営では深夜帯の販売機会を逃してしまい、来客頻度も多くならない。
そこで、餓了麼のプラットフォームに掲載され、ビーバード・ロジスティクスの配送サービスを利用できるようになると、こうした天猫小店は24時間営業のオンラインコンビニへと変貌する。消費者は深夜帯でも、多くの町中の小店舗からデリバリーを利用できるようになる。
自販機の商品までが、デリバリーで自宅に届くようになる
そのほか、零售通はオンライン店舗内の商品陳列にも細かに配慮している。日中は炭酸飲料や水、ビールといった商品を最前列に表示されるようにし、午後のおやつの時間にはアイスクリームをトップに、21時以降の夜食の時間にはカップラーメンや八宝粥といった商品を目立つ場所に表示する、といったように。
将来的には、自動販売機と餓了麼の注文システムまでもを紐づけ、ユーザーが自動販売機内の商品を注文したら、配送員が自販機まで出向き、注文番号を入力して商品を取り出し、配送できるようにもしたいとの考えだ。
試営業の1ヶ月で売り上げ3倍を記録した店舗も
アリババと餓了麼の経営資源を融合することで、集客効果は明らかに変化しているようだ。零售通が明らかにした事例によると、餓了麼に掲載中のある天猫小店は、試営業開始からわずか1ヶ月で取引額が3倍にアップ、一部商品の売り上げでは10倍に、ネット経由のデリバリー注文による販売は、店舗での販売と同等の取引額になったとのこと。
2018年7月からは、青島、成都、武漢、東莞、深センなどの都市にこのサービスを拡張し、最終的には全国で680万店の小規模スーパーやコンビニをカバーしていく考えだ。
アリババの計画によれば、地域密着型の生活関連サービスを展開する「口碑(コウベイ)」は、餓了麼に並んでニューリテール戦略における同様の位置付けとされる。地域密着型サービスではネット集客の窓口として大きな役割を担うだろう。当面、餓了麼とアリババは経営資源の融合をさらに進め、O2Oの小店舗を軸としたスマートリテール網を形成していくことになる。