生活関連サービス大手「美団」、食料品共同購入事業の組織改編へ 再び拡大路線に

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生活関連サービス大手の「美団(MEITUAN)」の住宅地の食料品共同購入を中心とする事業を担当する「美団優選」事業部が、組織構造の改編を行った。美団優選の運営部と調達部が合併され、担当者にECプラットフォーム「雲集(Yunji)」のCMOだった胡健健氏が就任。胡氏は今年7月に雲集から離れたが、これまで雲集のサプライチェーン改善に大きく貢献したとされている。

今回の組織改編について、美団に取材に申し込んだが、現時点ではコメントを得られていない。これまでの動きを見る限り、年末までに「1000の街に美団優選のサービスを展開する」という目標達成のための施策の一環だと言えるだろう。

目標必達を目指す美団優選

美団優選は、年末までに中国の20の省に進出し、1000の街にサービスを展開することを目標に掲げているが、10月28日時点では、サービス対象は12の省の100の街にとどまっており、目標の達成には程遠い。

残り2カ月で目標を達成するのは容易ではない。美団優選は全国の県で代理店の募集を始めている。代理店は、住宅地の食料品共同購入を取りまとめるスタッフの募集と管理、商品の住宅地までの配送などを担当することになる。

美団優選の従業員も激務をこなしている。新たな街に進出するには、物流や倉庫の確保、サプライヤーの選定などが必要であり、美団優選には1日の睡眠時間が2時間という従業員もいるようだ。さらに、同じく住宅地の食料品共同購入を手掛けるライバルの引き抜きにも警戒しなければならない。そのため、美団優選は新市場の開拓を担当する従業員に一定の賃金を約束した上で、その街での売上高が目標額に達すれば、歩合給も受け取れるようにし、インセンティブを高めている。

拡大を続ける美団

美団は2019年3月に、上場後初の年次報告書を提出した。それによると、2018年度は1154.93億元(約1兆7000億円)の赤字、調整後純損益でも85.17億元(約1300億円)の赤字となり、その額は前年比で198.6%増えた。この年次報告書を受け、美団の株価は一時10%以上値下がりした。

赤字続きの状況を変えようと、美団はその後の1年間効率向上に努めてきた。配車、金融サービスの拡大を一時停止し、「フード+プラットフォーム」という戦略に徹し、2019年度には黒字化を果たした。そのことにより、美団の株価は急騰し、今年だけで225%も上昇。現在の株価は上場時と比べ3倍以上になった。

態勢を整えた美団は、今年から再び規模拡大を目指している。上述の美団優選のほか、注文から30分以内で配達を行う「美団閃購」は、年間取引総額1000億元(約1兆5000億円)という目標を掲げている。ほかにも、モバイルバッテリーシェアリング、電気自転車シェアリングの規模拡大が再開されている。

さらに美団は、2025年までに美団アプリでの注文が1日1億件、1件あたりの利益が1元(約15円)という中期目標を掲げている。現時点での注文数は目標値の半分以下であり、目標達成のためには拡大を続けなければならない。

そのため、美団優選を含む各事業ともに、新規市場を開拓しようと、中小都市、地方都市での展開を急いでいる。しかし、美団優選が手掛ける住宅地の共同購入を円滑に行うためには、整備されたサプライチェーンが不可欠であり、一朝一夕にして構築できるものではない。そのため、美団の予想通りの速さで拡大できるかは未知数だ。

また、共同購入で食料品を購入するユーザーは主婦層がメインで、美団が得意とするフードデリバリーのユーザーとは重なり合わない。そのため、新規ユーザーの獲得にも、時間がかかるだろう。

美団の王興CEOは今年第2四半期の財務レポートカンファレンスにおいて、「生鮮食品の小売事業にリソースを惜しまず投下し、長い視点で運営していく。この市場で勝利する強い決意がある」と話した。一筋縄では行かない事業だが、美団の決心は揺るがないようである。

(翻訳:小六)

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