設立から10年赤字 世界で展開している中国バイオ製薬「百済神州」、科創板上場で難局を打開か

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

設立から10年赤字 世界で展開している中国バイオ製薬「百済神州」、科創板上場で難局を打開か

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

11月16日、バイオ製薬企業「百済神州(BeiGene)」が香港証券取引所で発した公告によると、同社の取締役会は人民元建ての株式発行と、上海のハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット )」への上場に関する提案を承認した。人民元建て株式の発行は2021年上半期に行われる。百済神州は2016年2月に米ナスダック市場、2018年8月に香港証券取引所に上場しており、今回の科創板の上場によって、製薬企業としては3市場で重複上場する初の企業となる。

しかし百済神州の責任者が、人民元建ての株式発行については公告を出したのみで、中国国内の関連監督機関にいかなる申請も出していないと述べたため、11月16日の終値時点で同社の株価は1.9%下落し165香港ドル(約2200円)をつけた。

「百済神州」香港証券取引所の公告

2010年に設立された「百済神州」は、癌治療を目的として革新的な分子標的薬と免疫療法薬を開発しその商業化に注力するバイオテクノロジー企業で、中国、米国、豪州、欧州に4700人以上の従業員を抱えている。これまでの累計資金調達額は40億ドル(約4200億円)を超えている。

同社は現在、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「ザヌブルチニブ(zanubrutinib、商品名『BRUKINSA』)」 抗PD-1抗体薬「チスレリズマブ(tislelizumab)」の2種の抗がん剤新薬を承認されている。このうちザヌブルチニブは中国企業が独自開発し、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けて発売された初めての抗がん剤新薬で、同時に中国初のBTK阻害剤でもある。

卵巣がん治療薬でPARP阻害剤「パミパリブ(pamiparib)」の販売承認申請も、7月に中国国家薬品監督管理総局(NMPA)薬物評価センター(CDE)に受理されており、同社の3番目の抗がん剤新薬となるとなる見通しだ。

これ以外に百済神州の開発パイプラインには、治験の後期段階に入った候補が3種、初期段階の候補が20種以上ある。

「百済神州」自主開発パイプライン

百済神州は自主開発以外に昨年11月にバイオ製薬最大手の米「アムジェン」と戦略提携を結んでいる。アムジェンは27億ドル(約2800億円)で百済神州の株式の20.5%を取得し、百済神州はアムジェンが所有する3種の薬に関して、中国での開発と商業化の権利を獲得した。さらに両社は共同で、アムジェンのパイプライン内の20種の抗がん剤の開発を行っていく。

抗PD-1抗体薬に関して中国ではすでに海外製が2種、国産が3種発売されており、世界でも競争が最も激しい市場の1つとなっている。百済神州は設立から10年になるが、2016年から2019年にかけて毎年損失を計上しており、4年間の累計損失額は18億3400万ドル(約1900億円)になる。

「百済神州」共同開発パイプライン

長期的な損失が続いているにも関わらず、百済神州が継続して資金調達を行うことができるのはなぜか。

2016~2019年の研究開発費用は累計19億4400万ドル(約2000億円)に達し、この期間の同社の損失額とほぼ同じになっている。2020年第3四半期の財務報告によると、研究開発費用は3億4900万ドル(約360億円)、第1~第3四半期の累計では9億4000万ドル(約980億円)だった。

巨額の研究開発費用によって同社の損失は拡大しているが、一方でこれは全世界で多くの第III層臨床試験が行われていることを意味する。百済神州は今年7月、臨床研究開発チームは約1350人が属して現在30種以上の臨床試験が行われており、そのうち10種については第III層臨床試験の段階であると発表している。

2種の新薬の発売に伴い、百済神州の収益は回復しつつある。最新の財務データによると第3四半期の製品総売り上げは2億900万ドル(約220億円)で、新薬事業の売り上げは前期比80.27%増の6560万ドル(約68億2000万円)となった。PD-1阻害薬チスレリズマブの売上高は、発売からの累計で約1億ドル(約100億円)となっている。

百済神州は多様な開発パイプラインの推進を加速するとともに、中国国内ではアムジェン
以外にも米製薬大手「ブリストル・マイヤーズ スクイブ」傘下のバイオテクノロジー企業「セルジーン」、英・米に拠点を置くバイオ製薬企業「EUSA Pharma(ユーサファーマ)」などから権利を取得した抗がん剤を販売し、売り上げを増やす計画だ。

しかし、百済神州は依然として多くの課題に直面している。

抗PD-1抗体薬については、中国国内ではすでに8社が発売しており、その中でも「信達生物製薬(Innovent)」「君実生物(Junshi Biosciences)」「恒瑞医薬(ハンルイ医薬)」の製品は発売初年度の売上高がそれぞれ10億1590万元(約160億円)、7億7400万元(約120億円)、10億元(約160億円)となっている。

百済神州のチスレリズマブは昨年12月に発売され、第3四半期までの総売上高は約1億ドル(約100億円)で、現在のペースから見ると初年度の売上高は9億元(約140億円)に満たないと予測され、同種の競合製品の中では低い水準だ。また、同社が調達した資金の用途についても多くの疑問が寄せられている。昨年9月、香港リサーチ企業「J Capital Research」が同社の財務状況について問題を指摘するレポートを出している。

百済神州が香港証券取引所で発した公告によると、株式発行にかかる費用を除いて調達した資金は主要事業に使われる予定だ。今回の科創板上場は、百済神州の将来の発展のために現在の難局を打開する一手となるかもしれない。
(翻訳・普洱)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録