新興EVの理想汽車(Li Auto)、最大1900億円の増資を発表 BEVの開発を前倒しか

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中国新興EVメーカーの「理想汽車(Li Auto)」は、一貫してレンジエクステンダー式のEV(航続距離延長を目的として内燃機関の小型発電機を搭載したEV)を開発してきたが、新たにバッテリーの充電を外部電源のみに頼るBEV(battery electric vehicle)を開発していることがわかった。

先日行われた同社のロードショーに出席した関係者によると、理想汽車は、2022年にレンジエクステンダー式のSUVを予定通りに販売する一方、同年にBEVも発表し、2023年から受注を開始するという。

このことについて理想汽車に確認したところ、同社は「BEVの開発は行っているが、明確な工程表があるわけではない」とした。

12月2日、理想汽車は4700万株の米国預託証券を発行し、約16.02億ドル(約1700億円)の増資を行う計画を発表した。証券引受会社がオーバーアロットメントを行った場合、最大で18.405億ドル(約1900億円)の増資を行うことになる。

理想汽車の公告によると、調達した資金の約30%が次世代のレンジエクステンダー技術の開発に、20%がBEVのプラットフォームと車両の開発に、20%が自動運転の開発に使われ、残りは一般的な業務に使われるという。

理想汽車は今年7月にIPOしたばかりで、手元に約200億元(約3000億円)の現金を保有している。そのため今回の増資は、市場としても予想外だった。

新興EVメーカーのなかで、レンジエクステンダー式を採用するのは理想汽車のみである。今年第3四半期の業績発表会において、同社の李想CEOは、400kWの急速充電技術が普及する前にBEVを販売する考えはないと話し、さらに理想汽車が販売するSUVやミニバンのような車種においては、今後5〜10年間は、BEVよりもレンジエクステンダー式が優れているとの見方を示した。

こうした発言があったにも関わらず、理想汽車はBEVの開発を前倒しにしたようである。李想CEOに近い関係者によると、一部の市場では、2023年から2024年にかけて、BEVの競争力が高くなると判断したためだという。

理想汽車の販売は好調であり、レンジエクステンダーに対する市場の反応も上々だ。2020年1月から10月、「理想ONE」の納車台数は2万1852台で、11月は1カ月だけで4646台となった。

一方、BEV路線のテスラ、「蔚来汽車(NIO)」、「小鵬汽車(Xpeng)」も好調である。蔚来は10月と11月にともに5000台以上を納車し、テスラの納車台数は1万台以上となっている。さらに、テスラの中国工場は来年55万台を製造する予定で、うち輸出用が11万台、中国国内販売が40万台となっている。テスラの充電スタンド工場もまもなく上海で完成する予定であり、来年は250kWの充電スタンドを1万台製造する予定だ。強気な販売目標と充電インフラの急速な展開により、テスラは中国市場での攻勢をさらに強化している。理想汽車のBEV計画の前倒しは、こうしたライバルたちとの競争が念頭に強くあるためだろう。(翻訳:小六)


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