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ソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」が、サードパーティ決済サービス「多多銭包(Duoduo Wallet)」をリリースした。多多銭包は拼多多アプリの「我的訂単(注文履歴)」の下に配置されており、そこを開いて「免費開通(無料アクティベーション)」をタップし、名前とID情報を入力すれば銀行カードと紐づけできる。
ほとんどの決済アプリが銀行口座を連携させる際に銀行カード番号などの手入力を求めるのと違い、多多銭包では連携させる銀行を選択した後、その銀行のアプリを持っていれば、拼多多がバックグラウンドで直接連携し、決済契約を代行してくれる。銀行カード番号や個人情報などを手入力する必要がなく、一度連携させれば、多多銭包での1回の限度額や1日の限度額を自分で確認できるようになる。
サードパーティ決済はもはや水面下での戦いなどではない。特に取引の多いECプラットフォームにとって、決済はビジネスを自前で完結させる上で不可欠なステップだ。ただし、2017年以降、サードパーティ決済は銀行と直接連携できなくなり、新たな決済ライセンスの発行も停止された。
ライセンスを持たない大手企業は続々とライセンスを持つ企業の買収に乗り出す。中国EC大手の「京東集団(JD.com)」、生活関連サービス大手の「美団(Meituan)」、中国スマートフォンおよびIoT家電大手の「シャオミ(小米科技)」はすべて買収により決済ライセンスを取得した。
拼多多も例外ではない。資格なしで決済業務を行っているとして繰り返し告発された後、拼多多も2020年初頭にようやく決済ライセンスを手に入れた。
企業情報検索サイト「天眼査(Tianyancha)」の調べでは、 拼多多の現CEO陳磊氏が法定代表人を務める「上海易翼信息科技(Shanghai Yiyi Information Technology)」が、今年1月に「上海付費通信息服務(Shanghai FuFeiTong Information Service)」の株式の50.01%を取得し、正式に筆頭株主になったという。 付費通はアントグループの決済サービス「アリペイ」やテンセントの「WeChat Pay(微信支付)」を運営する「財付通科技(Tenpay)」と共に、 2011年にサードパーティ決済ライセンスを取得した企業である。
決済チャネルを選ぶのはユーザーだが、大手企業が自前のシステムに取引データを保持しようとしているのは明らかだ。美団がアリペイ決済を閉め出したのはその好例である。2020年第3四半期時点で、拼多多のGMV(流通取引総額)は12カ月で1兆4576億元(約23兆円)に達し、年間アクティブユーザーも7億3000万人に達している。顧客基盤を固めた今、拼多多が自前で取引を完結できる機会をあきらめたくないのは当然だ。
サードパーティーを利用した決済は、今のところ「銀聯(UnionPay)」の手法を踏襲しており、手数料は最も高い業界で0.6%だ。拼多多の2019年の年次報告書によると、2017~2019年の3年間に、拼多多はテンセントに決済処理で5億1600万元(約81億円)、広告で12億6600万元(約200億円)、クラウドサービスで22億9800万元(約360億円)を支払ってきた。
数カ月前、拼多多の関係者は「多多銭包は多くの革新的事業と連携する。内部テストでは、主に社員たちが拼多多アプリ内商品の決済に限って使用している」と話していた。
現在では、利益還元キャンペーン「百億補貼(100億元値引き)」や住宅地向け共同購入サービス「多多買菜(Duoduomaicai)」など、すべてのサービスで多多銭包決済が利用できるようになっている。
決済ライセンスを取得した今、拼多多がEC決済すべてを自前で処理するようになるのは時間の問題だ。拼多多が次に狙うのは物流業務かもしれない。
(翻訳:永野倫子)
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