農業に根ざした格安EC「拼多多」のビジネス、産地と消費者をつなぐ取り組みで社会貢献も

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スタートアップやIT業界に特化した中国の最大級メディア「36Kr」は今月8日〜10日、北京国際会議中心(China National Convention Center)で「WISE2020新経済之王」を開催した。過去10年、時代の波に乗ったゲームチェンジャーたち--スタートアップ企業や大手IT企業、投資機関、地方政府、老舗企業など市場を動かす者たちが、中国で急速に台頭したニューエコノミーを振り返り、次の10年に眠る無限の可能性を見つめるイベントとなった。

2日目には共同購入型ソーシャルEC「拼多多(Pinduoduo)」で戦略副総裁を務める九鼎氏が「農業に根ざした新しい消費」というテーマで講演を行い、消費体験を変革しようとする同社のこれまでの苦労や、農産物という分野でビジネスを展開し続けた理由について語った。 

以下は九鼎氏の講演の抄訳。

拼多多はあらゆるカテゴリの商品を扱うECプラットフォームだ。しかし今日は特に農産物にスポットを当てて話を進めたい。

これまで投資家や起業家にとって農業は成果を出しにくく、ビジネス展開するには不向きな分野だった。中国では小規模農家が広大な国土に散在しており、消費者の手に渡るまでに多くの流通プロセスを経由するためコストがかさむ。

この数年、目の当たりにしてきたのは需要と供給がうまくかみ合わず、良質で低価格の農産物が消費者に届いていないという現状だ。農産物の生産や流通体系にも改善すべき部分が数多くある。我々はこの問題を解決するために一肌脱ぎたいと思った。

拼多多ではオンライン共同購入と産地直送を組み合わせた農産物オンライン販売モデルを採用し、小規模農家と市場の仲立ちをしている。人を集めやすくニーズに絞ってサービスを提供できるソーシャルECの特性を利用し、農産物の短い旬の時期に産地から直送することで流通コストの削減に成功した。またパッションフルーツなど中国人になじみの薄い農産物も拼多多の販売モデルを活用することにより、全国各地で人気に火がつき、生産地に多くの収益をもたらしてきた。

農産物オンライン販売の規模が拡大するにつれて、生産農家や流通体系に及ぼす影響も増大し続けている。これまでにEコマースに参入した農家は1200万戸を超え、プラットフォームを利用する消費者7億人以上がオンライン直販の恩恵にあずかっている。

今年初め、新型コロナウイルス感染症の流行初期には、多くの農産物が産地から出荷できなくなった。中国農業部が農産物の商談会を開催していたこの頃、拼多多のような農産物に関わるプラットフォームにも役割が与えられた。印象深かったのは、封鎖された武漢市の病院から物資の依頼が届いた時のことだ。リストにはさまざまな野菜のほかにリンゴ3500個と書かれていた。これは同院の医療従事者500名に1日1個配るためだという。農産物と人々の生活が密接に結びついていることを改めて感じた瞬間だった。拼多多では医療従事者を支えるため、急きょ全国各地から新鮮な野菜や果物100トンを集めて武漢市に送った。 

感染症の流行期間中には、地方政府と連携して生産地支援のための特設ページを設け、農村ライブコマースを開始した。これにより産地の在庫を大幅に減らすことができた。中国国内で感染症の流行が落ち着いた後も、このライブコマースは継続している。

この2年はオンライン・オフラインの人材育成課程も積極的に打ち出してきた。新たな農業従事者を育成する講師陣を組織し、新疆ウイグル自治区やチベットなどへき地の生産地でトレーニングを展開している。

農産物オンライン販売モデルや人材育成を通じて新たに農業に従事するようになった人の数は、今年6月末の時点で10万人を超えた。産業規模を拡大することで雇用を創出し、多くの農村部に十分な収入をもたらしている。

これらの事実から明らかなのは、拼多多は単に農産物の販売モデルを変えただけでなく、中国の消費市場の拡大に貢献してきたということだ。都市部の消費者は拼多多を利用して低価格で商品を購入でき、農村部では販路の拡大につながっている。そして農村部では都市部をはるかに上回る勢いで消費が伸びている。このようにして、かつてない消費の循環が生まれている。

拼多多は農業に対して長期的に責任をもって関わっていく決意だ。我が国における農産物の消費体験を向上させ、各家庭の日々の必要を満たすため、喜んで巨額を投じイノベーションを強化していきたい。

ビジネス分野としては多くの人が見向きもしなかった農産物だが、それはちょうど緩やかながらも厚い雪に覆われた坂道のようだ。皆で力を合わせてイノベーションを起こし、着実かつ真剣に雪玉を転がしていくなら、その雪玉は大きく成長するだろう。

(翻訳・畠中裕子)

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