ついに故宮博物院とビジネスを競うライバルが登場、大英博物館がTmallで開店
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今年初め、たった1日でファンを3万増やしたアカウントは何だろうか。答えは一日で爆発的な人気がでたトップスターだけでなく、博物館もまたそうである。7月1日、大英博物館がTmall(天猫)でフラッグシップショップを開店し、ミュージアムグッズを販売した。谷大白話、雨前羽街などのインターネットセレブリティがウェイボー(微博)に転載し、すでに「攻略」されて、たった数日で6万人のファンを魅了した。
これは大英博物館が中国にきて初めて試みたことではない。2017年、大英博物館は収蔵品を上海で展示し、関連グッズを売り切れになるまで売り尽くし、売上高は300万元を超えた。同年、大英博物館とアリフィッシュ(阿里魚)およびTmallが提携して、Tmallに出店している天堂傘(杭州天堂伞業集団)、ITOトラベルカバン(伊稲(上海)商業有限公司)、百麗(BeLLE.com)などのブランドに次々と収蔵品のデザインの著作権ライセンスを与え、これらブランドもコラボ商品をリリースした。Tmallに開店すると、自然の成り行きで事が成就するように成功を収めた。意外に思ったのは、大英博物館のTmallでのマネジメントである。俳優の李亜鹏氏は『魯豫有約』(A Date With Luyu 訳注:香港鳳凰テレビ局の対談テレビ番組)で大英博物館のミュージアムグッズは自分の会社が担当してマネジメントを行っていると語ったのである。

「大英博物館は故宮博物院タオバオ(淘宝)店とビジネスを競っている」とネットユーザーの@Passacagliaはでウェイボーでコメントしている。これは、誇張でもなんでもなく、博物館のグッズの概念が国内で流行し、故宮博物院タオバオ店が真っ先に成功した。ギャップ萌えが甚だしい商品や面白い文章でソーシャルメディアECを利用し、故宮博物院タオバオ店は短期間で急速に人気を博した。
大英博物館と故宮博物院以外にも、少なからぬ国内の博物館が早くからECプラットフォームで商売をしている。ただ、確実に言えるのは、それらが皆の目には留まらなかったということだ。
ミュージアムグッズには何があるのか?
ほとんど、どの博物館のタオバオのサイト上でも、マスキングテープ、ノート、冷蔵庫マグネット、扇子などは切っても切れない関係にある。一方でこれらグッズは作るのが簡単でコストが安く、またもう一方では購買心のハードルが低く、多くの人がサイトをざっと見まわしたときに、手当たり次第にすぐに買ってしまう。故宮博物院淘宝店も早くから「わしはこういう男なのだ」扇子、「千里の山河図」マスキングテープ、「ひんやり宮殿」冷蔵庫マグネットなどで販路を広げてきた。国内の博物館はたいていこの手法を続けている。故宮博物院のミュージアムグッズ目指してこの手法を学び、真似ているのである。
故宮博物院タオバオ店を前にしていては、新規参入者が似たような商品で販路を広げることは難しい。いくつかの博物館では目立った特徴や、あるいは特殊な商品に頼ってやっとタオバオでのファンを吸い寄せる。蘇州博物館は際立った特徴の江南スタイルで故宮博物院タオバオ店と競争している。無形文化財の工芸と宋綿などの材料をセールスポイントとして、品質を重視する消費者群を引き付けているのである。陕西歴史博物館は『国家宝物』(National Treasure 訳注:中国中央テレビ局の博物館文物紹介番組)のおすすめコーナーでの書籍が関心を集めているが、そのほかの文化財グッズの販売量はやはりあまりよくない。ほかの地域にある博物館は、陳列棚に文化財のロゴが入った人形やリングキーホルダーなどが置いてあるだけで、訪れる人もごくわずかであり、売り上げも惨憺たるものである。
国内の博物館はこれまでIP(intellectual property 知的財産)をおろそかにしてきてはいないが、足りないのは、IPを深く研究開発する創意工夫なのである。なんの特徴もなく作られたもの、例えば、皇帝や后妃や女官や唐代の美女など宮廷の人物は例外なくキーホルダーや置物が作られる。同様にこのような要素をもつものは簡単にデザインされてキャンパス地のバッグや手帳などに描かれる。価値のあるIPがこのように扱われることが少なくないのである。

IPの開発面においては、早くからテコ入れを始めたのがニューヨークメトロポリタン美術館、大英博物館で、デザインから販売まで完全なサプライチェーンをすでに形成していた。彼らが目指すのは深く掘り下げる路線であり、IPとしてスターである収蔵品を選び、あらゆる分野で開発を行い、商品の価格帯に高低差をつけて設定し、実用品が顧客を魅了する。大英博物館のロゼッタストーンを例に挙げると、IPとして60種以上の商品を開発している。書籍、コップ、USBメモリ、雨傘、ネックレス、チョコレート、ぬいぐるみなど同じ種類のものがない。つまり人は、IPがもたらすプレミアムな価値を得たいと願う。しかし、自分が購入したミュージアムグッズが博物館の名品であると大げさに思いたくはなく、義鳥マーケット(訳注:義鳥市にある世界最大の日用雑貨卸市場)のクオリティで十分なのである。
博物館はなぜグッズを作る必要があるのか?
「政府は毎年われわれの予算を削減しています。我々は新たな資金源を探さねばならず、その一つがIPライセンスなのです」と大英博物館販売部担当のロデリック・ブキャナン(Roderick Buchanan)氏は2017年天下網商大会(Global Netrepreneur Conference 訳注:アリババ主催のネットビジネス講演会)の席で語った。
博物館は商品を販売することもできるが、チケットの収入は天井がはっきりと見えて、頭打ちである。文化物の保護のため、入館者数をコントロールする必要がある博物館も少なくない。ましてや多くの博物館は公益の目的で建設されているので、すでにチケット無料観覧を実施している。
ただし、ミュージアムグッズの収入は天井知らずである。これは映画の興行収入と映画グッズとの関係と同様で、この点においてはディズニーが典型的である。ディズニー社公式財務報告によると、2017年ディズニー社の営業収入は551.37億ドルであった。その中でも映画が収入の15%を占めるだけであるが、メディアネット、テーマパーク、グッズの売り上げは85%である。
IPはよきものであり、どのように用いるかがキーポイントである。ほかの博物館ではいまだにグッズの販売量とデザインに苦慮しているときに、故宮博物院はすでに抜きんでている。独自のグッズデザインが名を馳せた後、矢も楯もたまらずはやばやと別の商売を始めた。ー高価格商品のブランドにライセンスを与え、ブロガーのアクセス数による販路を拡大したのである。2016年、人気ブロガーのレベッカさんは「故宮・不思議な猫」というネックレスをリリースし、今年初めには、故宮博物院はファッションの垣根を越えて、李冰冰さんとコラボレートし、高価格のリュックサックをリリースした。
ミュージアムグッズの市場は大きく、国内の博物館はこのごちそうのような市場を分け合いたいと考えている。そのために、一つは、掘り下げたIP開発、品質を高くすること。二つ目は、早々にIPのライセンスを与え販路を開拓すること、以上が必要となる。サプライチェーンの環境が整いさえすれば、さらに遠くまで走ることが可能なのである。